超絶金持ちの幼馴染と付き合った俺は最強なのでとりあえず悪を粛清しまくることにします
@akasatana_711
神代裕也への復讐
プロローグ
「浮気していたのはごめんなさい。でも、これ以上あなたといても楽しくないの」
そう言って彼女は去っていった。
一人道端で崩れ落ちる。
だが、不思議と涙はでない。
空気が抜けたように無表情で地面を見つめているだけだった。
通り過ぎる人々はこちらに注目しているが気にしない。
振られたことによる悲しみでもない。
浮気されていたことへの怒りでもない。
裏切られたという絶望だった。
「ははっ……あんなに頑張った結果がこれか…」
カバンの中に大切に入れてある小包を取り出す。
俺が彼女にプレゼントしようと思って必死にバイトして手に入れたネックレスだ。
一万弱だったが、あまり裕福ではなかった俺にとっては、とてつもない大金だった。
「家に…帰ろ……」
おぼつかない足取りで家へ向かう。
いつもなんともない道もなぜか辛く感じた。
休憩にと近所の公園に立ち寄る。
ベンチに座って空を見上げる。
この公園にいると心が安らぐ。
空を見ていると、唐突に昔のことを思い出した。
『大きくなったら僕ちーちゃんと結婚する!』
『ほ、ほんと!?』
『うん!だからね、ずーっと一緒にいようね!』
『わたしもそーちゃんとずーっと一緒にいる!』
小学生の頃のおもいでだった。
ずっと一緒か……。
今思えば所詮ガキの約束だ。
守る必要もないし、覚えている必要もない。
そう言えば、あいつは今なにしてんだろ。
中学に進学してからは疎遠になって連絡もパタリとなくなった。
高校生になった今でも彼女とは会っていない。
「ちーちゃん…」
口からポロリと零れた。
驚きを隠せなかった。
さっき彼女と別れたばかりなのにもう違う女性のことを考えている。
俺も俺だな。人のことなんて言えた立場じゃない。
本当に、驚いた。
「なぁに?そーちゃんっ?」
そんな彼女、いや、千聖が、今目の前にいることに驚きを隠せなかった。
「俺さ、彼女にフラれたんだ」
「うん」
「でもさ、あいつ、浮気してたんだぜ?」
「うん」
「ほんと、笑っちまうっよなっ…」
「うん」
「俺だってっ…がんっ…ばったのにっ」
千聖は嫌な顔をせずにただ頷いてくれるだけだった。
でもなぜだろう、さっきまで出なかった涙が出て止まらない。
「頑張ったね。私は知ってるよ」
「ああっ…!頑張ったんだ…!それでもっそれでもっ…!」
感情が込み上げてくる。
止めたいのに止められない。
千聖を前にすると、抑えられない。
すると、ふわりと柔らかな感触がした。
「うん、うん。大丈夫だよ。私は君の努力を誰よりも知ってる。だから我慢しなくていいんだよ。いっぱいいっぱい泣いていいんだよ」
「うぅぅっ…うああああああっ!!」
みっともなく泣き声を上げる。
千聖は優しく頭を撫でて俺が泣き止むのを待ってくれた。
俺の味方は千聖だけなのかもしれない。
「っ…またかよ」
千聖と再開してから数日後、俺は嫌がらせにあっていた。
彼女に浮気されたのは事実だが、細かく言えばイケメン野郎に寝取られたのだ。
別れてから俺に反応がないのがおもしろくないのか、毎日携帯や家に元カノとのキス写真や、行為をしている写真や動画が送られてくる。
これをネタに脅せばいいのだが、なんせイケメン、
逆に俺が潰されかねん。
「はぁ、これて何件目だよ」
携帯の番号や連絡先を変えてもなぜか送ってきやがる。
「番号変え……意味無いか」
いつも通りメールを削除し、写真を燃やす。
毎日毎日やられるとさすがに鬱になる。
ゴールデンウィークも終わって明日が登校日。
嫌な予感しかしない。
そして翌日、重い足取りで学校に向かった。
学校に到着し、下駄箱で靴をはきかえ、教室に向かう。
入りたくない。と言うか今すぐ帰りたい。
いっそこのまま時が止まればいいのにと思うほどでもある。
だがそんなことを考えるほどなぜか……。
「着いちまった」
速く着いてしまう。距離は変わらないのだが、感覚的にそう思ってしまう。
