第12話「星に願いを」
観光初日はダラダラと京都の街を歩き、昼にはにしん蕎麦を食べ、三時のおやつに適当な茶屋に入り、各々が好きなスイーツを楽しみながら身の上話で盛り上がった。
そうして旅館に帰ってきた俺たちは夕食を済まし、大浴場に浸かった。
今日一日の疲れが風呂のお湯で汗と一緒に流されたような心地良い気分だ。
このまま寝ても良いと思えるが、高校生だけで集まった夜がそんな簡単に終わるはずもなく、風呂上がりの木葉と零が男子部屋にやってくる。
風呂上がりでほかほかしている二人はコンビニの中華まんみたいだ。
「これから何するの?」
「レイちゃん、座って座って!」
「松田さんも!」
寝るだけと思っていた零は大作に言われ、オロオロしながら座る。
木葉も大山の言葉に従い、腰を下ろした。
「ふふふ……やると言ったらこれだろ!」
大作が大きなコンビニ袋の上下をひっくり返す。袋の中から雪崩のようにお菓子が溢れ出し、お菓子の山が完成する。俺らがパーティーする前にお菓子たちがパーティーをしそうな勢い。
零と大山が歓喜の声をハモらせた。
だが、大作はそれだけでは終わらない。
「そして、子どもだけで旅館。咎める大人は誰も居ない!」
次に大作が持ち出したのは酒。缶ビールや缶ハイボール、どれもこれも旅館の自販機で買える種類だ。
なんとなくそんな気はしてたけど、本当にやりやがった。
「ケント!飲もうぜ!」
「俺は遠慮しとく。アルコールはどうにも飲む気になれないんだ」
クソッタレな親父の顔が浮かぶから。
「わたしもパス。全員酔っ払って暴れ出しても困るからね」
「なんだよ釣れないなぁ。レイちゃんは?」
「ちょっと……飲んでみたいかも」
悪いことなのは分かっている零がおずおずと独り言を掻き集めたような声を出しながらビール缶を手に取る。
大人たちがこぞって飲み明かすビールに興味を持つのは分かる。
缶を開けた時の音、色、泡、飲み干した後の気持ち良さそうな表情。子どもでは飲めない縛りがより一層魅力を高めているのだろう。
零は缶を眺めた後、プルタブに指を引っ掛け、力を込めた。
「開かなーい」
「非力か!?」
「オレが開けてやるよ」
大作が零の代わりに缶を開ける。
炭酸の抜ける音が耳に飛び込んでくる。
零は俺たちの顔を順繰りに見る。バイクと違って流石に飲酒はビビっているらしい。
「暴れ出したら止めてね?」
「飲酒自体を止めさせはしないんだな……別に良いけど」
「いただきます!」
顔を上に向けた零が缶をぐいっと傾ける。
缶全部を一気に飲もうとはしなかったようだが、喉を超える音が聞こえてきた。
一口飲んだ零は缶をテーブルに勢いよく叩き付け——
「れ……レイちゃん?」
「ふぁ〜あ」
そのまま畳に倒れ込んだ。
素早い動きで木葉が零の安否を確認する。
「寝てるだけみたいね」
「良かったぁ……救急車かと思った」
あれだけのビールで寝ちゃうとか弱過ぎるだろ。これ洋酒とか飲ませたらマジで死ぬんじゃなかろうか。
一先ず零が無事で何よりだ。
これで救急車沙汰だったら俺たち揃って補導だ。
「大山!オレらも一杯行こうぜ!」
「うん!」
無事を確認した大大コンビがハイボール缶を開ける。
数回喉を鳴らし、アルコールを体に取り込む。
「ぷはー!この独特な味が堪らねぇんだよな……!」
「ハイボール……あんま美味しくない」
「お前も大人になれば良さが分かるぜ」
