第8話
650階層までの道のりは、虫がほとんどでない、とても素晴らしい道だった。
《オーガ》
Rank:B
鬼のような風貌の魔物。オークの進化種であるという説もある。
この魔物も美味かった。僕はオークの進化種説に1票かな。味がオークに似てるし、風貌もオークの面影がある。
《オークジェネラル》
《オークメイジ》
Rank:B
オークを指揮するオークの上位種。
オークジェネラルはオークより身体能力が高く、オークメイジは魔法を使うことができる。どちらも、通常のオークよりも知能が高い。
コイツらもコイツらで美味かったけど、オークキングには劣る。まあ、これは当然だが。
オークメイジに関しては、魔法を使う敵と初めて戦ったので少し戦いにくかった。
まあ、僕とノアが2人で戦えば結構余裕で倒せる敵だったけどね。
それで今、650階のエリアボス部屋の前にいる。そろそろ終わらないかな。
おそらくこの世界に来てから1ヶ月は経っている。何故か髪も髭も伸びないし、風呂は魔法でなんとでもなる。それに飯だって魔物を倒せばなんとでもなる。だから、不自由していることはない。
でも、そろそろ日の当たる場所に出たい。
「よし、最後であることを願って、開けるぞ。」
640階のエリアボス部屋と同じように、手をかざすだけで扉は開いた。
中に入ると、これまた640階と同じように自動で扉が閉まる。
心なしか前よりも部屋が広い気がする。
すると案の定、魔物が現れた。
上半身がワシで、下半身が獅子。なんだか予想がつくけど、一応鑑定。
《グリフォン》
Rank:S
空の王と呼ばれる、ワシとライオンの2つの性質を持った魔物。
非常に強く、頭も良い。その脚力は凄まじく注意が必要である。
やっぱりかい!
グリフォンってSランクなのか。でもノアはまだまだ子供のようなもの。このグリフォンとは同じSランクでも、おそらくグリフォンの方がかなり強いだろう。
「グルルルァ!!!!」
すごい雄叫びだ。おそらく威圧のスキルでももっているのだろ。
こちらが怯んだ隙に、グリフォンが突進してきた。
ワシの足はかなりの威力があるだろう。ここは反撃を考えず、まずは避けなければ。
あの羽が厄介だ、ノアも飛べるが、僕はアテナシューズでも数歩が限界だ。
「ノア!お前も飛んで遊撃だ!」
「キュイーーン!!!!」
ノアの威圧にも関わらず、グリフォンは一瞬の怯みも見せない。やはりグリフォンの方が格上か。
「〈ウィンドカッター〉!」
僕はグリフォンに向かって風魔法を放つ。その瞬間、グリフォンに向かっていくつもの風の刃が向かっていくが、グリフォンも同様に風の魔法を使って相殺する。
「チッ!魔法まで魔使うのかよ。でも、相殺されたってことは威力は五分五分のはずだ。
ノア!魔法を使え!ノアの雷ならグリフォンにも届くかもしれない。」
「キュイーーン!」
僕の声を聞いて、ノアはすぐに電撃を放った。しかし、グリフォンはそれを難なく避けてみせた。だが、避けるということはやっぱりノアの魔法は効くのかもしれない。
僕もノアに負けてられない、グリフォンがノアに気を取られているうちに、僕も攻撃しないと。
「ノア!とりあえず羽を狙う。そうすれば飛ぶことはできないはずだ。」
「ヒヒーン!」
ノアは了解したようで、僕が鬼丸で斬る隙を作ろうとしてくれる。
再びノアが電撃を放つと、グリフォンは再び避けようとした。そこにすかさず刀を打ち込み、右の羽を切り落とした。
「グルルぁ!!!」
グリフォンは悲鳴なのか威嚇なのかわからないような声を上げるが、弱っていることは間違いない。
僕はグリフォンの首を切り落とそうと刀を振り下ろす。なんとか勝てた。
そう思ったが、グリフォンには鬼丸の刃が通らなかった。鬼丸の切れ味ではなく、僕の力量の問題だ。
鬼丸は僕の力量によって切れ味も耐久性も変わる。しかし、僕には剣の技術はない。
身体能力と魔力でゴリ押すしかない。
僕が驚いた一瞬の隙をついて、グリフォンが攻撃を仕掛けてきた。
驚いていた僕が、この至近距離からの攻撃を避けられるはずもなく、グリフォンの前足が僕の腹に直撃した。僕は吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
ホーリーローブのおかげで死にはしなかったが、肋骨が砕けているのがすぐにわかり、動くことはできなかった。
「グルルルルルァァ!!」
グリフォンは僕めがけて走ってきた。ここで死ぬのかと思った。
しかし、ノアがグリフォンに電撃を放ち、グリフォンはそれを避け、グリフォンの注意がノアに向かった。
先ほどから、グリフォンは風の魔法を使っている。ならば、土の魔法の相性がいいはずだ。ノアばかりに戦わせていられない。
「〈アース二ドル〉!」
僕が魔法を発動すると、地面から円錐状になった土の針が、グリフォンに向かう。グリフォンはそれを避けたようだが、ノアの攻撃までは避けられなかった。
ノアが電撃を放つと、グリフォンに命中した。
「グルァ、グルルグルル。」
グリフォンは声にもならない声を出し、喉を鳴らしているが、そんな弱ったグリフォンに容赦なく、ノアが蹴りつけた。
しばらくすると、グリフォンは動かなくなり、命の炎が尽きた。
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