第42話 卵料理

 ダンジョン22階層の離れのキッチンで、ダンジョンダチョウの卵を取り出す。5kgの米袋を持っている感じだ。

 金鎚かなづちで厚い殻を割っていき、特大ボウルに中身を出した。


 鑑定して『食用可』であることを確認し、洗浄魔法で滅菌する。


 鶏卵と比べて、白身の割合が大きい気がする。料理本によると、鶏卵の黄身:白身はMサイズで2:3だ。

 黄身を別のボウルに転移させて白身と分けてから、黄身2:白身3で混ぜたもの、黄身だけ、白身だけの3種類にし、それぞれ保存袋に小分けした。すぐ使う分以外はアイテムボックスに入れる。


 まずはスクランブルエッグを作って、ダンジョンダチョウの卵の味を確かめる。可もなく不可もなく、普通の卵の味だった。


 作り置き一品目は、フレンチトースト。

 食パンは魔の森のパン工房でまとめて作って、パンスライサーで切ってアイテムボックスに入れてある。今回は厚さ3㎝の物を8枚用意した。

 卵に牛乳と砂糖を混ぜて濾した液に食パンを浸け、冷蔵庫に入れる。4時間は浸しておきたいので、最後に焼くとしよう。


 次に、マヨネーズ製造機を使ってマヨネーズを作る。

 これでポテトサラダとコールスロー、海老マヨ、オープンオムレツ3種類(魔猪ハムとエリンギ、魔猪と魔鹿の合挽き肉と赤パプリカ、ツナとコーン)を作ろうと思う。


 あとは今晩用のおかずと、時間とやる気が残っていたら、キッシュとだし巻き卵でも作ろうかな。


 洗浄魔法とアイテムボックスのおかげで、調理道具の片付けが簡単だから捗るよ。


 ◇◇◇


 夕方、転移して21階層のテントから出ると、結界の外をゆっくり歩くダンジョンゾウの群れをバックに、ヘイデンとユウマが仲良く筋トレをしていた。

 何だろうこの絵面。ワイルドといえばワイルドなんだけど。

 二人には食事の前に洗浄魔法をかけた。


 今晩のメニューは、かぶのスープ、ヒヨコ豆のサラダ、魚介のパエリア、パン、リンゴ。

 ヘイデンが取り分けてくれる。美味しそうだ。


 追加で、今日作った料理をアイテムボックスから出した。

「これ、ダンジョンダチョウの卵で作ったフロマージュオムレットです。良かったら召し上がってください」

「あのでかい卵か」

「ありがとうございます。いただきます」


「すげえ、ふわふわ!」

「卵白を泡立てて作るので」

「美味しいですね。レシピを教えてもらえませんか?」

「じゃあ、明日メモをお渡しします。使っているのはサント町産のクリームチーズで…」


 明日料理本を写そう。

 何でも食べてくれそうなユウマはともかく、料理上手なヘイデンにも気に入ってもらえたようで良かったよ。

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