第12話 戦争はあっさりと終わりました
王家が派遣した軍は、わが公爵家に比べて、圧倒的少数であり、質もだいぶ低いようなものでした。
そのため、こちらが一方的に蹂躙する形で、勝利を収めたのです。
---数時間前の公爵邸---
「お兄様、お父様は本当に前線に出るつもりのようですわね。」
そう、お父様は『私が最前線に立って敵をなぎ倒してくれる!』と言って、周囲が止めるのも聞かなかったのです。
一応、お父様はこちらの大将なのですが。
「まあ、仕方ないよ父上だし。引退なんてまだまだ早いんじゃないかって感じだよね。」
「ふふ、いいじゃない。アルは最後に戦えるのが嬉しいのよ。」
「お母様。お母様も楽しそうですわね。」
「そんなことないわよ。これは戦争ですもの。」
我が家ではこんなにものんびりとした会話をしているというのに、外では騎士の方々が戦っておられるのですね。
犠牲は最小限でとどまれば良いのですけど。
---数時間後---
「お父様、おかえりないさませ。お疲れ様でした。」
「ただいま。いやあ、こちらには死者は
出なかったよ。多少傷を負ったものもいるが、命に別状はない。」
「それは良かったですわ。」
「父上、王族やセルファイス公爵などは。」
「うむ、奴らは戦場にはいなかった。指揮をとっていたのも下級貴族であった。
こちらから王都に攻め込み、捕らえようと思う。
ヨルドア!すぐに行けるか!」
「はい大丈夫です。すでに王都へ向かわせる騎士は用意させてありますので、指示があればすぐに動けます。」
この戦ではお父様とハンブルク伯爵が、指揮官と副官として動いております。
お2人が騎士団から退いてかなり経ちますが、現役の騎士よりも優れているように思えます。
「では、すぐに王都へ侵攻し、敵将を捕らえよ!」
お父様が指示を出すと、すぐに騎士が動き、2日後には、国王と王妃、王太子とデプス嬢、セルファイス公爵は捕らえられました。
「では、捕らえたものたちの処分をどうするか検討する。」
現在、サンフロール王家の方々の処分が話し合われています。
「王家は皆公開処刑は当然ですな。」
「当然ですね。他のものたちも処刑でいいでしょう。」
「いや、しかし例の男爵令嬢は正式にはまだ王太子とはなんの関係もない。その彼女を処刑というのは処分が重すぎるのでは。」
「たしかにそうだ。しかし、その男爵令嬢がことの原因であるのもまた事実。」
皆様それぞれが意見をお持ちのようです。
特に、デプス嬢に関しては、意見が分かれているようですわ。
「では、王家とセルファイス公爵家は皆公開処刑ということです宜しいですね?」
「「「「「意義なし!」」」」」
「そして、件の男爵令嬢ですが、国外追放が妥当ではないかと。」
「「「「「意義なし!」」」」」
ハンブルク伯爵が意見を集約し、処分が決定しました。
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