第9話 冒険者ギルド

 冒険者ギルド…ファンタジーだ。


 四人組の後ろに付いて中に入る。

 男性三人は槍、弓、杖、女性は剣を持っている。そういえば、初代異世界人は剣士の彼女に殺されたんだったな。

 …いらぬ話を思い出してしまった。

 杖を持った男性は魔術師だろう。ローブのフードを目深に被っている。この格好顔が隠れていいな。真似しよう。


 中は、右手の壁に掲示板、正面にカウンター、左手奥がフードコートみたいになっている。

 人は疎らだ。午後の早い時間は空いてるんだろう。フードコートには大声で騒いでいるグループがいるが、オーバーアクションの外国人って感じでガラが悪いというほどではない。


 私の前の四人組はカウンターに向かい、受付の男性職員に達成報告をしている。

 残念ながら猫耳の美少女が受付嬢だったりはしないようだ。

 

 掲示板にはランクごとに依頼票(魔物討伐、護衛、雑用等)が貼られている。

 その横の買取り素材一覧表には、魔物や植物、鉱物の名前と、標準買取り額、推奨ランク、場所、注意事項等が載っている。

 高額なのは、魔の山─イキュ町と魔の森の間の山々─の素材だ。


 この町は魔の山で稼ぐ冒険者で経済が回っているようだ。町の規模の割に宿屋が多いし、冒険者ギルドの建物も大きい。


 カウンターの裏には買取窓口と解体場、倉庫、訓練場、2階には資料室、会議室、応接室、事務室がある。


 買取窓口に行ってみる。


(…これ、従魔?)

 売払いが終わったらしい冒険者が電子レンジサイズのカブトムシを連れている。魔カブトムシは犬のように冒険者の横を歩いていた。

(まさか、魔蜘蛛の従魔もいたりするの? 見たくない!)


 窓口では冒険者パーティの一人が、バッグから魔コウモリを次々出している。

(…アイテムバッグだ)


 資料室は職員が一人いるだけだった。並んだ本の背表紙を見ると、魔物、植物、鉱物や、武術、魔術の資料だ。

 

 1階に戻り、出入口横の壁に貼られた、この町周辺、ニカ辺境伯領の大まかな地図を見る。

 イキュ町から西に70kmに、領都ニカ。

 領都ニカから南に35kmに、テンゴ村。

 テンゴ村から南西に120kmにサント町。王都方面だ。

 テンゴ村から南に100kmにシホロ町。シホロ町の近くにシホロ東ダンジョンがある。



 冒険者ギルドの次は、冒険者向け道具屋に入る。

 回復、毒消し等の各種ポーションや、ランタン、毛布等の野営用品、麻袋、ビン、虫除け香、ロープ等が売られていた。アウトドア用品店みたいだ。

 アイテムバッグは陳列はされていなかったが、小サイズ金貨30枚と書かれた紙が掲示してあった。


 その後、武器・防具屋、雑貨屋、服屋、屋台の品揃えと値段を確認し、ずっと回していたカメラの電源を切って、家に転移した。

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