第2部 洞窟戦

タコミが洞窟の中を進んでいくと、門番に出会いました。

門番は槍を持って道を通せんぼしています。


タコミ「そこを通してくれ!ボクはクラーケンの所に行かなくちゃいけないんだ!」

門番「わしは動かんぞ!どうしてもと言うのなら…」

タコミ「力づくでどかせと言うんだな?!」

門番「いや、腹が減って動けないので、わしに何か食べさせておくれ!」

タコミ「はあ?!」

タコミは思わずずっこけました。


タコミ「んまぁ、戦わずに済むならその方がいいけど…。でもボク、食べ物なんて持ってないよ?」

門番「心配には及ばん。この洞窟の中には、わしが食べられる物が転がっておる。それを持ってきてくれればよいのじゃ」

タコミ「そういうことなら…」


タコミは洞窟を戻っていって、分かれ道に入りました。

そして、すぐに食べ物を見つけました。

タコミや門番と同じくらいの大きさの、巨大なケーキ!

タコミ「これかぁ」

タコミはケーキを引っ張ろうと思いましたが、下手に引っ張ると崩れてしまいそうです。

タコミ「反対側にまわって押していくのが良さそうかな…」

しかしケーキは洞窟の道幅いっぱいの大きさなので、後ろに回りこめそうにありません。ただ、洞窟は迷路のように分岐しているので、うまくすれば後ろに回りこめるでしょう。


タリア「絵本には迷路が描いてあるね」

タニア「えー、むずかしいよう」

ミシア「迷路にはコツがあってね。行き止まりを逆に辿って、分岐点まで戻ったら行き止まりの印をつけて道を塞ぐんだ。そうすれば、最終的に正解の道だけ残るんだよ」

タニアとタリアは、ミシアに言われた通りに行き止まりの印を置いていった。(絵本に直接描き込むわけにはいかないので、ビーズを置いた)

タニア「出来た!おねえちゃんすごーい!」

タリア「お姉さますごーい!」

ミシア「ふふん、もっと褒めてくれていいよ」


タコミは行きつ戻りつして、どうにかケーキを門番の所まで押していくことが出来ました。

門番「おっ!くれるのか。これはありがたい。むしゃむしゃ」


タリア「お姉さま、わたしクッキーを持ってきたんです。さあ、どうぞ」

タニア「あー、あたしも!はいおねえちゃん、アーン」

タリアとタニアはミシアにクッキーを食べさせた。

ミシア「へへー、ありがと。じゃあたまにはボクもお返しに…」

ミシアもタリアやタニアの口にクッキーを持っていって食べさせてあげようとしたが、指が不器用なので、上手くつまめない。

かろうじて手のひらにクッキーを乗せることが出来た。

タニアとタリアはミシアの手に口を近付け、クッキーを咥えた。

ミシア「なんか、ペットに餌をあげてるみたい…」

タニア「おねえちゃんのクッキーおいしいニャン」

タリア「お姉さまのクッキー美味しいですワン!」

苦笑するミシアに、笑顔で応えるタニアとタリアだった。

ミシア「ひー…。さ、さあ、続きを読むよ!」


門番「しかしまだ足りんなぁ」

タコミ「ひとつじゃダメなのぉ?」

仕方なく、タコミはさらに他の食べ物を探しに行って、見つけたお菓子を再び押してきました。

門番「むしゃむしゃ。うん、美味い美味い!もっとじゃ!」

さらにもうひとつ。

門番「やあやあ、どうもどうも。あと少し!」

さらにもうひとつ。

門番「度々すまないね。もうお腹いっぱいじゃ!満足満足」


タコミ「じゃ、通してくれる?」

門番「腹がいっぱいで、動けん!」

タコミ「なんだってぇ?!」

門番「冗談じゃ。よし!ここを通してやろう」

門番は体をずらして道をあけてくれた。


タコミ「もう、そういう冗談はやめてよねー。あと、今度から自分の食べ物は自分で取りに行ってね!」

門番「うむ、気が向いたらな」

タコミ「それじゃ、ばいばい」

タコミは洞窟を通り抜けました。


ミシア「うう、タリアやタニアに食べさせてもらってる自分に刺さる…」

タリア「お姉さまは不器用なだけですから!この門番みたいに怠けてるわけじゃありませんから!」

タニア「それにしても、この洞窟、お菓子ばっかりね。いいな~」

タリア「お菓子ばっかり食べてると、この門番みたいに太って動けなくなっちゃうよ!」

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