第10話

「うーん、森の階層が続くなあ。

ってか、どういう仕組みになってるんだ?太陽は見当たらないのに明るいし。」


「??」


「はは、ノアも分からないよな。ごめんごめん。」


歩きながら、ダンジョンについて考えていると、ノアもえ?みたいな顔をしていた。

まあ、ノアだって神様じゃないんだから分からないよな。

それから、普通にノアと戯れたりしながら歩いていると、突然魔物が現れた。

本当に突然だ。ポッと目の前に出現したのだ。

見た目はティラノサウルス。鑑定してみると、結果は驚くべきものだった。



《-----》

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これはなんだ?鑑定できないということか?


「ガオオオーーー!!!」


轟く声を上げ、こちらに向かって、口から火をはいた。ノアは空へ、僕は後ろへと、それぞれ攻撃を交わし、今度はこちらが攻撃を仕掛けた。ノアは電撃を、僕は鬼丸による斬撃を。

しかし、そのどちらも的に効果はなかった。というよりも、すり抜けたのだ。


「なっ!?どういうことだ?」


「キュイーン!キュイーン!」


「ノア、何か分かるか?」


「ヒヒーン、、、」


ノアでも分からないようで、お手上げだ。敵が硬かったり、素早かったりするならば、何か手の打ちようがあるが、そもそも攻撃がすり抜けてしまうのだからやりようがない。

どうする?一旦引くか?


「キュイーン!!」


ノアも必死に威圧しているが、相手は一切怯む様子もなく、「ガオオーー!」と、轟音を鳴らしている。


なんですり抜けるんだ?

何か仕掛けがあるはず。絶対に勝てない魔物なんているはずがない。




ここで、フとある可能性に気がついた。

もしかしてあれは、本物ではないんじゃないか?もしあれが幻覚やその類のものなら、実態がないのだから攻撃が当たるはずもないし、鑑定しても何も出ないのも頷ける。

なら、幻覚を出している本人はどこだ?


「ノア!周りで何か怪しい術を使ってるやつを探せないか。」


「ヒヒーン!」


ノアは、再び上空へと飛び、周囲をぐるぐるとまわり、突然急降下した。

その数秒後、先ほどまでいたティラノサウルスが突然消え、ノアが小さい魔物を口に咥えて持ってきた。タヌキのような形をしたその魔物は、手のひらより少し大きい程度のものだった。



《レコンオハインカル》

Rank:B

幻影を使う小さいタヌキの魔物。

その幻影は非常に精巧で、幻影の放つ攻撃は、実際に攻撃を受けたと脳が勘違いして、死に至ることもある。


ランクBの意外と恐ろしい魔物だったようだな。でも、ノアが数秒で倒せたあたり、本体には攻撃力も防御力も何もないんだろうな。

それにこんなに小さかったら食べる部位なんてないだろうな。



そこからさらに進んでいくと、ドスンドスンと、地面が揺れる。

なんだ?

そう思って周りを見渡すと、山があった。いや、山のような亀のような、生き物というべきだろう。

動きはノロい、隙も多い。だが、大きすぎる。おそらく体長100mほどあり、高さも数十mあるだろう。でも、魔物は魔物であり、亀の肉はうまい。だから、倒すことにした。



《ギガントトルトゥーガ》

Rank:A

山のように大きい亀の魔物。

動きは遅いが、その攻撃力は大きく、また、硬い甲羅に守られているため、防御力はさらに高い。


やっぱりか!

でも、防御力が高いと言っても、甲羅から出てる部分はそこまででもないはず。なら、頭や足を狙うまで。


「ノア!やるぞ!」


「キュイーーーン!!」


いつも通り、ノアは敵を威圧して動きを止める。まあ、今回は敵がかなりノロマなやつだからあんまり意味ないけど。


「グオーー!!」


流石にAランクともなると、威圧はかなりのものだ。だが、グリフォンのほうが強かった。

だから、グリフォンにも効き目のあった、魔法で勝負をすることにした。



ノアが空を飛び回り、亀の注意はノアに向いている。ならばこの好機を逃すではない。


「〈アース二ドル〉」


「グウォーー!」


地面から、亀に向けて無数の土の棘が突き刺さる。足や頭などの部位には傷をつけられたようだ。しかし、甲羅のある部分は無傷のままだった。

亀の注意がこちらに向き、攻撃を仕掛けてきた。だが、今度はノアが攻撃をしていく。



繰り返してると、亀の身体は傷だらけになっている。あと少しで勝てる、そうおもったら、亀は甲羅の中にこもってしまった。

亀にとっては最終奥義だろう。

しかし、ノアも僕もそれで諦めたりはしない。





2人でひたすら攻撃しまくって、かなりの時間がたった。亀が甲羅から出てくる様子は一切ない。

僕は魔法や鬼丸で攻撃を、ノアは電撃を打ちまくっていた。

すると、ピシッと、音を立てて、甲羅にひびが入った。そこからは簡単だ。

ひたすら攻撃をした。そして殻が割れると、中から出てきた本体もタコ殴りにした。


「流石に疲れたな。少し休もう。」


「ヒヒーン。」


ノアも疲れたのだろう、力ない声で鳴いている。その日は、亀料理は諦めて、オークキングの肉を焼いて食べた。

疲れていただけに、非常に美味しくて、満腹になるとすぐに寝た。

ノアのもふもふは気持ちが良かった。

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