第13話 王太子side②
卒業パーティーの後、父上には叱られたが、結局、オルステイン公爵家に責任があるということで、父上も母上も納得した。
そうだ、これまで散々面倒を見てやったんだから、慰謝料をもらっていいはずだ。すぐに、慰謝料を請求しなければ。
そう思っていたのに、あろうことかオルステインの者どもは、婚約破棄に関して王家に責任があるなどとぬかし、挙げ句の果てに独立宣言などしやがった。
身の程知らずめ、あんな恩知らずな家は滅ぼしてしまえばいいんだ。
そうだ、母上も言っていたではないか、これ反逆者どもを捕らえるための正当な戦いだ。
クソッ!議会が拒否しただと!?
揃いも揃って生意気な奴らめ!
「おい!貴様らなにをヘラヘラしている!真面目に仕事をしろ!」
目の前をヘラヘラ笑いながら歩いている騎士がいて、気を晴らすために怒鳴りつけてやった。
「はあ、でも我々はもうここの騎士団を辞めましたから。」
なに?こいつら正気か?
我がサンフロール王家に仕える誉高き騎士団だぞ。
まあ、どうせクビにでもなったんだろう。そういえば、騎士団でも公爵家を相手にビビっているらしいからな。こいつらは腰抜けだ。
「何を言っているのだ!クビになったのなら早く出ていけ!この腰抜けどもめ!」
「「ハア」」
騎士2人はため息をついて歩いて行った。
コイツら!この私を無視するなど、ふざけたマネをしおって!
「貴様ら!この私に対して不敬であるぞ!斬り伏せてくれる!」
「大した訓練もしてこなかった貴方が俺たちに勝てると思ってるんですか?」
「うわっ!」
こいつらは、この私の剣を弾き飛ばし、あまつさえ剣を向けてきた。
「き、貴様ら!この私にこのようなことをして許されると思ってのか!」
「はあ、今はまだ殺したりしませんよ。まあ、俺たちがこの国をさったあとのことは知りませんけど。」
「くっ!必ずお前達の家もろとも潰してやる!」
絶対に許さん!
王家に逆らった馬鹿どもが独立だなんだと騒いでる間に、お祖父様であるセルファイス公爵が到着した。
「お祖父様、よく来てくれた。はやくオルステインを滅ぼしましょう。」
「おおフリード殿下、久しぶりだの。可愛い娘と孫のためだ、あのような家は早く滅ぼすに限るな。」
はははっ、こちらは王家と公爵家だ、オルステインなどに勝ち目はないわ!
そのはずだったのに、何故だ!
こちらの軍が負けた?!
クソッ!そんなはずはない!
「フリ~ドぉ、お父様が死んじゃったよぉ。」
クソクソクソッ!
こうなればアイリなどどうだっていい、とにかく私だけでも逃げなければ。
「アイリ、お前は自分の部屋にでもいなさい。私はやることがある。」
「で、でもぉ。」
「いいから!はやくいけ。」
「ひ、は、はい。」
はやく逃げよう。
そうなれば逃走資金が必要だ。まあ金庫に行けばいくらでも金はあるだろう。
案の定、金庫の中には金目のものが山ほど眠っていた。とりあえずかさばらないものだけ持っていこう。
そのとき、
「フリード=サンフロール!貴様らはすでに負けた。よって、捕らえさせてもらう!」
「なっ!クソッ!私は王太子だぞ!」
「うるさい!お前達は負けたんだよ!今まで散々見下してきやがって!」ドカッ
「ウベっ!」
なっ!?こいつこの私を殴っただと?!
なんたることだ!絶対に許さんぞ!
「おい!ここから出せ!ふざけるな!」
「私を誰だと思っているの!?はやく出しなさい!無礼者!」
「私は悪くないわ!私はヒロインなのよ!こんな扱いおかしいわ!」
今はオルステイン公爵邸の地下牢に閉じ込められている。
父上はもはや何も言わなくなっている。
母上もアイリも喚いているが、誰も助けになどこない!
アイリなど人が変わっているではないか!なんなのだ一体!
クソッ!これからどうなるんだ!
絶対に思い知らせてやるぞオルステインめ!
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