第23話 シホロ東スキー場

「ひゃー♪」

 スキーにはまった。

 ここは、シホロ東ダンジョン20階層の雪山だ。


 ◇◇◇


 11階層から20階層は、魔物の強さはD~Cランク相当なのだが、環境が過酷だった。厳しい暑さと寒さの階層が交互に現れる。

 魔法が使えない冒険者は、装備と魔道具をしっかり揃えないと進めないだろう。


 急いで攻略する必要はないし、丸一日ダンジョンにいるのもしんどいので、ダンジョンに行く日は午前のみ潜るようになった。

 のんびり朝食を食べてからダンジョン入口に転移し、1階層から前回のゴール地点に転移して、お腹が空くまで進んで、昼食を食べに家に戻る、というパターンだ。


 魔物とはほとんど戦っていない。転移先の近くに魔物がいれば倒す程度。


 商業ギルドの委託販売で収入があるので、自分で食べる魔物以外は狩る意欲が湧かない。

 ダンジョンにも食用可の魔物はいて、他の冒険者は食材にしている。でも見た目がグロかったりして、私は食べる気になれない。なまこやタコみたいに実は美味しいのかもしれないけど。

 

 ダンジョンの主目的が観光とレジャーになっている。


 11階層で見た砂漠の朝焼けは、震えるほど美しかった。この赤く染まる砂漠を見るためだけにダンジョンに潜る価値がある。


 ダンジョンの太陽や星は一体何なんだろうか。


 日が昇った砂漠は、15分で飽きた。

 ワームと戦う冒険者や、流砂や蟻地獄に足を取られそうになっている冒険者を尻目に、さくさく進む。


 地味に辛かったのが雪の平野だ。一面真っ白。何も無い。そして広い。マップがあっても進んでいる気がしなかった。


 その後火山や氷山等がある階層を抜け、この3日間、朝から夕方まで20階層でスキーをしている。


 スキーは学生の頃にした事がある。初級コースでもそこそこ楽しかったが、大して上達しなかった。

 が、今は勇者の身体能力。斜面をスピードに乗って滑り降り、山頂に転移し、別ルートでまた滑り降りる。ぐんぐん迫る雄大な雪景色、風を切る爽快感。すごく面白い。


 スキーを満喫し、翌日は休んで、次の日は商業ギルドで商品の補充、また1日休んで、翌朝、20階層のボスに挑む。


 20階層のボスはイエティだった。白い毛皮の、ゴリラと熊のハーフのような、雪男(女?)。


 私が放った火魔法の炎に包まれたイエティに、連続で投げた石槍がドスドス刺さり、イエティは靄となって消えた。後には魔石と毛皮が残った。


 21階層は荒野だった。魔物はCランク。


 そして、22階層。雨だ。屋久島のような森が広がっていた。

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