出発

バーリーから依頼を受け、ローラから話を聞き、ミシアたちはすぐに出発することにした。


ミシア「この小瓶に半分でいいなんて、楽勝だね!」

ケニーが持ってる小瓶を見ながら、ミシアが言った。

高さ5センチメートルほどの透明なガラスの小瓶で、出発する前にローラから渡された物だ。

薬は、これから向かう小島の地下にある。

昔そこに行った冒険者が同じような小瓶をそこに置いているはずで、長い時間をかけて小瓶に薬が貯まっていくらしい。

ミシアたちはそこへ行って薬の入った小瓶を回収し、次の人のために新しい小瓶を置いてくる。それが依頼の内容だった。

小瓶に半分ほど薬が貯まっていれば、1人分としては充分とのことだ。


まずは、ラリル村を出て東へ向かう。浜辺を1~2時間ほど東へ進むと、海に浮かぶ黒い小島が見えてくるという。

それはつまり、ミシアたちが来たときの道を逆に辿るということで…。

ケニー「ああ、やっぱり。来たときに見えた島ですね」

水平線の辺りに黒くて小さい島が見える。


そしてこの辺りは、3人組の冒険者ショウパーティーがジャイアントオクトパスと戦っていた場所でもあった。

コノハ「ということは、やっぱり…」

ケニー「ええ。彼女たちもあの小島に向かった可能性が高いですね」

ショウパーティーの面々は、戦いの後、小船に乗って海に出て行ったのだ。


ルディア「ここに戻ってきたような痕跡は、見当たらないですね…」

アーキル「帰りは別の場所にしたのかもしれねーがな」

ルディア「目的はやはり薬でしょうか。うまく出会えて、薬を半分分けてもらえるといいんですが…」

アーキル「行ってみねえと分からねーな」


ルディアたちエスウィングには5人が乗れる小船を貸し与えられていた。

小船の先端からロープを伸ばしてアーキルの肩に掛け、浜辺沿いの海辺の上をアーキルがここまで引いてきたのだ。


今のところ、小船にはアーキルの鎧だけが積まれていた。

海に出るのに金属鎧を着ていくのは危険だし、戦いがあると鎧が無いのは危険だ。したがって、島に着くまでは鎧は脱いでおき、島に着いたら着るつもりだ。

ミシアは普段から水着のような格好だし、ケニーやコノハは軽装だから、アーキルのような問題は無い。

ルディアも普段の鎧は着ていなかった。


アーキル「よし、出発するぞ」

アーキルたちは船に乗り込み、海に漕ぎ出した。

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