第7話 猟銃

 異世界4日目。世界樹の枝は元気だ。

 朝食はフルーツサンド。美味しいし見た目も綺麗。


 午前はキッチンに色々道具を揃えていく。日本では置く場所がなくて諦めていた物もどんどん出す。

 食器や茶器、カトラリーやお箸は、贈り物以外で買ったことがないお高めな品を揃えた。

(テンション上がる~。料理本も出しておこう)


 キッチンを使いたくて、料理をすることにした。昼食は私の夏の定番、冷やし中華風パスタにしよう。

 中華たれを作って、玉葱、ピーマンの薄切り、人参の千切りと、ワカメを浸けておく。平皿にラップを敷いて卵にマヨネーズを少し混ぜレンジで薄焼き玉子を作る。

 後は重曹と塩を入れたお湯でパスタを茹でればいい。ミニトマトと、生のエビと蟹(カニカマではなく本物の蟹)を載せよう。


 午後は書斎。お洒落な建築士が使ってそうな机と椅子を出す。カーテンじゃなく木のブラインドにして、壁に絵を飾って終わり。

 手帳と文房具一式を出し、この4日間の出来事を記入した。



 一段落して、キッチンでブルーマウンテンを挽き、ハンドドリップでコーヒーを入れる。


(猟銃ないかな)

 コーヒーで一服しながら、攻撃手段について考える。コーヒー、湧水のおかげかまろやかで美味しい。


 魔鹿や魔猪なら、猟銃でいけると思う。石槍を投擲するよりいいんじゃない? 石槍の方が使えるなら猟師さんが銃使ってるわけないもんね。


 専門誌を見ると、銃は大きく分けて散弾銃とライフル銃。弾が色々あるんだな。獲物によって使い分けるのか。

 鹿、猪、熊なら、散弾銃のスラッグ弾でいいのか? うーん、普通の獣じゃなくて魔物相手だから威力があるライフル銃の方がいいのかな。

 《望遠》を使えば遠くまで見えるからスコープは要らない気がする。いや、照準を合わせるのにあった方がいいのか?

 どの製品がいいんだろう? 種類が多くてわからない。

 試しに、日本の四季から適当に一丁取り出してみる。狩猟免許が無くても出せた。

 音、結構大きいのかな? サイレンサーもあるのか。

 お手入れが必要なんだろうな。暴発したら大変だ。


(……当面、石槍と魔法でいいや)

 面倒くさくなって、銃を日本の四季ボックスに戻した。


 銃はあっさり諦めたが、専門誌に載っている猟犬に惹かれる。賢そう。甲斐犬かっこいい。可愛いのはビーグルかな。


 日本の四季で猟犬を検索するが、出てこない。ペットや園芸用の植物の種もだ。そうだろうと思った。どうやら、食材として以外の生物はだめらしい。


 私の前にこちらに喚ばれた二代目異世界人の女性は猫を飼っていた。ペットはこちらの世界産だな。



 ◇◇◇


 翌日は雨だった。

 結界が傘になって庭には雨が降らないので、世界樹の枝には、土の状態に応じて水魔法が発動する設定にしている。


 明日晴れたら、町のそばまで行ってみよう。

 まずは町に出入りする人達を観察して、浮かない格好を知る必要がある。言葉が通じるかも確認したい。

 それに、私はこちらのお金を持っていない。何か売るか働くかしてお金を手に入れなくては。

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