第6話


そこから、オークを次から次へとなぎ倒していると、蜂の大群が現れた。そのどれもが、虫とは思えないほどの大きさであり、一眼で魔物であるとわかるものだった。

そして、その中には1匹だけ他とは明らかに違うものもいた。


《キラーワスプ》

Rank:D

蜂の魔物で、集団になるとランクがCに上がる。羽によって生み出される熱はかなり高く、囲まれれば、酸素不足と高熱により死に至る。


《クイーンキラーワスプ》

Rank:B

キラーワスプの大群を統制している女王蜂。

単体での攻撃力もさることながら、常に多くのキラーワスプに守られているため、手出しできない。



なるほど、つまり囲まれる前にことごとくを倒さなくちゃいけないのか。女王蜂を倒して相手の体勢を崩すってのもありだが、そのためにはその前にいるキラーワスプを倒さなくちゃいけない。


ここは魔法でいくか。

虫には火が有効だと思うんだけど、火魔法は練習してないしなあ。どうすっかな。

あ、そうだ!


「ノア!アイツらに向かって電撃打てるか?」


「キュイーン!!」ドガーン!!


ノアがキラーワスプの大群にむかって電撃を放つと、地面が揺れるほどの衝撃が起こり、そして密集したキラーワスプは次から次へと感電していった。

ノアの攻撃力がどんどん高くなっていってる気がする。もしかしたら戦ってるうちに、僕もノアもステータスが上がっていってるのかな。

ノアの攻撃のおかげで多くのキラーワスプが地面に崩れ落ちていった。


「よし、ほとんど倒せたな。ノア、あとは任せてくれるか。」


「ヒヒーン。」


たぶん、いいよって言ってるな。

アテナシューズのおかげで、空中でも何歩かだけは歩くことができるので、意外と楽にキラーワスプを倒せた。


「さあ、残るはお前だけだぞ女王さま。」


女王蜂は残り一体になっても逃げる様子はなく、自分が絶対的な存在であると確信しているかのようだった。

だが、ランクBの魔物に負けるはずもなく、あっさりと真っ二つに切り裂いた。


「うーん、数が多いけど、キラーワスプは、というより虫系統の魔物の肉は食えないわけじゃなくても美味しくないみたいだな。まあ、なんかの素材になるかもしれないしとりあえず回収するか。」


「ヒヒーン。」


「お、集めるの手伝ってくれるのか、ありがとうな。」


「ヒヒーン。」





それから歩き続けてようやく640階にまで到達した。エリアボスが10階ごとに設置されているならこの階にエリアボスがいるはずだ。

いや、もしかするとダンジョンボスかもしれないな。


「はあ、なんかもっと美味い肉ないかなあ。」


「ヒヒーンヒヒーン。」


「ノアもそう思うのか。サイクロプスもオークも美味しいんだけどな。なんか物足りないんだよな。

それに、なんか虫の魔物ばっかり出てきてないか?」


そうなんだ、サイクロプスもオークもまあ出てきてはいる。それでも、虫の魔物が圧倒的に多い。

例えば、


《イビルスパイダー》

Rank:B

毒を持った蜘蛛の魔物。巨大な身体をもち、糸を使い、多種多様な攻撃をしてくる。

また、イビルスパイダーの糸は良質であり、衣服の素材にもなる。


《ブレードマンチス》

Rank:D

鋭い刃をもったカマキリの魔物。


《タンタシオンバタフライ》

Rank:C

蝶々の魔物。羽根を羽ばたかせることで出す粉によって敵を魅了する。

しかし、魔力量の高いものには効果がない。


などなど、いろんな虫の魔物にあった。

その上、虫は不味い!

やってらんない。


そんな風にブー垂れて歩いていると、見るからにここですと主張しているかのような門があった。おそらくここがエリアボスの部屋なのだろう。

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