改めて、異世界転移の場合┈┈case-9





マジで他のヤツらってどいつもこいつも無能だよなぁ。

おれ様が何でも出来すぎちまうのが悪いのかもしんねぇけどな?


情弱、低脳、愚鈍なクズ共は醜い嫉妬でおれ様を貶めようとしてくっけど、そもそも能力差がありすぎて何も意味ねぇ。


社会的な信頼度がそもそも違うから、おれ様のクソみてぇな噂を流されても誰も信じやしねぇ。

こそこそ画鋲を靴に仕込んだりなんてアホなやり口を仕掛けてくりゃ、看破して即犯人を割り出し報復すんのもおれ様には御茶の子さいさい。


バレないでやれる程の能力が無いんなら最初っからやるなって話なんだよ。

まぁそれすら判断つかねぇからこその無能なんだろうな。



そんだけ言いきれる位には、おれ様はどの分野もぶっちぎってんだ。

スポーツをすりゃ公式記録をことごとく更新出来るし、学力で言やぁ満点以外取った事もねぇ。


正直つまんねぇんだよなぁ。

どいつもこいつも相手にならねぇし張り合いがねぇ。

こんなクソみてぇな世界じゃなく、もっと対等なヤツらがいる世界に行ければ良いのによ。


そんな事考えてたら教室が急に光り輝いた。

またクソ共の嫌がらせかと思ったんだが頭働かせる前に意識が…。





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…結論から言やぁ、どうやらおれ様の希望が叶ったらしい。


おれ様の知識に当てはまらない建築様式で建てられた城。

周りを囲む知らねぇヤツらが話す言葉は、聞こえてくる音と口元の動きが発声法として一切噛み合っていない。


つまり、恐らくここは異世界。

おれ様達を召喚したっていうカス共の発言もおれ様の予想を裏付けた。


即座にそこまで思考が出来ねぇような低脳共と一緒なのはマイナスだが、特殊能力なんてクズ共には勿体ねぇもん貰ったんだ。

多少はマシになるだろうよ。


まぁクソみてぇな能力しか得れなかった雑魚もいたみたいだけどな?

…そういうヤツはさっさと消えてったしどうでも良いか。



とにかく。

魔王討伐なんて大層な名目で特殊能力を得れる異世界人を求める位だ。

退屈しなくて済むような、それこそおれ様と対等なレベルで争えるヤツが、相手にいる事を期待出来そうで何より。




そう思ってたんだが、魔王軍が雑魚過ぎて話になんなかったわ。

てかこんな雑魚なら能力なんて要らねぇんじゃねぇのかレベル。


元々無敵なおれ様が特殊能力なんて持っちまったせいで、対等なレベルのハードルが上がっちまったか。


おれ様の特殊能力は、指定した部位の能力を倍に出来るだけだってのに、それだけでより一層クソゴミ共と差が出来ちまうなんてな。

いくらおれ様の聡明な頭脳でも、ここまで他のヤツらが下等だと分からねぇもんだよまったく。


こりゃさっさと魔王とやらを倒して、召喚の応用で他の世界に送れねぇのか試させるしかねぇな。






案の定、件の魔王もクソ雑魚で話にならなかった。

適当にボコボコにして国のヤツらの前まで引きずって連れてってやったよ。


そのまま、召喚の応用でおれ様を別の世界に送れって言ったら向こうも大喜びで試す事になった。

そりゃそうだ、忠誠心なんてクソ程もねぇ上に手に負えなかった魔王を倒せるおれ様は、手元に置いときたくねぇだろうしな。


お互いwin-winなんだ、さっさと別の世界に送れや。

せめてそん位役立てって話だ。





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召喚の仕組みを聞いたおれ様が、助言してやったおかげで別世界に行く事も無事成功。

だが、ここでも周りのヤツらのレベルが低すぎて心底退屈だった。



ここも駄目か、そう思ってまた別世界に行く方法を探してたら、突然いい感じにおれ様と張れそうなヤツが目の前に現れた。


そいつに、何でもいいから競い合おうぜって話をしたら、そんなに退屈する程能力があって相手を探してるなら邪神でも殺してみないかって言い出したんだよ。


おれ様を上手く利用しようとしてんのが丸見えなのは癪だが、内容自体は興味をそそられるもんだったからな。

退屈してたおれ様はあえて細かく聞かずに誘いに乗ってやる事にした。





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改めて、そいつの力で邪神がいるらしい世界に送られたおれ様は、好き放題暴れさせてもらったよ。

そうすりゃ邪神も出てくんだろうし、おれ様自身のストレス発散にもなるからなぁ?


邪神の下っ端みてぇなヤツらも殺し尽くした。

その中に少し“惜しいな”って感じのヤツもいたんだが、残念ながらおれ様には届かなかったな。



その惜しいヤツが、死に際に“何故こんな事を”みたいな事抜かしやがったんだよ。


邪神って呼ばれてる時点で“悪”なんだ。

そしてそいつを殺してやるってんだからおれ様は“正義”だろ?

それに疑問を覚えちまってる時点で、おれ様との差が明白なんだよ無能が。





…殺しに殺しまくっても邪神が出て来ねぇ。

ならおれ様から会いに行ってやるかって事で、邪神に繋がりそうな神殿だのなんだのを虱潰しに探し回った。


そして遂に、見た瞬間こいつが邪神だって、分かるヤツを見つけ出してやったよ。

そいつはあからさまに狂ってるようなヤツだった。


会ってすぐに分かった。

おれ様と対等なヤツ。

感動すら覚えたよ。




























会った瞬間に猛烈な吐き気に襲われる位にな。



こんなヤツとしか対等になれないって事は。


いや違う。

おれ様は狂ってなんか無い。


違うんだ。

出会って即殺しにかかってくるようなヤツと一緒な訳が無いだろ。


それじゃまるで。


まるで、おれ様がサイコパスみたいだろ。




急激に記憶が巡る。


違う。

おれ様は虐められてたんじゃない。

嫉妬されて、恐れられてただけなんだよ。



…記憶が巡る。


違う。

おれ様は敬遠されてたんじゃない。

自ら望んで孤高を選んでただけなんだよ。



……記憶が巡る。


違う…。

おれ様が理解不能なんじゃない。

周りこそ無能すぎるだけなんだよ。




違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う…





違う…




おれは超人なんかじゃない。









ただ褒めてほしくて、見てほしくて、目立とうとして、陰で頑張ってただけの無能なんだよ。







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転移例 No.19 …学生:P

転移先 …邪神のいる世界

死亡原因 …頸動脈切断による失血

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