第5話 家

 森の中、昼食を食べたテーブルでアイスカフェオレを飲みながら、日本の四季画面で家を探す。


 高原の別荘地に建っていそうな、ナチュラルな外観と内装、設備は最新で機能的な2LDKの平屋があった。キッチンとリビングが広い。太陽光発電付きオール電化。これにしよう。森に馴染みそうだし。

 アイテムボックスがあるから物はそんなに置く必要ないし、客も来ない。住んでみていまいちだったら別の家と替えればいい。


 日本の四季から出した本を参考に、向きと面積を確認して、土魔法で基礎を造る。その上に、家を出した。

(…こんなでかい物が一瞬で現れるって凄いな)


 上下水道は無いので、アイテムボックスに池の湧水を入れ、その貯水ボックスから出した水に《加圧》し給水、下水は一旦下水用のアイテムボックスに入るようにした。

 下水ボックスの水は不純物を完全に取り除いてから近くの川に出すことにする。

 不純物の方は、スライムに食べさせて大丈夫な物とダメな物に分けて、ダメな物は最終ゴミボックス行きだ。

 スライム捕まえて来ないとな。


 電気については、太陽光発電だけで賄えない場合は発電機か雷魔法でなんとかならないかと考えていたら、日本の四季の商品リストに電気があった。足りない分はここから蓄電池に貯めることにしよう。


 これで水と電気は確保できた。


 半日で家を手に入れてしまった。私の貯金はなんだったんだ。


 次は家具と家電製品だ。

 が、お腹が空いたので、それは明日にする。家全体に洗浄をかけ、周りに結界を張った。


 世界樹の森にテントやトイレをそのままにしてきたし、今夜は戻ってテントで寝よう。

 夕飯何食べよう。生姜焼きでいいか。



 ◇◇◇


 異世界3日目、今日もすっきり目覚めた。清々しい朝だ。

 熟睡できたのはここの清浄な空気のおかげかもしれない。

 昨日、家の前からここに転移したら、空気の違いをはっきり感じられた。

 家の空気をここの空気に換気することはできるが、この清浄さは空気の成分ではなく世界樹の存在による気がする。


 朝食は精進料理にした。なんとなく浄めな感じで。


 キャンプの後片付けをして、世界樹を見上げ挨拶する。

 パンパン

「二日間お世話になりました。また時々お邪魔させてください。今後ともよろしくお願いいたします」

 つい柏手を打ってしまった。


「よし行くか」

 家の前に転移しようとした直前、アイテムボックスに何か入ったのがわかった。

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