クラーケン戦

タコミはクラーケンに飛びかかりました。


タコミもクラーケンも相手に足を巻きつけて握りつぶそうと目論見ますが、お互いにそうはさせじと打ち払います。

たくさんの足を使ってパンチ?の応酬が続きます。

しかしタコミの足は8本、クラーケンの足は10本。徐々にその差が現れ、タコミは追い詰められてきました。

そこでタコミは賭けに出ました。

自分の足を敢えてクラーケンに握らせたのです。

クラーケン「ふはは、勝負を捨てたか?!」

タコミ「まさか!…これでもくらえ!」

タコミはクラーケンに思いっきりタコ墨をかけました!タコミの足を掴んでいたクラーケンは、目にかかるタコ墨を防ぐことが出来ませんでした。

クラーケン「ぐわぁ!目が、目がぁ!」

クラーケンはタコミを離して、目を押さえて悶えています。

タコミ「これでとどめだぁ!」

タコミは天井に届くほど高くジャンプし、勢いよく落下して、1本の足を鞭のようにしならせてクラーケンに叩きつけました!

クラーケン「ぐわーーん!」

クラーケンは目をぐるぐる回して、ついに倒れたのでした。


タニア「やったー!」

タリア「やりましたね、お姉さま!」

クラーケンに勝ったのを聞いて、タニアとタリアは喜んだ。

しかしそこへ、ライラがやって来た。


ライラ「あらあら~、何か楽しそうなことをしてるわね~?私もまぜてもらえるかしら~?」

ミシア「え、いいけど…でももうクラーケンを倒したところなんだよね…」

ライラ「うふふ~。いい考えがあるわ~」

ライラはおたまとおなべのフタを、剣と盾のようにしゃきーん!と構えた。おたまとおなべのフタはライラのトレードマークのようになっているが、宿の中でも持ち歩いているのだ…。


怪しい影「うふふ~。よくクラーケンを倒したわね~?でもまだまだ甘いわ~」

しかし倒れたクラーケンの背後から、一回り大きいクラーケンが現れたのです!

タコミ「何者?!」

怪しい影「私はクライラケン~。このお城の真の主よ~」

タコミ「な、なんだってー!?」


ミシア「ライラさんが真のボス!?」

ライラ「うふふ~。ちょうどそこにダイスがあったの~。これで勝負しましょう~」

ライラは正四面体や正六面体・正八面体・十面体などの各面に数字が書いてあるダイスを持ってきていた。

ライラ「お互いに命が…そうね~40ずつあって、ダイスを振って出た目の数だけダメージを与えて~、相手の命を減らしていくの~。先に0になった方が負けね~」

ミシア「なるほど…面白そう」

ライラ「ミシアちゃんは八面ダイス、私は十面ダイスね~」

タニア「えー、ずるくない?!」

八面ダイスで出る最大の目は8で、十面ダイスは10。十面ダイスでダメージを出す方が断然有利だ。

ライラ「だって~、ジャイアントオクトパスは足が8本、クラーケンは10本でしょう~?」

ミシア「確かに」

タリア「それでいいんですかお姉さま?!」

ミシア「いいよ。じゃあ、いざ尋常に、勝負!」


タコミとクライラケンは、お互いに足を止めて殴りあいました。

お互いにかすり傷だったりクリーンヒットで大ダメージを与えたりしましたが、足の多いクライラケンの方が有利です。

徐々にタコミの傷の方が増えてピンチになってきました…!

クライラケンはタコミをたこ殴りにします。


タリア「ああ、お姉さまが負けちゃう…」

タニア「うう…。こうなったら、あたしがおねえちゃんを助ける!」

タリア「ええ?!」


タコニア「そこまでよ、クライラケン!あたしがおねえちゃんを助けるわ!…今度こそ…」

なんと、ピンチに陥ったタコミを助けるために、妹のタコニアが現れたのです!

