嘔吐く
違法少女
全ては私が決める
生温い朝が私を襲う。
眠ることを忘れた私の世界は、いつの間にか纏った怠惰を感じさせた。
朝が来る。それに脅えているのにも知らずに。
紅く、蒼い、儚さを帯びた空は、私の涙を引きずり出した。
どうも怖気づいてしまう朝には、不味い珈琲で十分だ。
蜂蜜も砂糖も味もない珈琲は、虚ろな私の身体に沁みていった。
売れない小説を延々と書き続け、今日も一日が終わる。
誰からも必要とされず、結局暮れてしまう世界に飽き飽きしていた。
また夜が来る。襲ってくる。
毎日晒される恐怖にも、もう飽きていた。
また眠れずに、縁側に出て、煙草をふかす。
「もうやめよう。」「もうやめよう。」と言いながらふかしてしまう煙草も、自分も飽きた。
全てに飽きてしまった。
あぁ、日が出てきた。
また朝が来てしまった。
轟々と燃える朝焼けに反吐が出る。
それなのに、世界はそんな私を受け入れた気がした。
それでも完全に昇り切った太陽は私を見下げた。つまらない世界に唾を吐き、珈琲を準備しに台所に向かう。
今日はいつもより少し甘い珈琲にしよう。それで、食器も新調した物に変えよう。
今日だけは小説を書くのをやめて、シャッターだらけの商店街を歩こう。
つまらない世界に私が色を付けよう。私が変えよう。私が変わろう。
全ては私が決める。
嘔吐く 違法少女 @Nipponkoku_Kenpou
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