「同い年だろうがお前ら」
そもそも未成年が何を言ってるんだ。
酒の旨さなんて大人になっても分からない奴は仰山居るだろう。
俺もちびっと舐めたことはあるけどなんか消毒液を飲んでるみたいで嫌だった。
「へへへ、レイちゃんは酒弱いんだな。こりゃ大学行ったら気を付けないと簡単にお持ち帰りされちまう……な」
「ん?」
そこでばたりと大作が畳に倒れた。続け様に大山もだ。
大作は魔獣みたいないびきを発しながら、大山は顔をほんのり赤くして眠ってしまった。
「いや、お前らも酒弱いのかよ!?」
大作はてっきり飲み慣れているのかと思っていた。
普段はバイクで集まっているから飲んでいるのを見るのは今日が初めてだ。まさかこんなに酔いやすいとは思わなんだ。
「あれだけ大口叩いておいてこのザマなのね」
「言ってやるな。タバコとか酒とかかっこつけたいんだよ」
「タバコはともかく、お酒でこれは格好悪いと思うけどね」
一理あるどころか三千里くらいある正論だ。これには大作もぐうの音も出ない。
寝ているから反応なんて出来ないのだが。
「わたし、零を部屋に運んでくる。そしたら話さない?」
「そこでな」
俺は広縁を親指で指し示す。丁度椅子が対面になっていて、間には小さめのテーブル。窓際だから夜空も楽しめる男なら誰でも好きそうな旅館のスペースだ。
「……」
木葉はガキンチョを見るような冷たい目で俺を一瞥し、無言で零を抱えて部屋から出て行った。
そう思いつつも木葉の俺を見る目は大体一緒だから実際は分からない。
取り敢えず大作の買ってきたお菓子を適当に広縁のテーブルに置く。
飲み物はどうしようか。大作たちが開けた酒は勿体無いけど流石に飲む訳にはいかない。
部屋の隅にある冷蔵庫を開けるとお馴染みの炭酸が入ってて安心した。
「これで良いか」
適当に二、三本、ジュース缶を抱えてテーブルに置く。
俺が椅子に腰を落ち着かせたのと同時に木葉が戻ってきた。
「ナイスタイミング。零は軽そうだったな」
「それでも人っ子一人抱えて歩くのは大変だけどね」
木葉も対面の椅子に座る。
部屋の電気も消えていて、俺たちを照らすのは外の街頭と月明かりだけ。
そんな最高の雰囲気の中で俺と木葉はジュースを開ける。
「「乾杯」」
甘ーいジュースを口に入れ、それを中和させる為に塩気の強いお菓子を口に放り込む。永遠に終わらない負の連鎖。これが中々辞められない。止まらない。
「木葉はどうだ?初対面ばっかりだけど」
「特にかな。コノハ様呼びが気になるくらい」
「大作は変な奴だからしょうがない」
「まあ変な奴だね。でも悪い人ではない」
セクハラが酷いから印象が悪くなったりもするのだが、関わってみると意外に頼りになる。
「リーダーシップがあるし、緊急時も意外と冷静だ」
「大山君はすっごい大慌てするよね。バイト先でそうだった」
逆に大山は木葉の言葉通り、緊急時に慌てて思考停止しちゃうタイプだ。バイクを直したあの日も泣きそうな顔だった。
木葉は儚く微笑み、柿の種を食べながら外を見る。
「零はとても面白い人だよね。お利口さんかと思いきやお酒に口付けたり好奇心が旺盛。素直で優しいけどイエスマンじゃない。道理で賢人が惚れる訳だ」
「ぶっ!」
飲んでいたジュースを吹き出した。
何とか目の前の木葉に毒霧をお見舞いはしなかったが、氷のような冷たい軽蔑した視線で俺を凝視している。
突然何を言い出すんだこいつは!?
