第11話

一人の青年が降ってきた。見た目は白に近い金髪でクセのあるショートカット、肌も透き通るように白い。眼は青く、白の長い睫毛が生え揃い、鼻はスラッと整っており、唇は薄く、年齢は15才前後ぐらいのあどけなさを残した美少年が降ってきた。

中性的な容姿だが彼が身にまとっていた薄い布切れの隙間から胸板が見えたので男性のようだ。


そんな少年が目の前に降り立ったので話しかけてみた。

アキラ「お前は誰だ?」


謎の少年は答える。

?「僕? 僕は神だよ。」


奇しくも神と名乗る少年と一人称が被ってしまった。だが、神? 


アキラ「神? そんなものがいたのか?」


神「ん~、正確には思念体かな。君達の世界の70億の人間がいるだろう? そいつらが神という存在を多かれ少なかれ望んだ。その思念の影響で僕を創り上げた。まあ、この姿も君達がイメージする理想が形作ったんだけどね」

神と名乗る少年は明るい口調でそう話した。随分と俗な神だな。


アキラ「ということはここは天国か?」


神「いや、ここは僕の家だよ。天国ならさっき見ただろ?」


それを聞いて体に寒気が走る。天国? あれが天国? あの虚無が? 何が天の国だよ! 地獄といっても差し支えが無いぞ! 


アキラ「何で僕は生きているんだ? さっき死んだはずなのに。」


神「ああ! 僕が生き返らせたんだ。」


アキラ「何の為に?」

そう言った途端、神が先程までと一変し、冷たい口調になる。



神「君はさっきから自分の質問ばかりだね、僕の話を聞こうともせずに。そもそも挨拶すらもしてないよね僕はしたのに。その上、生き返らせた事に対するお礼も言わないつもりなのかい?」


少しムッとなったが、言われてみればそうだ。だが、言い訳をするようだが、こちらとていきなりこんな所にいるんだ、すぐに冷静になれないだろう。


まあ、とりあえず挨拶とお礼をしよう。


アキラ「僕はアキラといいます。生き返らせてもらいありがとうございます。」


神「言われないと何も出来ないのかい? まあいいや、さっきの話の続きだけど、君に頼みたい事があってね。」


言葉に嫌味が含まれてるな。言ってる事は正論だが何だか腹が立ってきた。


アキラ「嫌だ! 他の人に頼んでくれ!」

少し声を荒げて言ってしまった。


神「いいのかい? そしたらまた死んでもらうけど?」


死ぬ? またあの世界に行くのか? 怖い! あんな所に二度と行きたくない。ヤバい、やっぱり前言撤回しよう。


アキラ「すまない、やはりやらせてくれ。」

僕はお辞儀をしてそう言うと


神「そうだよね、さっきはあれだけ泣き喚いてたからね。」


…ッ。自分の顔が赤くなっているのがわかる。先程のを見ていたのか! あの醜態を! そしてすぐに話しかけることはせずに僕の様子を観察していたのか! 



何て嫌なヤツなんだ。僕はジロッと睨むと、神はニヤニヤと笑っていた。




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