第6話 第2王子登場
「皆、我が愚息が迷惑をかけた。
ここからはパーティーを存分に楽しんでくれ。」
2人が衛兵に連れて行かれた後、少しすると陛下が声をかけ、パーティーが再開されました。
「ロザリア、疲れただろう、控え室で休まなくてもいいかい?」
「お父様、大丈夫です。
それより、よく我慢してくれました、ありがとうございます。」
「なに、もし私が出ていったらロザリアを守るために王家でさえ敵に回すようなことをしたかもしれないしね。」
このサラリと恐ろしいことを言うのは私のお父様で、『経営の神様』とか『経済界のドン』などと、呼ばれているエルベス伯爵です。
お父様は家族を大切にする方で、娘の私をとても可愛がってくれます。ですから、殿、元王太子殿下が婚約破棄やら国外追放やら言い出した時の怒りは相当なものだったと思います。
しかし、私が殿下の不正の証拠などを用意していたのを知っていたので、あえて私に任せてくれたのです。
「お父様、恐ろしいことを言わないでください。」
「ごめんごめん、でも、よく頑張ったねロザリア。」
「はい、ありがとうございます。」
側から見れば、お父様と微笑ましい会話をしているとき、横から声をかけられました。
「あのエルベス嬢、この度は兄が失礼しました。
よろしければ私と1曲踊っていただけないでしょうか。」
「え?これはレオンハルト殿下、ご機嫌麗しゅう。
ダンスは喜んでお受けいたしますわ。」
話しかけてきたのはレオンハルト第二王子殿下で、今回の件の詫びとダンスの申し込みで話しかけてきたようです。
王子からのダンスの申し込みを断るわけにも行かないので笑顔で引き受けました。
「殿下はダンスがお上手ですのね。」
「お褒めいただきありがとうございます。でも、エルベス嬢もなかなかのものだね。」
「いえ、私などは、」
「ふふ、やっぱり君は謙遜するんだね。」
「やっぱり?」
「いや、なんでもないよ。」
「はあ。」
「ありがとうございました、殿下。」
「いや、こちらこそありがとう。楽しかったよ。」
レオンハルト殿下は昔から私に懐いてくれていて、婚約破棄など、色々あった私を慰めようとしてくれているのかもしれません。
「ロー、エルベス嬢、また家にお邪魔しても良いだろうか。」
「ええ、構いませんよ。それと、いつものように呼んでくださっていいのですよ。」
「いや、しかし、兄上の婚約がなくなった以上、私たちは、、、」
「いいのですよ、不敬に思われるかもしれませんが、私は殿下のことを弟のように思っておりますから。」
「そ、そうか、ありがとうローゼ。」
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