第2話

「アリーシャは明日から学生院だったな」


「はい。御父様」


「余り父親として接しられんかったので、厳しい事も余り言えんのだが、伯爵家令嬢として恥ずかしい真似だけはするなよ」


「全く。どの口が言っているのかしら?私が恥ずかしいわ」


「は、母上!」


「全く夫婦揃って毎日毎日、娘に顔も見せないで仕事仕事と。仕事と娘どちらが大切なのですか!これではアーシャがあんまりですよ」


「ぐぅ」


「お母様、申し訳ありません」


「私に謝ってどうするの!アーシャに謝りなさい」


「ま、まあまあ、お祖母様。御父様もお母様も私の入学式に出られる様に頑張って下さったんですし」


「アーシャは甘いのよ。言いたい事、言っておあげなさい」


「す、すまんなアリーシャ」


「ごめんなさいねアーシャ」


「いえ、明日は来て下さるのですよね」


「ええ。勿論」


「なら大丈夫です。何時もお祖母様も居て下さいますし」


「あらあらまあまあ。アーシャなんていい子なんでしょう。……それに引き換えお前達は」


「は、母上!もう勘弁して下さい!」


「いーえ駄目です。私だってもういい歳ですよ。いつポックリ行くか分からないのだから」


「ま、またまた〜。母上がそうそう逝く訳ないじゃないですかぁ〜」


「そうですよ!お母様はまだまだお若いではないですか」


「お祖母様。晴れの日の前日に不吉な事は仰らないで下さいませ」


「おや、アーシャ済まなかったねぇ」


「そうですよ!お祖母様は何時までも元気でいて下さい」


「ふふふ。これは落ち落ちとジルの所には行けないねぇ」


「ふふふ。そうですよお祖母様。お爺様には私から謝っておきますね」


「ふふふ。ありがとうねアーシャ」




 入学式前夜はこんな風に過ぎて終始穏やかな気持ちに包まれていたのを今でも思い出す。


 


 入学式も御父様にお母様、お祖母様に御兄様までも来て下さり、驚いた。


 首席合格していた私は新入生代表挨拶をそつ無くこなしたけれど、家族皆が涙しながらウンウンと頷いて聞いていたのを見て、ああ、やっぱり家族なんだなぁ〜と苦笑してしまった。


 式の後、家族全員で外食した時間はとても嬉しくて楽しかった。


 学校も楽しみで学生院から帰ったらお祖母様に毎日お話しようとずっと考えていた事からやっぱり私はお祖母ちゃん子なんだなと改めて思ったりした。

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