咳き込みながら聞き直す。
「なんで……」
「何年の付き合いだと思ってるの?どうせ学校に復帰した理由も顔が見たいからーとかでしょ?」
「う……」
分かって当然のような顔でスラスラと言葉を並べ上げる。実際に当たっているから言い返しようがない。
「零の話もお風呂で聞かせて貰った。大分賢人に感謝してたよ。やるじゃん」
「やるじゃんって言われてもな。最初は本当に親切心だけだったんだよ」
それが段々変わって行って……何時の間にか俺も知らない内に好きになってた。
「その親切にも戸惑ってたみたいだけどね。理由が分からないって。だから零には話したよ。巴さんのこと」
「そうか、姉さんのこと話したのか。どんな反応してた?」
「賢人が想像出来る以上の反応は見せてないかな」
自分から話し出した癖に木葉は曖昧な返答をした。
俺が姉さんの話にもっと食い付くと思っていたのだろう。
それはともかく、想像出来る反応と言うと普通にショックを受けて、俺が零に優しくしていたことに納得した……そんなところか。
「幼馴染が普通の学生生活を送っていると思うと安心出来るね」
「はは……姉さんと同じだと思うなよ。俺はやりたいことも見つけたぞ」
「へぇ……ちなみに?」
「バイク屋だよ。就職先も決まってるから高卒で終わるか、工業系の大学行くかはまだ考え中だ」
こんな話を最近零にもしたな。しかもほぼ同じ文言で。
木葉は俺の話を聞いてうんうんうんと頷きながら二本目のジュースとお菓子の袋を開ける。
ちゃんと話を聞いているのか問いたくなる。
「それならうちの会社でバイク作ることになったら専属制作マネージャーとして雇うのもありだね」
「俺をか?高いぞ?」
冗談めかして言ってみる。
日本でも有数の自動車メーカーに俺なんかを雇ってどうするんだ。まあ、金次第で喜んで行くけどな。
しかし、木葉の方は冗談じゃないらしく、端正な口調で言った。
「ひと月手取り九十万とかなら?」
「え、行くわ」
年間一千万レベルとかもう即断即決だろ。
どんな仕事内容かは知らないけど、社長が木葉なら大丈夫だと思える。
「あくまで成果次第だけどね。最初は六十とかかな」
背もたれに体重を預ける木葉。
「それでも高待遇だな。贔屓が過ぎるぞ」
「贔屓じゃない。わたしは優秀な人材を雇う時は出し惜しみしないつもりだよ。そこで買い叩けば会社の未来が危うくなるからね」
「その後、優秀な奴が別の会社に流れちゃうってやつか」
「高い技術力に相応の報酬を支払うのは当然でしょ」
「デブっ腹だな!」
「……喧嘩売ってる?」
暖かかった木葉の目が一気に冷え切った。
おっと、言葉選びを間違った。
「太っ腹だな」
それなら、と言う感じで木葉は缶を口に運ぶ。
喧嘩売るも何も木葉はデブっ腹とはかけ離れた体型をしている。
スポーツガッツリやってますと言えば大体の人は信じるだろう。中学の時にバレー部だった以外の情報を俺は知らないけど。
「それで?」
「ん?」
「告白しないの?京都、最高のシチュエーションだと思うけど」
外の景色を見ながら木葉が
告白……ねぇ……好きなのは確かだけど、異性を好きになるのは初めてでイマイチどうして良いのか分からないのが現状だった。
今だけ大作の積極性が欲しくなる。と言うかそもそも。
「こんな大人数の中でどうしろと?」
「じゃあ人数がどうにかなったら告白するんだ」
「あっ……」
しまった。木葉相手に隙だらけの発言をした。零に対する感情は「好きだらけ」だって?やかまわしい!
