第16話 建国
サンフロール王国が滅び、わたくしたちは新たな国を建国します。
しかし、王家を倒したからといって、新しい国がそのまま誕生するわけではありません。これは独立であって革命ではありません。つまり、他国と平和条約を結び国境を確定しなくてはなりません。
そのため、今我が家は大忙しです。
また、ソラリアス帝国とミカルネス王国の両国との同盟の調印式も一緒にやることになっているので、その準備もあるのです。
「お父様、会場の準備は整いましたわ。」
「そうか、お疲れ様セレ。」
「いいえ、お母様たちも手伝ってくださいましたし、私のやったことなど些細なことです。
ああ、お兄様が条約の草案について意見が分かれているので、お父様の意見も聞きたいとのことです。」
「ん、そうか、私はもう引退するのだかな。
まあいいだろう、後でそちらに向かうと伝えてくれ。」
「分かりました。では。」
---アルベルトside---
うーむ、セレナはやはりできた娘だ。
何より可愛い。
もう嫁になどやることなど考えたくもない。
なのに、なのに何故まだまだ縁談などくるのだ。
「厄介だ。まさかソラリアス帝国の第一皇子との縁談が来るとは。
同盟の象徴として、か。」
なんとも悩ましいことだ。
これから同盟を結ぼうという国の皇太子との縁談では無碍に断ることもできん。
コンコンコン
「アル、私よ、入っていいかしら。」
「ああ、アリスか。入ってくれ。」
「ハァ、調印式の準備となると疲れるわね。」
「お疲れ様アリス。だいぶ無理をさせてごめんね。」
「大丈夫よ、久しぶりに愚弟にも会えるしね。」
「ああ、ミカルネス王国の国王だよね。お手柔らかにしてあげてね。可哀想だから。」
「もー、私はいじめてるわけじゃないわよ。」
「ははは、でも彼は君に頭が上がらないらしいからね。」
「ま、ほどほどにしておくわ。」
---アルベルトside終わり---
夕方になると、だいぶ落ち着いてきました。
「お兄様お疲れ様でした。草案はまとまりましたか?」
「ああセレナ、ありがとう。大体まとまったよ。これで調印式はなんとかなるかな。」
調印式当日、ソラリアス帝国とミカルネス王国から皇帝陛下、国王陛下が到着しました。
また、ソラリアス帝国からは第一皇子殿下もいらっしゃっているようです。
ミカルネス王国国王は、お母様の弟で、何度か会ったことがありますが、とても物腰の柔らかい方です。
「おじさま、お久しぶりです。」
「おおセレナ、久しぶりだな。
姉上と義兄上もご無沙汰しております。」
「久しぶりね、元気にしてた?」
「はい、それはもう。すこぶる元気です。」
「そんなにかしこまらないで、こちらがお招きしている立場なのだから。」
「ははは、そうですね。」
叔父様がお母様に頭が上がらないのは相変わらずのようですわね。
なんでも、王太子時代に、なかなかうまくいかない婚約者との仲をとりもったり、大失敗をしたのをフォローしたり、お母様は叔父様に貸しがあるのだとか。
ソラリアス帝国の皇帝陛下は、1度だけ会ったことがありますが、威厳に満ち溢れた立派な方です。
「ようこそおいでくださいました。」
「いやいや、こちらこそ、ようやく平和条約を結べることを嬉しく思うぞ。」
「陛下、お部屋へご案内いたします。」
ソラリアス皇帝陛下とは、それほど会話もなく、挨拶が終わりました。
そのまま調印式は無事に終わりました。
今夜は、その宴のパーティーがあります。
これでようやく、オルステイン公国が建国されたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます