第40話 狩り
ユウマはスフィンクスの件でちょっと落ち込んでいるようだったので、下手に慰めるより、狩りを手伝ってもらうことにした。
狩りの獲物は、私がソロの時は避ける半分人型の魔物。空から襲ってくる半分鳥のハーピーや、低木に潜む半分蛇のラミアだ。
私が馬車の中から雷魔法を放って魔物を感電させ地面に落とし、外に出たユウマが剣で止めを刺す。
私が落とした獲物に喜んで駆け寄るユウマは、なんか猟犬っぽい。
甲斐犬から名前をとった魔狼のカイとは狩りをしなかった。
猟犬欲しかったんだ。楽しくなってきた。「とってこーい」って言いたい。
(あ、ダチョウだ)
ダンジョンダチョウを見つけて石槍を投げたが、
(あれ?)
連続で投げるも、ダンジョンダチョウはヒョイヒョイと逃げ、
(……)
ダンジョンダチョウが勝ち誇ったようにこちらを見て、ユラユラ体を揺らしている。
(…挑発してんのか?)
いくら動く馬車の中から投げているとはいえ、こうも当たらないとは。
(ファイヤー!)
悔しくなって、巨大な火の玉をぶつけて一瞬で丸焼きにした。
(すっきりした!)
が、突然の過剰攻撃に驚いてヘイデンは馬車を止め、ユウマは固まっている。
ドロップ品は5kgはありそうな大きな卵だったのでキョウは運べず、自分で回収に行った。
「卵料理にして三人で食べましょうね」
「お、おう…」
その後も、ユウマと協力して狩りを続けた。
二人で倒した魔物の魔石とドロップ品はユウマに、私が単独で倒した魔物の分はキョウに回収してもらいながら、順調に進む。
「そろそろ昼食にしようか」
御者席のヘイデンから声が掛かった。
「おう、腹減ったー」
馬車を降りて結界を張り、キャンプ用シェードの下にテーブルと椅子を出す。
「アイベ、お疲れ様」
アイベの首を撫でてから、水と、アイベにはキャベツとパセリ、キョウにはダンジョン鹿肉を出した。
キョウは肉食で、虫や小動物の他、蛇食鷲の名のとおり蛇も食べる。
美脚でダンジョン蛇を蹴り上げ、なぶり殺しにしているのを何度か見た。もう少し大きくなったらラミアも蹴り殺しそうだ。
ヘイデンが自分のアイテムボックスから出してくれたランチは、ガスパチョのような冷製スープと、ハニーマスタードチキンや海老とアボカドなど具が綺麗に詰められたピタパン数種類、デザートにフルーツ盛り合わせ。
どこのお洒落カフェだ。味もプロ級である。
「美味しいです」
「お前料理もできたんだ」
「料理と調薬は似たようなもんだしな。お前はもっと噛んで食えよ」
ヘイデン女子力高い。私の作った惣菜などお呼びでない。これは旅の間食事の時間が楽しみだ。
「このペースだと、明日の夕方には目的地に着きそうだな」
食後のゲマ茶を飲みながら、三人でヘイデンが広げた地図を見る。
「午後は御者を代わりましょうか?」
「いいですか? じゃあ、お願いします」
「フジ、午後もガンガン狩ろうな」
うん、ユウマが赤毛の猟犬、私が猟師だね。頑張るよ。
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