恥ずかしさを隠す為にジュースを飲み、口元を隠す。
「どうせ大山君たちにもバレてそうだし途中で抜け出せば察してくれるんじゃないの」
明日はバイクを持ち出し、京都をツーリングする予定。
歩いて観光する時より抜け出すのは簡単だ。簡単だけど……。
「察したら察したで大作あたりは面白がってストーカーしてきそうなんだよな」
「その時はわたしが何とかするよ。告白するしないに関わらず二人の時間は欲しいんじゃないの?」
「ま……まあそれは……」
夜景を見ていた目をこちらに向けてくる。
逆に俺が居た堪れなくなって視線を外す。夜空に浮かび、優しく照らす月の光がそわそわする心を落ち着かせてくれた。
すると木葉は缶の残りを豪快に飲み干し、椅子から立ち上がる。
「賢人とこんな話が出来て楽しかったよ」
「数年前じゃ考えられなかったもんな」
「だね。じゃあおやすみ」
「あぁ、おやすみ」
背中を向けて今日の終わりを知らせる木葉の表情は分からなかった。
だが、声の調子は右肩上がりな気がした。
木葉も意外と分かりやすいと思う。これを本人に言ったら睨まれそうだ。
告白するのかしないのか。
迷いどころではあるが、今考えていても仕方ない。
その時になったら考えれば良いやと、俺は一番ダメな結論を出して寝ることにした。
大作たちをどかして自分の布団を敷くのに時間が掛かったのは言うまでもない。
「綺麗……」
翌日の夕方、俺は零を連れ出し、夜の高台寺に訪れていた。
困惑されるかと思っていたのに思いの外ノリノリでグループから抜け出した。
零はライトアップされて輝く翡翠色の景色に見惚れている。
木々が身に着けている葉っぱはまだ緑。妖怪でも出てきそうなくらいの妖しさと神秘さが両立していた。
庭園を見るなら秋の方が見栄えは良さそうだ。庭園を見るなら。
「もっと綺麗なのがあるぞ」
「ほんと!?行きたい行きたい!」
夏の高円寺と言えば竹林。庭園と同じようにライトアップされた竹林は黄色と緑色の間を反復横跳びしているような不思議な色合い。
色の感想はどうであれ綺麗なのは間違いなかった。運良く他の観光客も居ない。
それに竹が微かに揺れて発する音は涼しさを感じられる。
「………」
「………」
零と横並びで歩く。会話はない。
木葉に突かれたのもあるけど……いざこうなってみると緊張する。告白とか余計に緊張すること言いやがって。恨むぞ木葉。
だが、木葉に突かれなければ二人きりになろうともしなかっただろう。
竹の鳴らす音が俺を急かしているように聞こえてきた。腹立つ竹だな。
……。
………。
…………。
「賢人くん」
「どうした?」
零が沈黙を破った。
俺は浮ついた心情を悟られないように声を整えて聞き返す。
「私、今、本当に楽しいんだぁ」
緩み切ってリラックスした口調で零が言う。
周りの景色を見渡していてその表情は見えない。でも、声でバレバレだ。
「賢人くんと出会って世界が変わったの。映画も本もバイクも経験する何もかもが楽しくて、木葉さんたちもとーーっても良い人で……きっとお母さんに従ってたらこんなに楽しくはならなかった」
零は俺の反応も待たずに話を続ける。
「大学も行くのが当たり前でそうしないといけないのかと思ってたけど真奈美さんやマスター、大作くんと大山くんの話を聞いて必ずしもそうじゃないと思えた」
「高校卒業したら社長が確約されてる奴もいるしな」
「木葉さんはちょっと境遇がね……えへへ」
「ふっ……」
二人で竹林の中、笑い出す。
駄目だ。木葉を例に出すと話のスケールが大きくなる。これっぽっちも参考にならない。
空気が和んだところで零は足を急がせる。
俺の前に飛び出したかと思えば足を止め、踵を返す。俺と向き合った。
「これも初めて……私、賢人くんが好き」
強い衝撃が胸を貫いた。
だが、それは決して痛みを覚えるような衝撃ではない。感動にも似た不思議な感覚。
「素っ気ない態度っぽいのになんだかんだ世話焼きで、映画見に行った時は見栄張ってまで助けてくれたよね。あの時はびっくりしちゃった」
楽しそうに、零の声がスキップしている。
「色々あるけど……大好き。だから付き合ってください!」
「俺も……」
「えっ?」
