第46話 美肌丸
3月になった。花粉が気にならない春なんて何年ぶりだろう。
今日は、冒険者フジの姿でヘイデンの店『マジョルカ薬局 ニカ店』に『美肌
シホロ東ダンジョンで護衛をした時にヘイデンが試供品としてくれた、ビタミンBが主成分のサプリメントのような錠剤だ。
今の私はサプリに頼らずともお肌ツヤツヤだし、顔を見せる相手はちび達くらいなんだけど、せっかくなので試供品は全部飲んだ。
美肌に効果があるなら飲まないより飲み続けた方がいい気がする。
商売人ヘイデンの思う壺。
あと、ハンドクリームとリップクリームも買う。
日本の四季が有限だった場合に備え、代替できる物はこちらの世界産の物も使っている。
日本の四季ボックスのアイテムは毎日備蓄ボックスに移すようにした(食料品は毎日、日用品は週一回、その他は月一回)ので、仮に日本の四季が一年限定であったとしても相当もつとは思うが。
ちなみにアイテムボックスの分類はこんな感じ。
・日本の四季ボックス←ギフト
・収納ボックス(普段使い用)
・ゴミボックス
・貯水ボックス(魔の森湧水)
・下水ボックス
・魔物ボックス
・猪鹿蝶ボックス
・備蓄ボックス
食料品(一日毎に箱詰め×日数分)
日用品
その他
アイテムボックスが容量無制限とはいえ、すごい量になっている。
私が死んだら中の物はどうなるんだろう? 一緒に消滅してほしいと思ってる所有者の意を酌んで、そういう設定になってると信じたい。
「お買い上げありがとうございます。ところで、フジさんはしばらくニカにいるの?」
「決めてませんが、そうですね。しばらくは」
主な移動手段が馬のこの世界で、領都日帰りは無いよな。
ヘイデンの本日の装いは、猪鹿蝶でお買い上げのミントグリーンのスプリングニットだ。爽やかイケメン。
店内で待っている女性客からプレッシャーを感じる。ヘイデンとのおしゃべりは早めに切り上げたい。
「ユイをご存じですよね? ユウマの妹。ユイは今ニカにいるんですけど、明日の晩食事に行く予定なんです。良かったらフジさんも一緒にどうですか?」
ユイは数少ない知り合いだが、私より若い幼馴染同士の食事会に混ざるほど親しくはない。
「ひょっとしたら、スナも参加するかもしれません」
「スナさんも」
スナもいるなら、そんなに居心地悪くないかな。こういう機会でないと会うこともないだろう。
「じゃあ、ご一緒させてください」
そうだ、カヒロさんも誘っちゃダメかな? ヘイデンとは商業ギルドで顔見知りのはずだし。
…ダメだ、あっちはフジじゃなくてハナだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます