第3話○○列車編

「お待たせしました!今回は特別に乗車を許可してくれるそうです。よかったですね。」


少女はまるで自分のことのように嬉しそうな笑顔を向ける。急いで走ったらしく整っていた綺麗な金髪が少し乱れている。


リューズ「マジ!?本っっっっっ当に助かった!ありがとな!えーっと」


「自己紹介がまだでしたね。私はグランヴィレ・レオネハート。レオナって呼んで下さい!」


とても明るい。物凄く明るい。照明器具にできそうな明るさだ。


リューズ「フロントネーム!?こここれはこれは、きき貴族の方でででしたか。今日はお日柄もよく絶好の登校日和ですね!!!」


貴族は一般市民と違い最初に来る名前と後に来る名前の二つを持つ。一般人の名前はシングル、貴族の名前をダブルと呼び、そのなかで前の名前をフロントと呼ぶ。


レオナ「ふふ、貴族だからって無理にかしこまる必要はありませんよ。先程みたいにラフな話し方の方が私は好きかな。」


なるほど。貴族の子供は恵まれた環境で育てられるためプライドが高いものが多く、稀に一般人を下に見て傍若無人な態度をとるものもいるが、この娘は違うようだ。その証拠に丁寧な言葉の中に一般人が使うテキトーな口語が混ざっている。


リューズ「それじゃまぁ普通に話させてもらうけど..」


リューズが話し始めようするも列車の発車アナウンスにさえぎられる。


レオナ「お話は車内でしましょうか」


リューズ「それもそーだな」


二人を乗せた列車は駅を置き去りにし、人には到底出すことのできない速度で目的地まで駆けていく。


リューズ「今更だけどレオナの来てる服って一等の制服じゃないよな。もしかして一等は私服ありな感じ?」


レオナ「このお洋服可愛いですよね!私も一目見てビビッ!て来たので買っちゃいました。」


oh..俺の質問はいずこへ


リューズ「まぁ似合ってるとは思うけどその服は学校に注意されるんじゃないか」


二度目の挑戦


レオナ「え!?本当ですか!!!男の人に褒められるなんて初めてで..嬉しいです!」


ぐええええええええ。言葉のキャッチボールができないどころかボールを投げた瞬間に別のボールを投げてくるデンジャラスプレイスタイル。


リューズ「あ、はい。よかったですね。あーなら、そんなに気に入ってるなら着るのも躊躇わないのか?」


レオナ「すっっっっっっごい悩んだんですよ!でもやっぱり着てあげないとお洋服が可哀想ですから」


リューズ「へー。じゃあさ、もし俺がその服にコーヒーをこぼしたらどれぐらい怒る?」


レオナ「殺します^^」


リューズ「....え?」


レオナ「私のお気に入りのお洋服は命より重いので殺しちゃいます^^」


リューズ「ごめんちょっとトイレ行ってくるわ」


...........


リューズ「体中の水分を全部吐き出せ俺ぇ!」


物凄い勢いで排尿するリューズ


リューズ「もし唾がとんでかかったりしたなら...いやぁぁぁぁ!何とか繋いだ希望が命ごと潰されるぅ!」


.............


レオナ「大丈夫ですか?お花を摘みに行かれてから長い時間たちましたよ。お顔も少しやつれたように見えますし。列車はそろそろ着くのでよろしければ保健室までお連れしましょうか?」


リューズ「全然大丈夫。ちょっと脱水してるだけ..。あ!もう一等の駅見えた。」


一等の学生たちがぞろぞろと列車を降りていく。リューズらも同様に駅員に挨拶をしてから駅を後にする。


リューズ「ここまでありがとな、助かった。」


レオナ「いえいえ。二等までの道は分かりますか?よろしければお教えしますが」


列車で怖い一面を垣間見たが、これが冗談だと分かる仲にはなれた。恐らくこれ以降会うことはほとんどないと思うがいい友人に巡り会えた。


リューズ「さすがにそこまでまぬけじゃねーよ。それじゃ、またな!」


レオナ「はい、また!」


レオナと別れ急いで二等に向かうが時間はギリギリ。頼む間に合ってくれぇぇ!!

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