第13話
「ですから、私たちが婚約することには大きな意味があると思うのです。」
今日は問題の2人のもう1人が家に来ています。
そして、私との婚約について、そのメリットを熱弁し続けているのです。私としては何度も断り続けているので、やめていただきたいのですが、、、
遡ること1時間前……
「エルベス嬢、お初にお目にかかります。私はスレイブ=マクルーガーと申します。
我々の縁談について、直にあって話してみるのが一番いいかと思い、本日はこちらに伺った次第であります。」
マクルーガー家は隣国で商会を営む伯爵家で、その規模は我が家に優るとも劣らずという家柄です。
噂に聞いたところによると、マクルーガー家の長男であるスレイブ様は、学校を首席で卒業し、その後も実家の商会で優秀な業績をあげている方だそうです。また、容姿も上の中という、結婚相手としては、家柄や容姿、能力のどれもが優良物件であると言えるのです。
「わざわざご足労いただきありがとうございます。本日は私とお話ししたいということですが、兄も同席してよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん構いません。ご家族の縁談ですから、心配な面も多いでしょう。」
「ありがとうございます。」
「私からも感謝する。」
「では、応接室へご案内いたしますわ。」
「それでエルベス嬢、私との婚約については考えてくれたかな。」
「いえ、それについてはお断りしていると思うのですが。」
そう、何度も断っているのです。
それなのにしつこく迫ってくる。迷惑だと思うのです。
「ああ、それについては私から説明するよ。
君との婚約についてだが、知っての通り妹は婚約破棄から間もない。
それに、ウチとしてもそちらとの縁談を進める必要性をあまり感じていない。」
「たしかに、婚約するまでの期間は考える必要があると思っています。
しかし、この縁談には大きな意味があると私は思っています。」
「と、言うと?」
「はい、ご存知の通り我がマクルーガー家は、エルベス家と同様に国の経済を支える家柄であると言っていいでしょう。我が家が経営する商会の規模はご存知の通りです。
しかし、弱点はあります。もちろん、エルベス家も同様です。
我が家でいえば、エネルギー部門。
エルベス家でいえば、運送部門。
そして、エネルギー部門はエルベス家が、運送部門は我がマクルーガー家が得意としています。
この縁談によって、両家の関係を強め、双方の弱点を補い合い、そして、両家が立場を磐石なものとする。
エルベス嬢と私の婚約はそれだけの意義を持つのです。」
流石にしっかりしている。どこぞの侯爵令息とは大違いです。ですが、
「なるほど。しかし、今でも我が家は国内でも大きな力を持ち、そして、商会の経営も順調に進んでいます、強みを活かすことによって。
私も家族も、ローゼの望むよう結婚させてやりたいと、思っていましたし、婚約破棄騒動があってからは、その想いは強くなっている。」
そう、お兄様がそう簡単に折れるはずがないのです。
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