海水浴

ミシアたちがラリル村に到着したのは昼前で、まだ太陽は高い。

さっそくミシアたちは首都オルジェクトで買った水着に着替えて、海に出ることにした。


ミシアの水着は、上下一体型で飾り気の無い青い水着だ。ゴムのように伸び縮みする素材で出来ていて、身体にぴったりフィットして動きやすい。

お腹まで隠れているので、アーキル曰く「普段より露出度減ってるじゃねーか」。

ミシアの普段の格好は、胸に白い布を巻き、黄色い短パンを穿いている、というものなので、むしろそちらの方が水着に近い形をしているのだ。

タニアやタリアはそういった方向の可愛らしいものをミシアに勧めたのだが、ミシアが選んだのは上下一体型だった。

紐で結ぶタイプの水着だと、手が不器用なミシアは一人では着ることが出来ないが(もちろん妹達は手伝ってくれるだろうが)、伸び縮みする素材の一体型水着なら引っ張り上げるだけなので一人でも着られる、というのがミシアが気に入った理由だった。

ミシア「むしろ普段着がこれでもいいんじゃない?」

タニア・タリア「それはやめてよ、おねえちゃん」「それはやめてください、お姉さま」


タニアが選んだのもワンピース型であるものの、もっと明るい色で可愛らしいフリルも付いている。

タリアも似た水着を選んだが、ここでも腕が隠れる長袖の水着だ。


ライラとコノハはセクシーなセパレート型の水着で、ルディアも勧められて(恥ずかしがったものの)同様の水着にしていた。


コノハ「ほら、アーキル、何か言うことは無いの?」

アーキル「…ふん、オレの方が筋肉があるな!」

コノハ「なによ、それ。そうじゃないでしょ?」

アーキル「おいケニー、泳ぎに行こうぜ!」

ケニー「あ、はい」


コノハはアーキルに水着の感想を迫ったが、アーキルは何も言わずに行ってしまった。

ライラ「あらあら~、逃げられちゃったわね~?」

コノハ「まったくもう」


代わりにミシアがライラの水着の感想を述べる。

ミシア「あー、サティがライラさんの水着姿を見たら、卒倒してたかもね」

ハルワルド村で留守番をしているサティ(ライラ(の胸)を崇拝している)が残念がって悔しがって暴れている様子が目に浮かぶようだ。


・・・


ミシア「アーキルは泳げるの?」

アーキル「鎧が無けりゃな」

ミシア「あー、さすがにあの鎧を着けてたら無理だよねー。ケニーは?」

ケニー「湖の国アースクースの出身ですからね。もちろん泳げますよ」

アーキル「おまえはどうなんだ?」

ミシア「ボクはねー、昔は泳げたんだけどねー」

子供の頃は、村を流れている小川の上流にある泉によく泳ぎに行っていたが、手足を魔法で動かしている今は、泳ぐのは難しかった。

ミシア「練習すれば泳げるようになると思うけど」

アーキル「まぁ、遊びで来てるんだからな。無理するこたぁねえだろ」


ケニー「じゃあ、スイカ割りなんてどうです?海の遊びの定番ですよ。目隠しして、木刀でスイカという果物を叩き割るんです」

アーキル「なるほど、目隠しして標的を攻撃するのか。暗闇で戦うための訓練に良さそうだな」

ミシア「それいいね!」

ケニー「…遊びに来たんじゃなかったんですか…?」


なんのかんの言いつつ、ミシア達は海水浴1日目を楽しんだのだった。

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