第22話 シホロ東ダンジョン

 シホロ東ダンジョンの低階層に潜っている。


 これまで私が見た魔物といえば、魔鹿や魔蛇等、通常の生物が大きくなって気配が変わる程度だった。

 だが、ダンジョンの魔物は違う。妖怪や怪獣みたいな見た目だ。良くできた作り物のようで、かえって怖くない。

 低階層に強者の気配はなく、結界のおかげで危険もないので、お化け屋敷かテーマパークに遊びに来てるみたいだ。


 魔物を鑑定してみると、これまでは『魔○○なんとか』シリーズだったのが、ダンジョンでは『ゴブリン』だの『コボルト』、『オーク』だのと、カタカナシリーズも出てきた。そのうち覚えられなくなると思う。


 シホロ東ダンジョンは地下に潜っていくタイプのダンジョンで、現在63階層まで攻略されている。


 ダンジョンは階層毎に様相が変わる。1~10階層は、洞窟→草原→針葉樹林→湿原→熱帯雨林を二巡した。

 世界自然遺産観光のようだ。冒険者と魔物があちこちで戦っていなければ。


 魔物は3階層までは下級、4~10階層は中級Dランク相当だった。

 低階層は冒険者の数が多いので、透明人間結界(結界+気配遮断+迷彩)をかけて、冒険者ギルドの出張所で買った地図を見ながら《マップ》も使い、最短距離で転移を繰り返す。


 10階層にはボス部屋がある。

 ここまで魔物とは全く戦っていない。低階層で他の冒険者に気を付けながら低ランクの魔物と戦うんだったら、一人で魔の森で狩りをする方がいい。


 熱帯雨林の中に現れた、異質な扉。この扉の向こうに、オーガがいるはずだ。オーガは鬼のような魔物だ。


 扉の先の、隔てられた空間に足を踏み入れてすぐに雷魔法を放つ。

 

 あっさり倒れたオーガは淡く光るもやになって消え、後には魔石と角が残り、アイテムボックスに入った。


「終わった…。不思議…」

 ゲームっぽい。解体いらずだ。


 ボスを倒すと、奥に階下への階段と転移陣が現れた。

 

 階段を下りると、11階層は砂漠だった。今日はここまでにしよう。

(家に転移…ダメかー)

 10階のボス部屋に戻り、転移陣の上に立つ。


 1階層の洞窟の、出入口そばの小部屋に出たようだ。

(11階層に転移…できた。階層をまたいでの転移は可能ってことか)

 再度1階層に転移し、歩いてダンジョンの外に出て、家に転移した。


 11階層からは魔物が強くなって冒険者が減るだろう。今日は巻きで移動したが、次回からはゆっくり攻略しよう。

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