第31話 迷路
スナに23階層の地図をもらった翌日、早速迷路を攻略することにした。
この機会を逃すと、次はいつやる気になるかわからない。
「じゃあ、行ってきます」
朝、ちびトレントに虫をたっぷり入れた虫籠を掛け、ちびと雛達に手を振る。
「ぴぃ」
「ぴぃ」
ちびは枝をバサバサと振り返してくれた。
階段前に転移し、23階層へ下りる。
鍾乳洞は暗い。《暗視》を使えばある程度はわかるが、はっきり見えた方が転移が使いやすいので、魔法で隅々まで明るく照らす。
ん?
「ギャー!!!!」
ウニョウニョ! 水溜まりに小さい足が生えた白ウナギみたいなのがいっぱい! キモい!
「ギャー!!!!」
ゲジゲジ! 壁に大きな太ったムカデみたいなのがびっしり! キモい!
そこからは地図を握りしめ、高速で転移を繰り返した。《マップ》のおかげで現在地を見失うことはない。
途中、潜水が必要な所もあったが、結界内に空気を貯めて潜り、ひたすら先に進んだ。
魔物も素材の採掘ポイントも全て無視した。
トイレ以外の休憩は一度も取らなかった。離れのリビングで休んだら迷路に戻りたくなくなる。一気に終わらせたかった。
夜、ゴールの24階層への階段にたどり着いた時には、疲れ果てていた。
一回の転移で距離が稼げないので、転移の回数も相当いったと思う。
24階層へ下りてから、離れへ転移する。
(なんかもう、ダンジョンの攻略なんてしなくていい気がしてきた…)
ぐったり。
スナはウニョウニョやゲジゲジのことは言っていなかった。わざわざ話す程の生物じゃないという認識なのか。いや暗くて見えなかったのかもしれない。知らぬが仏。
何はともあれ、正解ルートの地図がもらえていて本当に良かった。素人の作ったマフィンやシュトレンがお礼では釣り合っていない。
《洗浄》をかけ、食事も取らずに寝た。
◇◇◇
翌朝は、いつもより遅い時間に目覚めた。
お腹がペコペコだ。昨日は朝しか食べてないからな。
朝御飯は和定食にした。大根の味噌汁が美味しい…。
朝食後滝の前に転移すると、既にちびトレントが立っていた。
ちびは私を見ると駆け寄って来て、私の足を葉でペチペチした。
これは、心配したのか労ってくれてるのか。
「おはよう。ただいま」
食欲旺盛な雛達のために虫を集めに行く。雨天だけど、空があるって素晴らしい。
ちびが雛達の口に餌を運ぶ隣で、滝を観ながら甘味タイム。かんころ餅を味わい緑茶を飲んでまったりする。
もう一度虫を取ったら離れに戻って、炭酸泉の入浴剤を入れたお風呂にゆっくり浸かろう。
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