復活(語り:ミシア)

ミシアの治療は終わったが、さすがにすぐには動けない。


ルディア「ミシアちゃんは、大丈夫ですか?」

ミシア「うん。…申し訳ないんだけど、30分くらい待ってもらえる?さすがに手足の魔法が切れちゃって、かけ直さないと動けないから…」

ミシアはいつも朝起きたときに手足を動かす魔法をかけるのだが、それに30分くらいかかるのだ。

切断された手足は、さすがにその魔法の効果が切れていた。

手足には昔の拷問の跡である無数の傷痕が露わになっている。普段は手足を動かす魔法が身体を覆っているので、その副作用で傷痕は隠れているのだが。

そして、新たな傷痕――切断されたものがくっついた跡である線――が増えていた…。


ルディアは傷痕を隠すために、ミシアに野営用の毛布をかけた。

ルディア「慌てず、ゆっくりしてください。…もう急ぐ必要は無いんですから」

ミシア「早く戻らないと、タニアとタリアとライラさんに心配かけちゃうかもしれないけどね」

ミシアは笑った。


コノハ「ショウ…シャーリーさんから話を聞いたら、すごく心配するでしょうね」

ミシア「そっか!口止めしとくんだったー!」

アーキル「まぁ、心配されとけ。実際、今回はひでー目に遭ったんだからな」

アーキルはミシアの髪をくしゃくしゃと撫でた。


コノハ「アーキルったら、ミシアが倒されたのを見て、ものすごく怒っちゃって」

アーキルを見ながらくすくす笑うコノハ。

アーキル「うるせーよ!」


ケニー「無理して今から魔法を使わなくてもいいんじゃないですか?ここで夜営していくとか、小船にミシアを乗せて引いていくとか」

ミシア「別に無理はしてないよ」

ケニー「普通は、あんな大怪我をした後は安静にするものなんですからね。治癒魔法で傷は塞がったとはいえ」

ミシア「ケニーとパープルさんに感謝だね!」

ミシアは朗らかに笑った。


そうしてまったりとした30分が過ぎ…。


・・・


ミシア「ふっかーつ!」

ミシアは勢いよく跳び上がって立った。

ルディア「ミシアちゃん、いきなり無理しないでください!」

ミシア「ぜんぜん無理なんかしてないよ。もう平気!」


普段通り、身体の――手足の傷痕も魔法の影響で見えなくなっている。

ミシアは歩いたり腰を振ったり手を振り回したり手の指をぐーぱーさせたり(ミシアは指の1本1本に違う動きをさせるのは苦手だが、指全部を同じように動かすことは出来る)して身体の調子を確かめた。

普段と変わり無し!


アーキル「おーおー、元気なこって」

コノハ「でも、良かったわ」

ケニー「ほんと、驚かされますよ」


ミシア「それじゃ、帰ろうか!」

ルディア「はい!」


こうして、ミシアたちもラリル村への帰途についたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る