第21話 Dランク

 冒険者になって2か月、冒険者のランクが下級Eランクから中級Dランクに上がった。


「昇級おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 冒険者ギルド イキュ支部の受付で、銅のプレートがはめ込まれたタグをゴリラ1号から受け取った。

 これでCランクの依頼も受けられる。

 早速、アイテムボックスに入れっぱなしだったCランクの魔物の納品依頼票を掲示板から剥がして、納品・買取窓口へ行く。


(やっと在庫処分ができる)

 アイテムボックスが容量無制限でも、売る以外の用途がない物はとっとと売ってすっきりさせたい。


 解体を待つ間、訓練場でゴリラ3号に剣の稽古をつけてもらった。


「おかげ様で、Dランクに昇級しました。拠点をシホロ町に移そうと思います」

「え!」

 へ? そんな驚く?

「それは…おめでとう。フジがシホロ町に移ることを、アランは知っているのか?」

「? アランってどなたですか?」

「…受付に座ってる男だ。俺の息子なんだが」

「受付の人が息子⁉ え、ロランさんおいくつなんですか?」

 40代半ばくらいかと思ってたけど、もっと上だったのか。

「43歳だ」

「は? じゃあ息子さんは?」

「20歳だ」

「20歳⁉」

 老けてるな!

「……」

「…あの、拠点を移すときは支部に報告する義務があるんですか?」

「いや、無い。上級ランクの者には知らせてほしいとお願いしているが」

「そうですか。またそのうちイキュ支部にも顔を出すと思います。ご指導ありがとうございました」


 肉とお金を受け取りに納品・買取窓口へ行き、ゴリラ2号にも挨拶する。

 ゴリラ2号も「アランには言ったか?」と言うので帰りに受付に寄ったが、ゴリラ1号は席を外していた。

 忙しいのかもしれない。ゴリラ3号から伝わるだろうし、帰ろう。



 ◇◇◇


 商業ギルド ニカ支部での委託販売は順調だ。

 編み物の売上げが好調なので、11月から売り場スペースを今の倍にすることにした。これが借りられる最大だ。利用料月金貨1枚。


 衣類はこちらの世界では高いので、猪鹿蝶でも相場に合わせている。

 二代目異世界人の女性は、作った服を売って結構稼げてたかもな。


 今月はハロウィーングッズから、陶器のジャックオランタンの小物入れとか、お化けの絵が描かれた皿とか並べているが、なぜか売れている。

 可愛いのかよくわからないゆるキャラグッズなんかも意外と売れるかもしれないな。



 ◇◇◇


 家とパン工房の結界の中は常に気温23度にしているので季節は関係ないのだが、リビングにこたつを出した。


 魔の森はだいぶ気温が下がってきた。魔の山は雪で白くなっている。

(アイベやカイは元気にしてるかな)


 冬の間は、シホロ東ダンジョンで活動することにしよう。

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