航空ギルド(語り:ミシア)
翌日、ミシア達は航空ギルドを訪れた。
首都オルジェクトから目的地の海水浴場までは、航空ギルドの航空便を使えばひとっ飛びだ。
航空ギルドは空を飛ぶ魔法に長けているシルフ人が中心となっているギルドで、人や荷物を空から運ぶことを仕事としている。
低空飛行する魔法の絨毯(道の悪い荒野や川の上でも通れるのが馬車より有利)や、空を飛ぶ馬と馬車(馬や馬車に羽を生やす魔法)、家ほどの大きさの浮き島、もっと大きい空飛ぶ船など、様々な飛行手段があり、さらに積載量重視・速度重視・航続距離重視・飛行高度重視など、いろいろな型がある。
もちろん、料金もそれぞれ異なるが、いずれにしてもそれなりの値段だ。
したがって多くの人が頻繁に利用するものでもないため、航空ギルドの拠点は主要な町にしか無いが、首都にはもちろんあり、そして海水浴場にもある。
ミシア「これにしよう!」
タリア「はい、可愛くて良いと思います」
タニア「うん、かわいくていいと思う」
ミシア達が選んだのは、小さな一軒家が乗った形の浮き島だ。
世界各地にはいくつもの浮き島が飛んでいてミシアも見たことがあるが、そのほとんどは島や町くらいの大きなサイズである。しかし家サイズの小さな浮き島もあるのだ。
一軒家型浮き島の利用料金の内訳は、以下のようなものである。
・浮き島そのものの料金…これは宿に泊まるのと同じくらいの料金に抑えられている。
・操縦者の料金…これも冒険者を一人雇うのと同じくらいの料金だ。
・魔力代…浮き島を飛ばすには、当然ながらかなりの量の魔力が必要だ。
ミシアは旅行代を節約するために、航空ギルド員と交渉を始めた。
ミシア「ねえねえ、自分で魔力を供給するから、魔力代安くならない?」
航空ギルド員「だめだめ。普通の人じゃ、数分も飛ばせず魔力が尽きちゃうよ」
ミシア「魔畜瓶もあるよ?」
冒険者は、倒した魔物が変化した魔液を集める。そのための魔法具が魔畜瓶であり、冒険者なら誰でも持っている。
航空ギルド員「だめだめ。それは魔液収集用の魔畜瓶だろ?浮き島を飛ばすには、専用の魔畜瓶が必要なんだ」
ミシア「じゃ、みんなで交代しながら魔力を供給するから、その分だけ値段下げてよ~」
航空ギルド員「だめだめ。それでも30分飛べるかどうかだよ」
ミシア「そこをなんとか~ちょっとだけでいいから~」
航空ギルド員「…仕方ないなぁ。じゃあ、魔力が節約できた分だけ、料金を引いてあげる。それでどう?」
ミシア「うん、それで!」
ミシアは納得し、そうして、ミシア達は空の旅に出発した。
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