私が罪を？断罪されるのはあなたですよ、殿下

第14話

「やはりわたしはこの縁談に必要性感じない。もちろん、利があることは認めるがな。」

お兄様とマクルーガー様の一騎打ち。わたしの縁談ですから私が何か意見を言うべきなのかもしれませんが、ここはお兄様に任せておいた方が、何とかなる気がします。

「そうですか、残念です。

しかし、逆にお聞きいたします。婚約の時期は度外視して、どのような条件で婚約するおつもりですか？」

「それは、ローゼが心から好きになれる人の中から選びます。」

「しかしそれは貴族として如何でしょう。

貴族には領地と領民をより豊かなものにする義務があります。

それは、その方の感情を抜きにして、領のために人生を捧げることでしょう。

であれば、好き嫌いではなく、この縁談にどれだけの利があるのかを考えていただきたい。」

そう、私は貴族です。マクルーガー様の仰っていることは間違ってはいません。ですが、私を1人の人間として見ていないということが、見てとれるのです。

「ローゼは先日まで王太子の婚約者としてエルベス家とこの国のために尽くしてきた。

そして、婚約がなくなった今では、この家と領地のために商会の手伝いをしています。

ローゼは貴族としての責務を立派に果たしている。」

「ですが、貴族令嬢の最も大きな役割は、婚姻による家同士の縁繋ぎという部分が大きいと思いますが。」

「もちろんだ。だから婚約もこれから先一切させないということは言っていない。

マクルーガー殿は、なぜローゼとの縁談にこだわるのかな？」

「それは勿論、エルベス家と縁をもつことが最も我が家にとって利があることであり、そちらにとっても我が家との縁繋ぎは多大な利益をもたらすことであるからです。」

どちらも少しも譲る様子がありません。

私は今、貴族としての自分の役割を考えています。王太子妃という立場をなくした今、私は商会の手伝いをしているだけ、つまり平民と変わりません。

だから結婚して家同士の関係を深め、世継ぎを産まなくてはいけないことはわかっているのです。

「お兄様、私はこの婚約を受けてもいいかもしれません。

それがこの家と領地のためになるなら。」

「ま、待ってローゼ。はやまっちゃダメだよ、よく考えよう。」

「分かっていただけましたかエルベス嬢。」

「待てと言っている。」

「エルベス嬢本人が納得しているのだからいいのではないですか？」

「やはりダメだな。

君はこの縁談が我が家に大きな利益をもたらすと、そう言ったね。」

「ええ、その通りです。」

「だがそれは、君がマクルーガー家の当主となり、マクルーガー商会の会頭となってこそだ。

君は当主になれるのかな？」

「何を言っているのですか？」