エピローグ
花火(語り:コノハ)
ラリル村の旅館『レ=ローラ』に戻ったミシアたちは、タニアやタリア達からひどく心配(無茶したことを叱責)された。
案の定、ショウたちはライラ達に謝罪して、正直に状況を説明していたからだ。
持ち帰った薬は、早速チャーリーに飲まされていた。
チャーリーはよく発作を起こして激しく咳き込んでいたのだが、その咳も収まっていた。
しばらく様子を見ないとちゃんとしたことは言えないが、もう大丈夫だろう。
そして無事の帰還とチャーリーの快気祝いを兼ねて、豪勢な宴会が催された。
宴会の後、ローラは皆を旅館にほど近い浜辺に誘った。
ローラ「皆様、海の方をご覧ください」
夜の空には満天の星々が輝き、暗い海を照らしている。
月は出ていないが、遠くを浮き島が漂っている。
そこに、海の上からひゅー…と光が昇り、ばーんと弾けた。赤や黄色の光が広がって円を描き、そして海に落ちてゆく。
ミシア「うわあ、何あれ?!」
ケニー「打ち上げ花火ですね。海や湖の夏の風物詩です」
ローラ「お城などでもお祝いのときに打ち上げられることがあるそうですが、やはり海で見る花火は格別かと思いますよ」
話している間にも次々と花火が打ち上げられ、夜空に花を咲かせていく。
タニア・タリア「綺麗ね…」
チャーリー「すごいすごーい!」
みんな花火を見て嬉しそうだ。
ソーファー「こんなに晴れやかな気分になったのは、久しぶりです…」
バーリー「ああ、そうだな。チャーリーが元気になって憂いが無くなったから、見るもの全てが美しく見える。皆さんのおかげだ」
しかしルディアだけは、笑顔を見せつつも、どこか哀しそうな顔をしていた。
何気なくソーファーやバーリーの会話を聞いていたコノハは、そんなルディアの様子に気付いた。
コノハ「ルディア、どうしたの?」
ルディア「あ、ごめんなさい。…ちょっと昔を思い出して…」
コノハ「そう…」
コノハはそっとルディアの手を握った。
ミシア「花火って、どうなってるの?」
ケニー「空中で火薬を爆発させて、火花を散らすんです。ここからだと円に見えますが、実際は球状に広がっているんですよ」
コノハ「なんだか危なそうね…わざわざ爆発を起こすなんて」
アーキル「まぁ、何だって使い方次第だろ」
ローラ「もちろん扱い方を間違うと危険ですから、慎重を期していますよ」
コノハ「…炎も、使い方次第、ね…」
コノハも思索にふけりながら、花火を見つめ続けた。
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