改めて、ご都合主義なんてありません <裏>
“くっ…、此処は…?”
やぁお目覚めかな、クソジジィ。
出し抜いたつもりのボクにしてやられた気分はどうかな?
くふふふふっ。
“…!そうじゃった、儂は死んで…!
くっ、何故動けん…っ!”
死んですぐに魂として動けなかった時点で気付かないの?
殺した瞬間にオマエの魂は拘束済みだよ。
くふふっ。
“…成程のぉ。
なら無駄な抵抗は疲れるだけじゃなぁ。”
…もっと見苦しく抵抗してくれても良かったんだけどなぁ?
まぁいいや、そんな事よりボクはオマエに聞きたい事があるんだ。
“何故お主の意向に背く行動を取ったか、その目的…じゃろ?”
…ほんっと憎たらしい程、ボクの言いたい事が分かってるじゃないか。
“ふん、お主も儂が言おうとしてる事が分かっとるんじゃろう?”
まぁね?
どうせボクがオマエの裏切りに気付いた経緯とか、裏でボクがこそこそやってた事とか、その辺りをまず聞かせろ、話はそれからだ…って所だろー?
“大正解じゃよ。
…さて、では聞かせてもらおうかのぉ?”
はぁ、その余裕ムカつくなぁ。
…オマエの裏切りに気付いたのは簡単な話だよ。
だって、
しかも、ボクがもう異世界へ行かせない方がいいかなって判断して残そうとしてた子ばっかりがね?
“邪神
…つまり邪神とお主は此処でも繋がっとったという訳か。”
此処でも…?
まぁいいや、そうだよ。
オマエは勝手に勘違いして、ボクと同じ指示を出したつもりでいただけ。
それに、ボクの空間でここまで好き勝手出来るのってオマエ位でしょ?
だからオマエが犯人ってその時点で確定してたんだよねぇ、こっちとしては。
ボクがオッサン、機人ちゃん、元ゴブくん以外の子って、数人にしか顔見せしてなかったのを良い事に、神の振りして接触したんだろ?
そりゃあ皆も“箱庭”で唯一外に出たり戻ってきたりって、自由にしてたオマエが神だって言えば信じるだろうしねぇ?
…ボクがちゃんと全員に顔見せしとけば、こんな事にもならなかったのかなぁ。
“お主と儂の見た目じゃあお主は胡散臭過ぎて、どの道儂が神だと信じる結果になったと思うがのぉ?”
言うねぇ。
…続けようか。
早い内は無理そうでも、時間が経ってから異世界にまた行く決意をする子も多くいたしね。
そういう子の魂に直接語りかけて確認したりする為に、顔出しはしてなくても“箱庭”自体は定期的に確認してたんだよねぇ。
で、ボクの知らぬ間に“箱庭”からいなくなってる子がいたから、おかしいと思って、その子らが死んだ後確認してみたら受けてる指示が違った。
だからボクは、最も怪しかったオマエに
“監視、とな?
しかしそんな者が居った気配等……っ!
…成程のぉ。
もしや
くふふふふふっ。
そう、“しゅじんこうくん”が大好きだった“あの子”、隠密ちゃんだよ。
オマエはオッサンや機人ちゃん、ゴブくんがボクの新たに得た切り札だと思い込んでたみたいだけど、あの三人は“見せ札”。
本当の切り札は隠さなきゃ意味ないでしょ?
くふふっ。
“…そこからが儂の計算違いだった、という訳か。
じゃが、あの子がお主の手駒となる事を素直に了承するとは思えんが?”
あぁ、それは簡単な事さ。
…恋していた相手を自らの手で殺めたショックで死を選んだ“しゅじんこうくん”、彼を復活させる事を条件に交渉したんだよ。
ただ、残念ながら“しゅじんこうくん”は精神が完全に崩壊してたせいで魂が欠けてたから、そのまま蘇生するのは難しくてねぇ。
だから魂の核としてゴブくんに、身体の器としての“しゅじんこうくん”、二人を融合して、彼の魂を補完対応をさせてもらったんだ。
これで隠密ちゃんは“しゅじんこうくん”を片時も離さないで済むし、ゴブくんは人間の肉体を手に入れられる。
そしてボクは隠密ちゃんと中身がゴブくんの勇者というコンビ、つまりは隠密性と知力、戦闘力の全てを兼ね備えた切り札を得られる。
皆がwin-winの関係でしょ?
“その辺りは理解したわい。
…儂が勇者の小僧の元に行く事を読んだのも、最後に儂を後ろから刺したのも其奴らなんじゃろうという事ものぉ。
…さて、次じゃ。
邪神とは何時繋がっておったんじゃ?”
何時、ねぇ…。
難しい質問だから…
直接聞いてみよっか、邪神ちゃーん?
“…何じゃと!?”
<お呼びでしょうか、愛しの貴方様。>
“何故邪神がお主の神界におるんじゃ…!”
何故って言われたらオマエから守る為だよねぇ?
ロキの件が終わってすぐに、邪神ちゃんの方から
<貴方様との素敵な戯れで弱っておりましたら、何人も生きた人間があたくしの領域に飛ばされてくるんですもの。
その度に
貴方様はあたくしが死を嫌っていると知ってらっしゃるから犯人ではない。
そう判断して助けを求め、保護してもらっていた、という訳です。>
“…つまり、好みを知っておったり、戯れ合う仲だったとな?
その上、初めから此処に避難しておったと?
…ではそこに居る勇者の小僧の元へ儂が連れて行った、彼奴は一体なんだったと言うんじゃ?”
あー、あれ?
ロキが現地民で何か実験してたんだけどさ?
その中に、勇者を無理矢理作るシステムみたいなのがあったんだよ。
で、そこでロキが使ってたって言う
それを応用して霊喰虫を固めて作ったボク特製の邪神ちゃんコピーだよ。
くふふふふっ。
“此方への反応が薄かったのはそういう事じゃったか…。
…つまり小僧は其れを知って居って…!”
せいかーい!
つまり、オマエがやった事は…
頑張ってボクの手札数枚と“見せ札”の一枚を
頑張って偽物の邪神ちゃんを捕まえて、
頑張って偽物だって見分けがつくオッサンの元に連れてっただけ、って事!
くふふふふふふっ!
““削った”というその口振り…、こちら側の事はお見通しじゃったか…。”
まぁ、
しかも神の殺し方教えるとか言えば、手懐けるのも簡単そうだし。
超人くんは、耳ピクくんから辿ってったんだろう?
どっちも悪くは無かったんだけどねぇ?
殺し屋ちゃんは自由にさせとくべきだったと思うよ。
あの子は指定した相手一人を殺すより、不特定多数を殺した方が輝くタイプだもん。
“誰もがお主の様に損得勘定だけ考えられると思うで無いわい。
…儂が聞きたい事は全て聞かせてもらった訳じゃが。
さて、お主が聞きたい事は一体何じゃ?”
ボクが確認したいのは一つだけだよ。
オマエ、この
神であるボクすら理由を説明出来ない、“転生、転移した者は元いた世界に戻せない理由”、詳細まで知ってるみたいだし?
他にも何か知ってるんじゃないの?
それこそ
“……ふぉっふぉっ、よく分かったのぉ。
ならその情報を賭けて、お主の好きな
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転移例 No.-1 …学生:Q
転移先 …邪神の神界
死亡原因 …記憶を消され下界に落とされた後、寿命
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