タコリア「…わたしも!お姉さまを助けます!」

タコニアの後を追うように、双子のタコリアも現れました。


ライラ「じゃあ~、タニアちゃんは四面ダイスね~」

タニア「えー、あたしだってジャイアントオクトパスだから足が8本あるのにぃ」

ライラ「タニアちゃんとミシアちゃんは~、同じ強さだと思う~?」

タニア「おねえちゃんの方がずっと強いよ!」

ライラ「じゃあ八面ダイスじゃないわよね~?」

タニア「…そうね…」


タリア「わたしはお姉さまを治したいな。このままじゃ死んじゃう…!」

ライラ「じゃあ~、攻撃する代わりに~、六面ダイスの分だけ命を回復できることにしましょう~」

タリア「うん!」


タコニアは1匹でクライラケンに戦いを挑みました。

しかしタコミほどのダメージをクライラケンに与えることは出来ません。

タコニア「くぅっ」

クライラケン「うふふ~。その程度なのかしら~?」


しかしその隙に、タコリアがタコミを回復させていきます。

タコリア「お姉さま、しっかり…!」

タコミ「うう…タコリア、タコニア、ありがとう!」


回復したタコミは、再び戦いに加わりました。

タコリア「わたしも!」


タコミたちは、3匹がかりでクライラケンと戦います。

しかし、クライラケンはたった1匹で互角以上の戦いを繰り広げました。

タコミたちは大ダメージを受けてしまいます。

タコミ「回復してもらってなかったら、危なかった…」


タニア「なんでライラさんはそんなにダイスの目がいいの?!」

ライラ「うふふ~、なんででしょうね~?」

タリア「日頃の行いの差かしら…」

タニア「それどういう意味よ?!」


タコニア「でも、どうしよう?このままじゃ負けちゃう…」

タコリア「わたしの回復も間に合いません…」

タコミ「ボクに作戦がある。2匹とも協力してくれるかい?」

タコニア・タコリア「うん!」「はい!」

タコミは2匹に耳打ちしました。


クライラケン「もういいかしら~?」

クライラケンは吸盤の手入れをしながら、タコミたちの作戦会議が終わるのを律儀に待っていました。

タコミ「うん!待たせたね!」

タコミは、タコニア・タコリアと共にクライラケンと対峙しました。


タコニア「あたしたちが動きを止めるわ!」

タコリア「うん!」

タコニアとタコリアは、クライラケンの左右から足を1本ずつ押さえ込みました。

クライラケン「うふふ~。2本しか押さえられないなんて~、非力ね~」

タコミ「いや、それで充分だ!」


タコミは天井近くまでジャンプしました。

クライラケン「その手は喰らわないわ~!空中じゃ避けられないでしょう~?」

クライラケンは空いている足で玉座の椅子を掴むと、勢いをつけてタコミに投げつけました!

タコミ「甘い!」

しかしタコミは、ここぞとばかりに魔法の羽を使って空を飛び、椅子を避けました。

クライラケン「あら~?」


タコミ「そして!これでもくらえ!タコ墨フラーッシュ!」

タコミはクライラケンに向けて思いっきりタコ墨を吐き出しました。

クライラケン「そっちこそ、甘いわ~?イカ墨クラ~ッシュ!」

クライラケンもイカ墨を吐き、空中でタコ墨とイカ墨が激突します!

タコミ「ぐぬぬ…」

クライラケン「うふふ~」


そこにタコニアとタコリアが助太刀します。

タコニア「あたしたちを忘れてもらっちゃ困るわ!」

タコリア「その通りよ!くらえ!」

タコニア・タコリア「ダブル・タコ墨フラーッシュ!」

タコニアとタコリアは左右からクライラケンの目に向けてタコ墨を吐きました。

意識をタコミに集中していたクライラケンは、避けられません。

クライラケン「いや~ん!目が~目が~!」


タコミ「今だ!必殺!八足蛸閃やそしょうせん!!」

タコミは魔法の羽も使って勢いをつけ、8本の足を同時にクライラケンに撃ちつけます!


ばちばちばちーん!!!!!!!!


クライラケン「きゃあ~!や~ら~れ~た~わ~」

ずしーん!


ついにクライラケンは倒れたのでした。

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