零の告白に応える前に俺も言いたいことがあった。
美味しい物を食べた時や楽しい時に見せてくれる笑顔が、馬鹿が付くほど純粋でお人好しなところとか、何でもかんでも楽しんでくれるところとか、顔とか……言いたいことなんて山程ある。あるはずなのにいざ言葉にしようと出てこない。
なんとか絞り出した言葉は——
「俺も好きだ」
たったそれだけ。たった一言。
ライトだけで良く見えないが、零は驚いているように見える。
自分の語彙力のなさと言うか優柔不断と言うか……そんな不甲斐なさと好意を伝えた恥ずかしさで顔が熱くなる。
超恥ずかしい。大作が可愛い可愛い言えるのは凄い才能なのではないだろうか。
目を合わせられずその場に立ち尽くしていると足音が聞こえてきた。
「やった!」
「うお!?危ねぇ!?」
気が付いた時には零が俺の胸に飛び込んできていた。
慌てて零の小さな体を抱き抱えて倒れないようにバランスを取る。
零の腕が俺の体を強く締め付ける。と言っても力はそれなりだ。
「振られたらどうしようかと思った……嬉しい……」
「先に言われちまった」
「良いよそんなこと。今は好きだって言ってくれたのが何より嬉しい。でも次は賢人くんからお願い」
そう言って零は体を離し、目を瞑り、唇を差し出した。
淡い光が桃色の唇をほんのりと照らす。
俺は迷わずに近寄り、零の肩を両手で支える。
少しずつ姿勢を落とせば近付く零の顔。
好きだと伝える時よりスムーズに体が動く。言葉が要らないからだろうか。
竹に守られた二人だけの甘い世界で唇を重ね合わせる。
「んっ……」
艶っぽい声が零の口から漏れた。
零の唇は柔らかくて溶けてしまいそうだった。
たった一瞬でも濃密な時間。
唇を離して、顔を見合わせると零の顔が紅潮しているのが分かった。多分俺も同じように紅くなっていると思う。
キスの魔力は俺から夏の暑さを奪い取った。
二人で手を繋ぎ、バイクを停めた場所まで歩く。
「こんな幸せな時間がこれからも続きますように」
歩いている途中で零が空に向かって願った。
何故京都に来ているのに神社ではなく、夜空に願い事をしているのだろう。
「流れ星でもあったのか?」
「ううん、ないよ」
零は首を振って、あっさりと否定する。
「じゃあなんで……」
「空、見てみて」
零に言われて空を見る。
視界を埋め尽くしたのは藍色の夜空のカーペットに白い宝石が散りばめられたような星空。綺麗だ。
「ほら、お星様の光って何年も前みたいな話あるでしょ?」
「あるな」
「だからあのお星様に願い事しておけば未来まで連れて行ってくれると思って」
「それは面白い。その時だけの神様にお願いするよりかはロマンチックかもな」
普段はひとっつも信じていないのに神社に来た時だったりピンチに陥った時だけ神に頼む奴らよりかは華がある。
「京の町に来て、それ言う!?」
「はっは、罰当たりかもな。でも俺は神様よりも零や大作たちとの繋がりを大事にしたいから別に良いや」
「その繋がりを大事にする為に神様に頼むんじゃないの?」
「さぁな」
甘いな。人との繋がりを決めるのは何時だって人だ。
こればっかりは神様にはどうにも出来ない。そもそも俺は神様に良くしてもらったことなどない。
そうしてバイクに乗り、旅館までの道を走る。
「賢人くんは赤が好きなの?」
インカムで零が聞いてきた。
「まあ、赤が好きかな。普段使うには派手過ぎるからあんまり服には使わないけど」
その代わりバイクのジャケットは赤っぽい色のを集めている。冬用の革ジャンも赤だが……あれはちょっとやり過ぎたかもしれないと思っている。
革ジャンは普通に黒とか無難な色が良いと思う。
「そっか、凄い似合ってる。格好良いよ」
「零も似合ってる。あっ、それ俺が選んだやつか。俺のセンス抜群だな」
「もう……!なにそれ!」
似合ってるなら赤でも良いか。
そうやってイチャイチャしながら途中で夕飯を食べ、旅館に帰る頃には九時を過ぎてしまい、流石に木葉に遅過ぎると怒られた。
しかも雷を落とされたのは俺だけで零はスルー。
俺は星に理不尽な説教がなくなるように願っておいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます