幼馴染との朝

「朝はしーっだよそーちゃん」


「あっ、す、すまん」


なななななんで隣に千聖が!?

てか薄着で胸元が見えっ…って!!


「おまっ、前を閉めろ!」


「わぁ、おっぱい丸見えだ。そーちゃんのえっちぃ〜」


そう言って頬をつんつんと突いてくる。


「い、いいから閉めろって!」


「むう…わかったよぉ」


拗ねたように頬を膨らませてワイシャツのボタンをしめる。

あれ、このワイシャツって…。

俺の疑問に思う視線に気づいたのか、千聖が口を開いた。


「このワイシャツ?そーちゃんのだよ?」


「やっぱりそうだよな………ん!?」


「えへへぇ。そーちゃんの匂いいっぱい」


「いやいや!なんで俺の着てんだ!?じゃあ、俺が今着てるのは…?」


「それ私の」


もう何も言うことはない。

いや、言っちゃいけない気がする。


「あ、サイズはピッタリでしょ?胸が大きいから男の子用のじゃないとキツキツでさぁ」


「あぁ…うん…そうだな」


「とりあえず、着替えよう」


「そだね。どうする?そーちゃんは今日学校行く?」


「あー…そう言えばココ最近行ってないな」


「いく?」


「まあ、うん。行こうかな」


「じゃあ制服だね!待ってて!」


そう言って千聖は部屋を出ていった。

自然と辺りを見渡す。

どうも違和感がする。

キングサイズのベッドに、大きいシャンデリア、俺みたいな貧乏にもわかるほどの高そうな家具。

と言うかそもそもこの部屋自体。


「でかくね?」


いやいやいや!どう見てもおかしいだろ!

ここ寝室だよな!?ベッドあるし……。

なんだこのザ・金持ちみたいな部屋は!!

戸惑っていると急にドアが開いた。


「そーちゃん!制服持ってきたよ!どう?綺麗でしょ?」


「綺麗って…どう見ても新品だろ」


「だって前にそーちゃんが着てたのボロボロなんだもん」


「う……ってそんなことより!この部屋は?どこかのホテルか?」


ホテルだとしたら相当高いぞこれ。

俺じゃ払える自信が無い。


「ちがうよ?私の部屋だよ?あ、でもそーちゃんも住むことになるから私とそーちゃんの部屋だね!」


「なっ」


ここが千聖の部屋!?

待て待て、理解が追いつかない。

昔はそんな素振りも一切なかったし…。


「じょ、冗談だよな?」


「も〜。信じてよー!あ、昔は一般人の生活がしてみたくてね。何年か普通に過ごしてたよ?ちょうどそーちゃんと会った時ぐらいかな?」


「あ、あぁ…そういうことね……うん…もう驚かない」


やべえ頭いてえ。

処理に全力を注いでいる脳を抱えていると、俺の腹が盛大になった。

そういえばココ最近ろくなもん食ってなかった…。


「あ、お腹空いたよね。そーちゃんココ最近雑草とかしか食べてないでしょ。そんなんじゃ不健康だよ」


「なんで知ってるんだよ……」


「ひみつ〜。さっ!ご飯食べよー!」

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