ドアに手をかけ、教室に入る。
「やぁ〜、蒼太くん」
無視だ無視。
関わると余計疲れる。
俺は千聖と会ってから元カノに微塵も未練などない。
軽々しい男だとは自分でも自覚しているが、初恋の相手にあんなことを言われたら惚れ直さないわけがない。
…………ないことを祈る。
『私ね、昔の約束まだ覚えてるんだよ?大きくなったらそーちゃんと結婚する約束。そーちゃんは覚えてる?』
『あ、当たり前だろ!』
『なのに彼女つくったんだぁ〜』
『うっ…それは悪かった』
『いいよっ最終的に私と結婚してくれれば、私はそれで満足だよ?』
『なっ…/////』
『あ、照れてる〜かわいいなぁもう』
「おい、聞いてるのか」
気色の悪い男の声で俺の回想世界が打ち破られた。
目の前には神代が立っていた。
「んだよ」
「いやぁ、どうしても君に見せたいものがあってね」
「いいよ、見せなくて」
「そう言わずこれを見なよ」
強制的に神代の携帯を見せられる。
「なっ!」
そこに映っていたのはあられもない姿をした妹と母さんだった。
頭に血がどっとのぼって神代の胸倉を掴む。
「てめぇ!なにしやがった!」
「なにって、セックスだよセックス」
「っ…!」
拳を振りかざす。
彼女じゃ飽き足らず家族にまで手を出しやがった!
「殴るのか?いいさ存分に殴るがいい!あの日みたいに君がどうなってもしらないがな!」
「ほら、動画もあるよ、見なよ!」
「んなもん見たくねえ!」
そう言って俺は教室から逃げるように出ていった。
三日前に母さんと妹が急に家からいなくなったのはこいつのせいだっのか。
家に帰ってからは部屋に引き篭った。
「今…何時だ?」
時計を確認すると夜になっていた。
すると携帯から着信音がなった。
母さんからだ。
「か、母さん!」
『もっもしもしっ…そうたっ?』
「なにしてるんだ!三日家を空けて、それに妹はどこにいるんだ!?」
『そっれについて…んっ…話なんだけどっ…あっ』
「か、母さん?いったいさっきからなにを……」
『あのっ…だっだめっ…そんなに…んっ…ああっ…』
『君のお母さんは話せないようだから代わりに僕が話すよ〜!』
「な、お前、神代っか…?」
『もう君は家族に見捨てられたんだ!君の可愛い結愛ちゃんは今隣でイキすぎて失神してるよ』
「は、はぁぁ!?何言って…!」
『信じられないなら見るかい?』
「っ!!!くそっ!!!」
思いっきり携帯を投げつけた。
甲高い衝撃音と共に携帯が宙に浮く。
「くそっ!くそっ!くそっ!!」
こんなに怒っても、どれだけ憎んでも、俺には何もできない。
例え奴に復讐しようとしても金持ちのアイツには適うはずもない。
「ちくしょう!金持ちだったらなんでもしていいってか!?」
なにもできない自分に腹が立つ。
あいつの顔を思い出す度に殺意がわく。
その日俺はただただ一人誰もいない家で怒鳴ることしかできなかった。
さらに一週間が経った今、災難はまだ続くようだった。
帰る家がなくなった。
もともと母子家庭だった俺は家の権利は母にある。
その母が家を売り渡したのだ。
神代の家に住むことになったらしく、この家はもういらないらしい。
学校に行く余裕もなく、飯を食う金もなくなった。
「あぁ…俺って無力だなぁ……」
公園のベンチに寝転がる。
今日はここで寝なくちゃいけない。
相当疲れが溜まっていたのか、意識を失うように眠りについた。
『そーちゃん、私そろそろ行かなくちゃ』
『え、あ、あぁ。そうだよな、お前はお前で用事があるよな』
『ふふっ。近いうちにまた会えるよ。その時は、ずっと一緒だよ』
『なんだよそれ。まあ、またな』
『うん!それじゃぁね!』
チリリリリリリリリ。
耳にツーンとくるような高い音が鳴り響く。
「ん、んん…」
それによって強制的に目を覚ます。
「おはよっそーちゃん」
「あ、あぁ…おはよ…う?」
「どうしたの?変な顔して」
「な、なんで、千聖がいるんだ!?」
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