22-2 隣にいるから
テーブルの上の裁縫道具の中から、
まずは、小さな木彫りの可愛い箱に入ったボタン。この小箱はどうやらボタン入れらしい。
「このボタンは、このゲームの得点になる。得点というだけじゃなくて、布の端切れを買うのにも必要なんだ。言ってしまうとお金の代わりだと思って良いよ。で、ゲームの終わりに、ボタンの数の多い方が勝ち」
次に
形の側にはボタンの絵と砂時計の絵。それぞれの絵の隣には数字が描かれている。
「これは、このゲームで買うことができる布の端切れ。布の端切れはいろんな形があって、それぞれ値段も違うし、縫い付けるのに必要な時間も違う。それが、この脇に描いてあるマークだね。例えば」
「この端切れを買うためには、ボタン十個が必要。縫い付ける時間は四必要ってこと」
「今はボタンを五つしか持ってないから買えないってことだよね」
「そういうこと」
「縫い付ける時間っていうのは?」
「そのまんまだよ。端切れをこの布に縫い付けるのには、時間がかかるんだ。このゲーム、パッチワークを作るための時間は決まっていて、その時間の中でこの布のマス目を埋めないといけない」
「つまり、縫い付ける時間が短い端切れならたくさん縫い付けることができるし、時間が長い端切ればっかり縫い付けてると時間がなくなっちゃうってこと?」
「そう。ばっちり」
それは照れくさくて、でもちょっと嬉しいなと、最近は思う。わたしはちょっと目を伏せて、そんな喜びをこっそり噛み締めていた。
「だけど、好きな端切れが買えるわけじゃないんだ。買える端切れは、これ」
「このマークからこっちに数えて三つだけ。今なら、四角に出っ張りがついた端切れと、このL字の端切れ、それからこの隣の端切れ、この三つだね」
「え、思ったより少ないね」
「そうなんだよね。で、例えばこのL字の端切れを買ったとするよね。そうしたら、この赤いマークはL字の端切れが売れてなくなったところに移動する。そうすると、買える三つの端切れはまた変わる」
「好きな形が選べるわけじゃないのか。思ったより大変そう」
「まあ、そこが面白いところなんだけどね。でもって、この端切れの在庫は相手プレイヤーと共有なんだ。相手が買った端切れはもう選べない。赤いマークも二人で共通。
「欲しい形でも、先に選ばれたらもう選べないってことだよね?」
「そういうこと」
「で、これもこのゲームの面白いところなんだけど」
次に
「これは?」
「これは、現在の時間を示すボード。さっき端切れを縫い付けるのに時間がかかるって言ったよね、その時間がこのボードのマス目なんだ。外側のここからスタートして、砂時計のマークの数字の分だけこのボードのマス目を進む」
「えっと、さっきのWの形の端切れだと四マス進むってこと?」
「そう。そして、このゲームの手番は、このボードで後にいるプレイヤーに回ってくる」
「どういうこと?」
わたしが眉を寄せて首を傾けても、
「例えば、まず
「そういうことか。縫い付ける時間が短い方が、何度も自分の順番がきて、いっぱい行動できるってこと?」
「そうそう、そういうこと。その辺りも見極めて、端切れを選ばないといけないんだ」
そう言って、
「後、このボードの途中にあるボタンは、収入の時間」
「収入……ってことは、ボタンが増える?」
「そう。増えるボタンの数は、自分の布に縫い付けた端切れに付いてるボタンの数」
言われて、端切れの形が並んだ紙を眺める。確かに、いくつかの端切れにはボタンの模様が描かれていた。ボタンが一つだけの端切れも、二つや三つ描かれている端切れもあった。ボタンが描かれてない端切れもある。
「ボタンが付いている端切れなら、後で収入になるってことだよね?」
「ばっちり。それから、こっちのプレゼントの箱の刺繍。これは早いもの勝ちで、一マスの端切れがもらえる」
「早いもの勝ちってことは、先に着いた人だけ?」
「そういうこと。このゲーム、一マスの隙間を埋められるのは、これだけだからね」
「わかった……と、思う」
考えないといけないことがたくさんになってきた。
「で、二人とも真ん中のマスに到着したら点数計算。点数は、持っているボタンの数。それと、七マス掛ける七マスを先に埋めた人がもらえるボーナス七点。それから、自分のこの布の中で埋まってない一マスにつきマイナス二点」
「マイナス二点?」
「そう。埋まってないペナルティが大きいんだ。だから、できるだけ自分の布は埋めるようにしないといけない」
きっとわたしは不安そうな顔をしてたんだと思う。
「俺も隣にいるし、フォローするから。とにかく、楽しく遊ぼう」
それでわたしは
「ありがとう。頑張ってみる」
わたしはやっぱり、
いつもは
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