ご都合主義なんてありません

更に、異世界転生の場合┈┈case-3

僕は主人公じゃない。

モブかもしれない。

それでも登場人物にはなれてるだけ良い思いはさせてもらってる、と思う。

じゃなかったら僕は未だに経験とかも出来てないだろうし。

僕にとってはそれだけでも多いに価値のある事だ。

…鑑定の失敗については忘れたい。

思い出すだけでも頭が痛くなる。

また転生させられるという事が分かった時、僕は神様に能力の改良を願った。

鑑定能力のオンオフを追加してもらう為だ。

…後、女の子とペアにして貰えないかとも願ったけど、それだと僕が転生後に集中しなさそうだからダメだって言われた。

ちぇっ。

僕とペアになったのは残念ながら男だった。

ちょっと僕が苦手そうな不良って感じの男だった。

だけど話してみれば、意外と中身はしっかりしてて仲良くなれそうだった。

彼の能力についても聞いた。

よく分からないけど何か強い、らしい。

本当によく分からなかったから、その辺りは転生後に僕の鑑定で見極める事になった。

…僕らは神側に選ばれた。

神に聞いた所、この賭けに負けたらどうなるかは分からないと言われた。

神に挑む位の相手だ。

世界征服とか神に成り代わるとか、そういう目的なのかもしれない。

もしそうだったら。

僕がヒーローになれるかもしれないって事だろう？

考えを巡らせる程、やる気が出てくる。

だってヒーローはちやほやされるものなんだから。

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神が仕込んだんだろう。

上手い事、僕とあいつは双子の兄弟として新たな生を得た。

これで探す手間が省ける。

…納得がいかない事があるとすれば僕が弟って事だけだよ。

早速鑑定したら、兄の能力は“単純に肉体が強い”という能力みたいだった。

前世では言語が分からず混乱したと言っていた通り、今世でも言語習得には苦戦しそうな様子。

僕は考えた。

強い味方は弱い僕にとって捨てがたい。

ただ、兄が言語を覚えないと何も始まらない。

だけど転生した今なら。

小さい内から僕が鑑定を使って協力すればお馬鹿な兄でも言葉を覚えられるんじゃ？

そう考えた僕は、兄に言葉を教える教師となる事を決めた。

比較的生まれが裕福だった事も幸いして、両親に頼めば喜んで色んな事をやらせてもらえたよ。

…結論として兄は言語を覚えられた。

そして、二次元を好きになる、という事にも繋げる事が出来た。

そのきっかけは、兄と息抜きがてら絵画を習った時に僕が何気なく女の子の絵を描いた時。

ふと、女神様との体験を思い出しながら筆を走らせたら、覗き込んできた兄の目がキラキラしてたんだよ。

鑑定したら、状態は“興奮”になっていた。

僕はオタクだった頃のお陰か絵が上手い。

という事は紙とペンさえあれば、何時でも兄へ情熱の燃料を注ぎ込む事が出来るんだ。

僕がせっせと心の燃料を投下し続けた甲斐あって、成長期を終える頃には兄は現実の女の子が苦手になりつつまであった。

育成ゲームでもやってる感覚で正直楽しかったのはここだけの秘密。

兄の育成ついでに描いた絵をオークションに出していた事もあり、うちの家はより裕福に。

色々と順風満帆過ぎて思わず笑みを浮かべそうになる。

その笑みは直ぐに崩れる事になった。

突然仲睦まじそうに腕を組んで屋敷へとやって来た女の子と男の二人組は、絵が買いたいと言って尋ねて来たんだ。

その流れで僕が絵の作者だと分かると、急に目の色を変えた。

不穏な雰囲気に、僕は咄嗟に兄の後ろに隠れつつ鑑定してみればこの二人こそ、僕らの敵対してる奴らの様だった。

…どうやら僕がオークションに出していた、所謂萌え絵で僕らの存在が気付かれたらしい。

やらかした。

屋敷にある物を使って縦横無尽に大暴れする男と、それを見て応援してる女の子。

僕は必死に兄を盾にして逃げ回った。

兄はと言えば、肉体の強さを活かして耐えてはいるものの、反撃が出来ていない。

なんせ相手の男が強い。

昔テレビで見た達人って感じ？

動きに一切無駄が無いんだよ。

しかも隙さえあれば直ぐに僕を狙ってくる。

兄も何とか僕を庇ってくれてるけど、動きの差がありすぎて時間の問題な気もする。

…僕はまだちやほやされてないのに。

ここで終わるとしたら。

あっさりしすぎて僕はモブですら無いのかと疑ってしまうよ。

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転生例 No.27,28 …学生:C,学生:O

転生先 …中世的な世界

死亡原因 …前者は椅子の木片による頚椎への刺突。後者は拘束状態で火の点いた暖炉に押し込まれ、酸欠と重度の火傷を負った為。

転生例 No.29,30 …学生:E,学生:F

転生先 …上と同じく

死亡原因 …共に老衰。