第45話 ダンジョン海鮮丼
七日目の昼過ぎに、ダンジョンを出た。
他人と行動を共にしての一週間は長かった。昨日と今日は完全休業日だ。
今日のランチはダンジョン海鮮丼。シホロ東ダンジョン24階層産である。
24階層では、魚、海老、イカ、蟹、海草等、ダンジョン固有種の海の幸を獲っている。
どれも美味しいが、特にダンジョンウニが絶品で、私の海女さんスキルが上がっている。
残念だったのが貝だ。ウキウキして潮干狩りをしたら、ダンジョンアサリ二つでバケツが一杯になった。
でかい貝、グロい。
他の種類もA4サイズ以上の大きさで見た目が受け付けず、貝柱しか食べていない。
ダンジョンアサリのせいで、最近は普通のアサリまでグロく見えるようになってしまった。クラムチャウダーもボンゴレビアンコも好物だから食べるけど。
ランチは、22階層の滝の前で取っている。
ここは雨と外敵避けのドーム状の結界を常に張ってある。ちび達の出入りは自由だ。
最初は木のベンチしか置いていなかったのだが、整地して今はリゾートホテルのバルコニーにあるようなガーデンソファとテーブル、餌用の台と水浴び用の鉢を置いている。
私の隣では、ジャクが生米、キョウが生肉を啄んでいる。
アイベは魔の山の中腹に帰した。ちびは森に戻っている。
キョウがしばらく留守にしていて寂しかったのか、二羽はずっと一緒にいる。いつも以上に仲が良い。
一昨日ダンジョンを出た後、ヘイデンは先にシホロ町へ戻った。翌朝の乗合馬車で領都ニカに帰るとのことだった。
私とユウマは冒険者ギルドの出張所で護衛の達成報告をして、協力して狩った分の素材とダンジョンホシイカモドキの森の情報を売り、得たお金を二人で分けた。
ユウマからパーティを組まないかと誘われたが、ソロが気楽だからと断った。
パーティだとメンバーの都合に合わせなきゃいけない。ユウマとの狩りは楽しかったし、今回みたいに臨時で組むならいいけど、私は自分のペースでのんびりしたい。
ユウマは「そっかー。フジは攻撃も防御も一人でいけるもんな」とあっさりしていた。
ヘイデンからはまた指名依頼を受けてほしいと言われたので、もしまた機会があればと答えておいた。
二人に一番重宝されたのは結界だろう。大抵の魔術師は魔力温存のために必要最小限しか結界を張らないらしい。
加えて、私は大容量アイテムボックスと馬車、空間拡張テント(キッチン・トイレ付き)持ちと思われている。
元々、シホロ東ダンジョンは冬の間だけの予定だった。
とりあえず、離れがある22階層とスキー場の20階層、海の24階層に行けるようになったので十分だ。
(春になったらお花見がしたいな。……こっちにソメイヨシノは無いか…)
海鮮丼を食べ終わって、梅酒を飲みながらまったりする。
(ちびが桜だったら…いや幹からして違うのはわかってるけど、ピンクの花が満開のちび、可愛いだろうなあ…。花が咲いてなくてももちろん可愛いけど)
酔ってないがいい気分だ。戯れるジャクとキョウを見ながら、こうやってだらだら飲むのはいいものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます