第7話 ②頑張りました

 頑張った。私、頑張ったよ!


 広い肩口が二重にヒラってる水色のシースルーワンピース、いやもうズバリ言うけど、ムフフな夜を楽しむためであろうセクシーナイトウェアは、異世界女子が着たら生地たっぷりの素敵なえっちぃネグリジェだと思います。どこのお姫様かってくらい贅沢な布量でした。きっとそれを活用して、ああーんなことやあはーんなことをすると思われます。


 しかし私にはまず丈が問題なんだよね。

 でもまぁ丈は切ればいいし、切れないなら折るとかはしょるとかできる。


 それよりも問題なのは透け感だよ。

 これだけはどうやっても透ける。いくら目立たないからと言っても下着が見えるのは嫌だ。


 下になにか着るしかないんだけど、アロールおじさんはオーダーメイドするしかないってくらいの腕の太さだったから論外。天然天使のソルさんは快く貸してくれそうだけど180㎝はありそうだし、私と一緒で着の身着のままでここに来たんだから余分な服など持っていない。メイドさんのブラウスを借りようかとも思ったけど、メイドさんも160㎝はある。こうなったら、この屋敷に着替えが常備されているらしいサンクトス君の服しかないでしょう。


 それで頼んだら、すぐにさっき見たのと同じサンクトス君サイズの白シャツを持って来てくれた。


 少年サイズが入るのかって? なんと入るんですよ。私とサンクトス君の身長はほぼ同じ。145㎝付近。あ、今、そりゃ座敷童言いたくなるわって思ったでしょ? ふふふふふ。サンクトス君、きみはまだ成長期だから強く生きてね(涙)。


「ああ、これで針と糸とお針子さんがいれば完璧なんだけど」


 私に裁縫スキルはないんだよねぇ。


「ご希望をおっしゃっていただければ、私で良ければお手伝いしますよ?」


 なんとメイドさんは簡単な作業ならできるらしい。感動していたら円盤を渡された。なぜに円盤?


「形状を記録するものです。今回はそれほど長い時間必要ではありませんから、縫いつけるよりも早いかと思います」


 つまり簡単にくっつけられるしすぐに外せる見えない接着剤みたいな感じってことだよね?

 もはや縫うというよりも工作。それなら私でもなんとかできるはず。


「ありがとうございます。ぜひお願いします。あと、さっき体をふいてくれた布と同じものをいくつか借りてもいいですか?」


 透けワンピースを脱いで胸の下、腹部全体に布を巻いて寸胴な体型を作る。

 その上から白シャツを着て、再びワンピースをかぶせてもらった。

 異素材の重ね着は生肩を見せてるものもあるけど、今回は長いシャツなので肩も脇もキッチリ隠れて、下着や肌を見せたくない私にはいい感じだ。


 肩まわりの二重フリルをオフショルダーにして胸元を覆い、その下からは透けないように、ワンピースの横布を均等に蛇腹折りにして止めていきたい。その間隔を、だんだん広がっていくように左右と上から下に少しずつ間隔を広げてほしいと説明すると、メイドさんはさっそく実行してくれた。


 うん。いい感じ。見た目ティアードワンピースみたいになった。


 引きずっている20㎝くらいの裾はさすがに勝手に切るわけにはいかないので、くしゅくしゅ上げて均等に止めてもらった。


 くるりとまわって透け感を確認。うん。これなら下のドロワーズもシャツもはっきり見えないし、逆に白いから透け感も生かせる!


 勝手なコンセプトは『水の精霊』。『脱エロ』が隠れテーマでした。


 この作業時間、ほんの数分。ありがとうメイドさん! すごいな円盤!

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