第7話 兄の帰国
婚約破棄騒動のあったパーティーから1ヶ月。
私は今、実家の商会の手伝いをしています。
私は主に経理を任されていて、大商会なだけあり、動かすお金も大きく、とてもやりがいのある仕事です。
「お父様、こちらの書類お願いします。
それと、この書類のここですが、お金の動きが怪しいのですが、調べてもらうことは可能でしょうか。」
「どれ、見せてくれ。
うむ、たしかに不審な点があるな。調べておこう。」
「よろしくお願いします。」
「それにしてもよく見つけたな。さすがだ。」
「ふふ、ありがとうございます。」
組織が大きいため、不正を働く人も少なからずいますが、こうしてそれを発見したときなどに褒めてもらえるのもやりがいの一つですね。自分が役に立っているという実感がもてます。
「ああ、そういえば近々アイザックが戻ってくるそうだ。さっき知らせが来ていた。」
「え!アイク兄様が帰ってくるんですか!それは楽しみです。」
アイザックというのは、アイザック=エルベス、私の兄です。アイク兄様は、学園卒業後、大陸中の商会や商品の研究のために旅に出ていたのです。
もともと商才があり、その経営の才能はお父様を超えると言う人さえいるほどです。
でも、私は家族を大切にして、いつも優しいお兄様が大好きなのです。
「ただいま、ローゼ。
お父様とお母様もただいま帰りました。」
「おかえりなさいアイク兄様!」
「おかえりなさい。」
「よく戻ったな、アイザック。」
「ああそうだ、ローゼ、婚約破棄したそうだね。バカ王子にはちゃんと制裁を下したんだよね?」
「はい、懲らしめてやりました。」
「そうか、偉い偉い、ローゼを不幸にする奴は絶対に許さないからね、本当なら命で償って欲しいところだけど、まあ、ローゼが満足してるならいいよ。」
お兄様は、少し恐ろしいところがありますね。笑顔で言うあたりがさらに恐ろしいです。
「もうお嫁になんて行かなくていいんだからね。」
「ふふ、いい人がいなかったら、一生お兄様に養ってもらいますわ。」
「はは、任せておいて。ローゼのことは一生面倒見るよ。」
お兄様が本気の目をしてたのがちょっと怖いです。
当分婚約は勘弁ですが、いい人がいたらお嫁に行きたいですね。
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