第9話 国王side①
---国王side---
今日は卒業パーティーであり、我が息子であるでフリードも卒業生の1人だ。
実にめでたい日だ。
と、思っていた。
私も来賓として呼ばれているし、そろそろ行かねばと思っていたところ、側近の1人が慌てた様子で部屋に入ってきた。
「なんだ、なにを慌てている?」
「あの、それが、陛下、王太子殿下が、たった今、オルステイン公爵令嬢に対して、婚約破棄を言い渡しました。」
「なに!!?どういうことだ!」
どういうことだ?
何故婚約破棄など?
たしかに、フリードとセレナ嬢はそれほど仲がいいというわけではなかった。
しかし、実務・容姿・礼儀など、完璧に近い令嬢であった。
それを婚約破棄?
「実は、フリード殿下がデプス男爵令嬢と浮気をなさっていた様で、、、」
「な、浮気だと!?
いや、まて。
浮気をしたのは分かったが、フリードが婚約破棄を突きつけられたわけではないのだろう?」
「はい、それが、その男爵令嬢に対してオルステイン公爵令嬢がいじめをはたらいたということでして。」
は?いじめ?
彼女がそんなことをするのか?
「それは、たしかな情報か?」
「いえ、いじめに関しては、証拠も一切なく、オルステイン公爵令嬢側は、いじめの一部に関しては冤罪の証拠まで持っており、殿下と男爵令嬢だけが、いじめを主張している状況でして。」
「なに!?
それでは、なんの証拠もなくいじめを働いたと言いがかりをつけ、不当に婚約破棄を言い渡しただけではないか!
それで、セレナ嬢は?」
「婚約破棄を受け入れると言い、早々に帰られました。」
「な!?」
まずい!
今この国は公爵家によって成り立っているようなもの。
父上は、フリードとセレナ嬢を結婚させることによって、ミカルネス王国の王族の血を我が王家に入れ、それによってオルステイン公爵家ではなく、サンフロール王国とミカルネス王国の結束を固め、帝国に対して優位に立つ目論見だった。
さらに、公爵家は莫大な財産と多くの貴族からの信頼がある。その令嬢を王家に取り込むことがどれほど重要なことだったか!
クソッ!
フリードはまさか、なにも理解していないのか!?
ハッ!まずい!
王家が公爵家を敵に回すことがわかれば、他の貴族がどう動くか!
「まずい!すぐに会場に向かう!」
「分かりました。では行きましょう。」
会場に入ると、ほとんどの貴族が姿を消していた。
そして、フリードと件の男爵令嬢が仲睦まじそうにしている。
クソッ!
「フリード!このバカ息子が!」
「父上!なにを怒っているのです?」
「な!?貴様、自分のしたことを理解していないのか!?」
私は自分の息子の愚かさに唖然とした。
その後も、フリードを怒鳴りつけていると、後ろから王妃がきた。
「あなた、いいではありませんか。
私もとから、オルステイン公爵家との縁談など反対だったのです。
この際です、公爵家が王家に逆らう様な真似をしてきたら、潰してしまいましょう。」
「な、なにを、」
「そうです!母上の言う通りです!
所詮は公爵家です。なにを焦る必要があるのですか!」
ああ、だめだ。
このままでは、王家は、王国は本当に消えてしまう。
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