第3話 冤罪を晴らしましょう②
今、私と王太子殿下・セレン様は再び対峙しています。
そしてそれを、国王陛下や王妃陛下、その他の貴族がみまもっています。
「まずは殿下、もちろん殿下はご存知のことと思いますが、そちらのセレン様のために説明いたします。
王族とは命を狙われることも多く、行動するときには、必ず"影"と呼ばれる、国王陛下直属の護衛兼監視がつきます。
そして、それはその婚約者とて同じこと。
つまり、私にも常に監視がついており、私の行動は全て国王陛下に報告がいくことになっています。」
「それがなんだと言うのだ!」
ここまで言って分からないなんて、やっぱり頭の残念な方だわ。
「つまり、私がいじめなどをしていれば、それは国王陛下にも報告がいくということ。
そこで、失礼を承知の上で申し上げます。陛下、私が無実であるという証人になっていただけないでしょうか。」
「よかろう。余が証言する、エルベス嬢がいじめをはたらいていたなどという報告は一切受けていない。」
「ち、父上!」
「ちがいますぅ、王さまぁ~、ワタシはほんとにいじめられてたんです~。」
「そこの令嬢、余は発言を許可した覚えはないのだが。」
「で、でも~」
あー、あの令嬢はどこまで躾がなっていないのでしょう。
国王陛下に対して、許可もなく喋りかけ、根拠もなく陛下の発言を否定するなんて。処刑でもされたいのかしら。
「セレン様、身分というものを弁えなさいませ。」
「ひどいですぅ、またそうやって差別するんですからぁ。」
は?差別?
この方は身分制度というものを理解できていないのかしら。
「はあ、もう結構です。
とりあえず、いじめの件については冤罪であったと証明できたと思います。
そして、殿下に対する不敬についてですが、私は、あなたの婚約者として、あなたが間違いを犯した時にのみ苦言を呈してきたつもりです。そしてそれは、王太子として、未来の国王として、当然できなくてはならないことでした。よって、不敬罪に関しても、受け入れることはできません。」
「なんだと!?ふざけるな!
お前の行いは、俺に対して不敬であった。俺が言っているんだから間違いないだろ!」
「そもそも、私が殿下に苦言を呈したのは2人のときのみです。よって、殿下の名を貶めたわけではありませんし、侮辱したわけでもありません。
私が他人のいるところでそのようなことをしていないことも、陛下に報告が入っていることと存じます。」
「うむ、報告を見る限りそのようだな。」
「な、な、な、」
「よって、殿下からの婚約破棄は受け入れることはできません。」
「なに!?そこまでして俺の妃の座を守りたいのか!?」
「いいえ、それは違います。」
私は王太子妃の座に興味はありませんし、あなたとの婚約も解消できるものならしたいとかねてから望んでおりました。
殿下、反撃はここからですよ。
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