異世界転生の場合┈┈case-3




僕はアニメが好きだ。

僕はマンガが好きだ。

僕はゲームが好きだ。




僕は空想の中だったら何にでも成れる。




僕は学校が嫌いだ。

僕は社会が嫌いだ。

僕は人間が嫌いだ。



僕は現実の中だったら何にも成れない。




空想の中では僕はイケメン。

現実の中では僕はブサイク。


空想の中では僕は最上位カースト。

現実の中では僕は最下位カースト。


空想の中では僕はどんな事も出来るヒーロー。

現実の中では僕は何をしても疑われるヴィラン。




何でこんなに差が出るのかって?


そりゃあとてつもなくデブで、救いようの無い程グズで、滅茶苦茶にオタクな僕が、過剰なまでに虐められるのは当然。

それが現実ってやつなんだよ。





だからこそ僕はずーっと憧れてた。

何にって言えば異世界に。

だって現実に未練が何一つとして無いからさ。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈






そんな僕が何の因果か、本当に異世界転生する事になった。


理由については、無愛想だけど滅茶苦茶綺麗な女神様が話してたけど、女神様に見惚れてたからすっかり聞き逃したのはご愛嬌。


死んだ理由も話してた様な気がするけど、どうせ苛烈になり過ぎたイジメが原因だろうさ。

最近度が過ぎてたし。



というかもうそんな事はどうだっていいよ。




だって、これからは僕がヒーローになれるんだからさ!


チートは残念ながら貰えなかったし、女神様も僕に惚れてくれはしなかったけど、昨今チート無しでも現代知識だけで無双出来るって知ってた?


なんてったって僕には、二次元から得た色んな知識がある。

どんどんと成り上がって、結果を出せば女神様だってイチコロだろうし、ハーレム形成、なんて事も余裕だろうしね。


女神様は僕の卑猥な妄想を、心を読んで理解してしまったのか、露骨に顔を顰めてたけど、精々下に見てるがいいさ。


僕はヒーローになるんだ。

もう誰にもバカにはさせない。






















そう思ってたのに、何で僕は皆に罵倒されたり、石を投げられたりしてるんだろうか?




辺境とはいえ領主の家に産まれ、見た目も前世と比べるまでもない位、整った顔立ちになれた僕だったけれど、物心つく頃には既に両親から気味悪がられていた。


内政チートで成り上がる為に、良かれと思って色んなアドバイスをしたんだけど、どうやら心情的にも環境的にも、僕の知識は異世界では到底通用する内容じゃなかったらしい。


その結果、荒唐無稽な事を言う悪魔憑きだなんて、周囲の人間に陰口を叩かれる様になった。


だからって僕は諦めなかった。


どんな物語でも最初は躓くパートがあったりするもんね。

前例を作る為にも率先して僕がやっていけば良いんだ。


なーんて呑気に自分に言い聞かせて。







時すでに遅し。

気付けば周りには、敵しかいなかった。


何をしても怪しげな事をしている頭のおかしな奴、というレッテルを貼られたのは勿論の事。


仕舞いには人々から公然と罵られたり、暴行される事だって、僕に対してなら許される。

そんな暗黙の了解すら生まれていたんだ。

失礼な話だよね、本当にさ。



僕の考えた知識チートが失敗しかしなかったの事。

それがきっと周囲からの、僕への扱いを決めた大きな原因の1つなんだろうね。



例えば僕は、領内の畑にこっそり肥料になりそうな火山灰だとか糞尿だとかを撒いたりした。


結果、次の日には作物が魔物に変異して大騒ぎ。

畑の周辺住民は軒並み犠牲になった。



例えば僕は、レベルアップとかがあるだろうと、弱そうな魔物に狙いをつけて、夜な夜なこっそり狩りに出た。


結果、魔物の死骸が残す痕跡に誘われた大型の魔物が、明け方うちの領で大暴れ。

死傷者を多数出した。




ん?そんな事したら、そんな扱い受けて当然だって?













ふざけんなよ!!

僕の世界には魔力なんて要因無かったんだ!!

何が起こるかなんて分かる訳も無いだろ!!!















…まぁもう良いんだけどさ。

僕は気付いたからね。


だって余りにも理不尽で不親切。

気付かない方がおかしいよね?




















さてと、チュートリアル・・・・・・・はもう良いや。










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転生例 No.3 …学生:C

転生先 …剣と魔法の世界

死亡原因 …動脈の切断による失血

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