こんなの私にどうしろと?

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第1話

 私の住んでいる国はユラシル大陸の西方にあるトラバントという国だ。

 今では珍しく貴族社会が残っている国でもある。

 王国では無く公国というのやつだろうか?

 公国とは名乗ってはいないけれど……。


 私の両親は国の中枢で忙しく働いているので、家族で揃って団欒をする事は月に1度あるかないかだ。


 なので基本的には雇っているメイドさん達が世話焼きをしてくれる。


 私が3歳の頃に御爺様がお亡くなりになり、御祖母様が一緒に暮らす事になった。

 伯爵家で領地持ちだった御爺様の後を継いだのは年の離れた御兄様であるアビレメレク現44歳が仕切っている。


 本当なら御父様が後を継ぐはずたったのだけれど、優秀な御父様が国の中枢部の職を辞められるだけでも辛いのに御父様が辞められると優秀な御母様まで辞めてしまうので国が傾くと泣いて止められたらしい。


 当初、御兄様も念願だった騎士様になれたばかりなのに御父様に引っ張りだされてグチグチと文句を垂れつつも引き受けていた。


 首都にある屋敷には代わりに御祖母様がやって来て私と住むようになった。


 何時もバタバタと忙しいメイドさん達と違い暇を持て余していた御祖母様と私の一緒にいる時間が多くなるのは必然で私が御祖母ちゃん子になるのも必然だった。


 1年も経つと私はいつも通り御祖母様の部屋へ遊びに行くのが日課になっていた。




 ある時は


「おばあしゃま!またご本を一緒に呼んでくだしゃい!」


「あらあら。いらっしゃいアーシャ。今日は何本かしら?」


「今日は〜ね〜ぇ〜、えへへ。これでしゅ!」


「あら、あらあらまあまあ。また珍しい本を持ってきたわね。まだこの文字の本が残っていたのね」


「やっぱり文字でしゅか!本部屋の奥で恥ずかしがって隠れてたので捕まえたのでしゅ!」


「あらあら〜そうなのねぇ〜。あ、そうだ、アーシャ、この文字の読み方教えて上げるわね。そうしたらもっと楽しく読めるわよ〜」


「ほんとでしゅか!でしゅ!」


「ええ〜勿論よ〜こっちいらっしゃい」




 ある時は


「おばあしゃま!きたの〜」


「あら、いらっしゃいアーシャ」


「おばあしゃま何してるの?」


「ええ、少し身体が痛いからストレッチのダンスをね」


「あははは!変な動きぃ〜」


「あら?そう?」


「うん!アーシャもやりたい!」


「あらあら。そうなの?じゃあ、いらっしゃいアーシャ」


「あい!」




 ある時は


「おばあさま!アーシャ来たよ〜」


「ふふふ。いらっしゃいアーシャ」


「今日は何見せてくれるの?」


「そうね。じゃあ私が若い頃に行った隣国の記録水晶の映像を一緒に見ましょうか」


「今日もうさぎさん出てくる?」


「今日のはでないわねぇ〜。でも代わりに亀さんは出てくるわ」


「かめさん!」


「ええ」


「早く早く!おばあさま!」


「はいはい。うふふふ」




 ある時は


「お祖母さま〜。いい?」


「ええ。どうぞお入りなさいアーシャ」


「昨日教えてくれた糸の組み方が上手くいかなくて」


「あら、そうなの?見せてくれる?」


「コレをコーしてコーでしょ?」


「ええ。そうね」


「で、コレをコーすると駄目になっちゃうの」


「あら、アーシャったらソコは駄目になっちゃうのではなくてコレとコレの繋ぎよ?ちゃんと出来てるじゃない」


「あ、あれ?こう?」


「そうそう」


「あ、出来た!ありがとう!お祖母さま!」


「ふふふ。どういたしまして。呑み込み速いわねアーシャは。凄いわ〜」


「えへ、えへへ〜」




 ある時は


 コンコン


「お祖母様。宜しいですか?」


「あら、どうぞ」


「お邪魔致します。お祖母様」


「いらっしゃいアーシャ」


「あの、お祖母様……」


「な〜に?アーシャ。言い難いこと?」


「いえ!その。……あの!お祖母様!この間の4次元構築式ってもしかして実証試験されているのですか?」


「あら。気になる?」


「えと、その出来たら凄いな〜と」


「ふふふ。アーシャ、こちらにいらっしゃい」


「は、はい」


「良く見ててね。spellroad:【置換】」


「お、お祖母様の手が!」


「こしょこしょこしょこしょ」


「ア!ハァーハッハッハッハハッハッハッハ!!や、ヤメ」


「あらあら。アーシャったら、はしたない笑い方だ事」


「お、お祖母様!」


「うふふ。どう?4次元構築式のご感想は?」


「凄い」


「うふふ。凄いでしょ?」


「凄いけど…」


「でもまあ、精々1m位が限界なのよねぇ」


「凄いけれども……」


「まあ、物臭な人用の構築式よね」


「やっぱりぃ!」


「でも、悪戯は、し放題よ♡」


「つ、使えない」


 そんな感じで日々を過ごし、私は学生院に入学する年齢になった。

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