第7話


「じゃあ入るぞ。」


「ヒヒーン。」


門に手をかざすと、自動的に開いた。

中に入ってみると、何もない空間だった。ただ、大きさはあるようで、ここで戦うなら十分だろう。

すると、門が当然閉まった。振り返って開けようとしてもびくともしない。つまり、ここで敵を倒すしかないということか。

広場を見渡すと何もない。そう思っていると突然中央に魔物が現れた。

今までの魔物より確実に強いと思われ、とりあえず鑑定してみることにした。


《オークキング》

Rank:A

通常、巨大なオークの集落の王であり、オークジェネラルやオークメイジを複数従えている。

また、その強さはそれらを大きく上回るものである。


「ウガァーーーー!!!!」


大きな雄叫びが、部屋中に轟く。

この威圧が、これまでの魔物との差を物語っていた。

しかし、こっちだってSランクのペガサスがおり、自分とてこれまでの戦いで強くなった。絶対に勝てる。


「ノア!空中からの遊撃を頼む!」


「キュイーーン!!!」


ノアは僕への返事と共に、スキルの『威圧』をオークキングにしようする。

さすがはSランクなだけあって、格下であるオークキングは一瞬怯む。その隙を逃さず、オークキングへと鬼丸の一太刀を浴びせる。

しかしさすがはAランクであり、威圧を受けながらも、僕の斬撃をかわそうと動き、左腕1本を失うという結果になった。

これならいける、と思った次の瞬間、オークキングの肩から、新たな腕が生えてきた。


「クソ、再生能力があるのか。なら、」


ならば首を狙う。クビを落としてしまえば、たとえ再生能力があったとしても、再生はできないだろう。

ノアは上空を飛び回り、オークキングの横や後ろに回って、遊撃を繰り返している。

そうして隙の多くなったオークキングの首元を狙って鬼丸を振る。

ノアが後ろからオークキングを蹴りつけると、明らかによろめいた。絶好の機会であり、確実にやれる。躊躇なく突っ込み、オークキングの首をおとした。


「ガー、ガガ。」


オークキングは力のない声をだして膝を突き、息の根が止まった。


「よし、無傷で勝てたな。それに、オークキングの肉なら今までのどの肉よりも美味しいはずだ。」


「ヒヒーン!ヒヒーン!」


ノアもよほど嬉しいのか、元気よく鳴き声を上げ、鼻を鳴らしている。


そこでふと気がついた。出口付近に水晶のような球があった。これはおそらくアレだ。ここに魔力を通すと外に転移する的なやつ。

そう思って水晶のところまで行き、試行錯誤するが、結果は何も起きなかった。

もしかするとダンジョンの本に書いていたオブジェというやつなのかもしれない。

まあそれならそれでもっと下の階まで降りればいい話だ。


「とりあえず、肉食うか!」


「ヒヒーン!」


待ってましたと言わんばかりのその声に、やれやれと思いながらも、楽しみで心が躍る。


「上手い!なあノア、めちゃくちゃ上手いな。塩で焼いただけなんだけど、ジューシーですごいな。」


「ヒヒーン!」


ただの焼肉なのに、これほどまで上手いとは思わなかった。もしかしたら、SランクやSSランクはもっと美味いのかもしれない。

あ、ちなみに、この世界の魔物はEランク~SSランクまであるらしい。

自分でも、ジューシーなどという、安◯元総理大臣のようなコメントをしている自覚はあるが、この肉はまさにそのコメントが一番合う。



「はあ、美味かった。これからも高ランクの魔物の肉は最優先で集めないとな。」


「ヒヒーン!」


ノアもやる気になってるし、張り切って、どんどん進もう。

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