第一幕 一章~異世界転生の場合~
異世界転生の場合┈┈case-1
ふと気が付くと、何やら真っ白な空間。
あれ?僕は確か学校から帰ってる途中で…。
“清き魂よ。ようこそ、我が界へ。…まずは主の善き生へと祈りを捧げようかの…。”
そんな声が頭に響いたと思えば、目の前には何やらとっても偉そうなお爺さんが。
ここは一体…?貴方は…?
“分かりやすく伝えてやろうかの。
儂は神。
ここは選別されし魂と、死後、対話を図る空間…とでも言っておこうかの?”
なるほど…?
いまいちよく分からないけど、僕は死んだって事ですか?
“そうじゃな。主は死んだ。幼き者を助けての。”
……あ、そうだ。学校の帰り道ちっちゃな子が車に轢かれそうなのを見て…。
ふとその光景が思い出され…。
“主は飛び出し、そして死んだ。”
行動の結果も即座に回答されてしまった。
…あの子は助かりましたか?
“実を言うとな。そもそもあの者は死ぬ運命に無かった。捻挫をする、その程度の運命じゃった。
まぁ、主が飛び出して突き飛ばした結果も捻挫だった故、言ってしまえば何も変わらん。”
何も変わっていないということは、つまり。
…無駄死にでしたか。
“そうじゃな。
その結果、主は運命の予定に無い死へと至ってしもうたのじゃ。”
至ってしもうた・・・・という言葉に違和感が。
…何やら神様にとって都合の良く無い事をしてしまった…という様に聞こえますが?
“その通り、主は運命を超えてしもうたが為に、輪廻の輪を抜けた。
つまり主の世界に生まれ変わる事が出来んくなってしもうた。
しかし、そうなると世界の魂の総量に誤差が生じてしまうのじゃ。”
何の事だかさっぱりだけれど。
その誤差が…、良くないと?
“そうじゃ。誤差が生まれるとその分、世界は歪み時空が崩れる。
だからこそ、ここでの対話によって、主を異世界へと転生させる為の詳細を決めようという訳じゃ。”
話の流れがとても急だった。
なぜ異世界へ転生するのでしょうか?
“輪廻の輪から外れたからこそ、主をそのまま主の世界へ戻す事は出来んからの。
その分、生を異世界にて送ってもらい、異世界にて死ぬ事で、外れた運命を1度リセットしてしまうのじゃ。”
生前僕がハマっていた小説などでよく聞く話は、こういう裏事情だったのかな…?
うーん…。よく分かりませんが、そういうシステムだという理解でよろしいですかね?
“そうじゃの。
さて…、余りこの世界に馴染んでも魂に良き事は無い。
早速色々と決めて行こうかのぉ。”
一体何を決めるのですか?
転生なんてした事がある訳もないので、理解が及ばないにも程がある。
“どの様な世界に生まれ変わるか、そして、その世界で生きる為にどんな能力を持って生まれ変わるか、と言った所じゃの。”
…そういえばこういったお話では、要望した結果、所謂チート、なんてものが貰えたりなんていう事があったなぁ。
ちょっとだけドキドキする。
男心って奴なのかな。
”勿論、主が願った能力等はなるべく叶えて与えられる
……訳はないのじゃがな?”
…あれ?
“儂の言っておる『能力』は確かにこちら、つまりは神が与えるものじゃ。
となると当然、人間の考える所謂“チート”の様なものもある。
じゃがしかし、こちらがそういった能力が与えるのは、よっぽど善行を積んでおったり能力の高い者、つまりは超人と言われるような者達のみじゃよ。
そういった者達は総じて魂の質が高い。
異世界で、じっくり長く生きてもらわねばリセットしきれんのじゃよ。”
僕はそれに当て嵌らないですもんね…あはは…。
そういえばさっきの神様の言葉って、確かに『どの世界に~』とか、『どんな能力を持って~』とかって、どっちも『生まれ
“主は言ってしまえば単にイレギュラーで死んだだけの平凡な人間じゃからのぉ。
別に長く生きて欲しい訳でもない。
そうなれば与える能力なんぞたかが知れておる。”
少し呆然としつつも、まぁ当然かと納得だってしてしまう辺りが、さっき言ってた凄い人達との差なんだろうか…。
…ちなみに与えられるとして、一体どんな能力なんでしょうか?
“精々他の人間と比べて、多少病に侵されにくい、程度のもんじゃな。”
…ち、ちなみに生まれ変わる世界というのは…?
“1番世界として数の多いのが、剣術であったり魔法なぞを使う、所謂ファンタジーの世界じゃからのぉ。適当なそこの1つに放り込ませて貰うわい。”
そ、それ、生きていけますかね…?
“理不尽と思おうが、儂を恨もうが構わん。その感情を糧に生きるが良い。”
あはははは…、はぁ…。
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転生例 No.1 …学生:A
転生先 …剣と魔法の世界
死亡原因 …流行病による母体の衰弱
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