ご都合主義なんてありません
よーや
第一幕 序章~ご都合主義~
異世界転生の場合┈┈case-0
俺は華の高校生二年生、
クラスの連中には『異世界渡る』なんて渾名を付けられ、
「トラックには気を付けろよ~」「お前が完璧超人じゃなくて本当に良かったよ、巻き込まれるのはマジ勘弁」
…等と弄られはするものの、それがイジメに発展する様な事も無く、人間関係にはとても恵まれていると常々感謝しまくり。
弄りの文言で分かる通り、容姿端麗、文武両道…な訳もなく、どこを取っても可もなく不可もなく、言ってしまえば限りなく中の中の中!!
唯一周りに誇れる所と言えば明るい所かな…、なんて当たり障りの無い答えしか見い出せないのが悔しいぐやじい…!!
涙に濡れる毎日だぜ…、ふっ…。
べ、別に悲しくなんてないんだからねっ!
そんな俺にも趣味は勿論あるのさ。
これを見よ!!
半年前の夏休みに取った原付免許を!!
この為に高一からコツコツとアルバイトを続け、原付自体も時を同じくして買ったのだよハッハー!
そう、趣味は原付に乗る事!
別にヤンチャな仲間がいる訳でも、盗んだバイクで走り出しもしない。
何処に行くでもなく、フラっと出かけるのが好きなのだよ。我ながらハードボイルドだねぇ。くぅーっ!
今日は日曜日!
午前のバイトを終え、いつも通りフラっとGO!!!
あー素晴らしき青春かな!!
…そんな事を思ってたのは、ついさっきまで。
走馬灯ってこういう事なのかな?
なーんて、目の前まで迫りつつある、信号無視して突っ込んで来た、大型のトラックを見ながら思いましたよ。
何でか知らんがゆっくりバッチリ見えるドライバーのおっちゃんよ。
居眠りなんかしちゃ駄目だって、体調管理も仕事の内だぜ?
まだ見ぬ未だ姿を現してくれない俺の未来の彼女…、先立つ不幸をごめんよ…。
あ、父ちゃん母ちゃんも…。
トラックに引かれて死ぬとか、絶対クラスの奴らに笑われるな…。
いや、流石に悲しんでくれるかな…?
散々トラックには気を付けろって言われてたのになぁ…。
あ、異世界転生とか
ぶチゃッ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
気が付けば真っ暗な空間に、プカプカと浮かんでいるような、そんな感覚。
あれ?死んでない?
そう思って身体を動かそうにも、手足も何もかも全くもってピクリとも動かない。
何かに覆われてる、みたいな?
植物状態って奴かね?
そんな事を考えてると、ふと目の前に気配と言いますか存在感と言いますか…。
というか、何かが腹抱えて笑ってる……様な気がする。
瞼すら開けないのに、何でかそんな気がするんだよなぁ…。
“あひゃひゃひゃっあひゃひゃっひゃひゃひゃっ………!
……くふふふふっ、あぁ面白かったなぁ、オマエの死・に・ざ・ま……!”
何だかとてつもなーく失礼な態度で失礼な事を言われた様な気もするし、俺はやっぱり死んだのかと寂しくも感じるし…。
“あ、ボクは-----…ってこっちの言葉じゃ理解出来ないか。
まぁいいや…、じゃあとりあえず、うーん…、ロキとかでどう?”
こっちのそんな感傷なんてお構い無しに、突然頭の中に何か入り込む様な感覚がしたと思えば、存在感はそんな事を言い出した…。
あ、ちなみにこれも言い出した様な気がする、ね?
なんて言えばいいのか、頭に直接言葉が響く?
そんな感じ。
更に言うなら、それと同時に存在感が視える…とでも言えばいいのかね?
とってもチャラそうな若い兄さんが、そこにいるって何でか分かる。
“さっきっから混乱してるみたいだけど、そりゃ魂だけなんだもの、目も耳も手も足もぜーんぶ無いに決まってんじゃん。
いい加減気付けよなぁ、くふふふふ…”
ずーっと馬鹿にしてる雰囲気、すっげぇムカつく!!!!
けど、さっき言ってたのが名前…って事はもしやこの人…!
“そうそう、そっちで言う神様!
だからそもそもこの
ナチュラルに心読めんのすっげぇー!!
てか何でその神様が死んだ俺の魂の前に?
“想像つかないの?”
ももももも、もしかして…、異世界転生とかそういうやつですかね?
期待で胸ドッキドキ、魂だけだから胸ないけど!!!
“あーそうそう、現世で言う所のそういうやつ!それについて言いたかったんだよ!!
どんまいっ!そんな事ある訳ないからさ!!
ただ死に際が面白かったから、魂もおもしろーく破滅させたげようかなってね!!”
…………えっ?
…今なんて??
“ん?…あー!
言っちゃえば異世界転生とか大層なものがさ?
オマエみたいな経験も浅くて、魂の質も悪くて、奇跡を起こせる程の強い情念だったり意志すら持たない奴なんかの為に、都合良くある訳ないよねって!
え?何?
まさか都合良く、異世界に転生出来るって信じてたの?
馬鹿じゃないの?あ、馬鹿か!あひゃひゃひゃひゃ!”
…え、あ、い、いや、ちょ、ちょっと待ってくれよ、まだ俺若いし正直生きたいし未練とか勿論あるし死にたくないしというか何で俺が
や、待って何か痛い痛い痛い痛いいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイいたいいたい痛いイタイ!!!!!!!
“その痛みの原因は
あ、それとか言っても見えないか…。
説明すると脚とか滅茶苦茶多いし見た目はすっごいキモイ!
ボクと違って存在感うっすーいからオマエには見えないんだよねー?
ある意味見えなくて正解だね、ほーんと!
実はさっきからずーっとそんなのが、オマエの魂の周りを
ボクがGOサイン出したもんだから、もうずーっとひたすらガジガジガジガジガジガジ!!!!!
ボクが止めない限り、無限にガジガジっ!
辛いよねぇ、苦しいよねぇ…!
あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!”
…い………いたい………ぉ……れ……ぼ……いぃっ……く…………いぎっ……いた……………き…………………イ……………え………………る…………………?
…かはぁ…いっ……い…けぶぉっ……いだ…い…をぉ……しぬぅ…………いた……ぃよ……………ぐぅ…
…ごろ…し……で…や……る………
“くふふふふふ…。
成程、人間も追い詰めれば中々楽しめるかなぁ…?
くふふふふふふふふふっ……”
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