第4話:婚約破棄追放
「神託によれば、悪魔の介入で正しく神託が伝わらなかったの事です。
ルイーセが悪魔と情を通じて不貞を働いた可能性があるという言う神託でした。
あくまでも可能性でしかありませんが、神は国を任せたヴィルヘルム王家の安全のためには、ルイーセとの婚約を破棄して国外追放にするようにとの事でございます」
なんとアストリッドの小汚い事か。
自分や教会が神を騙ったと言われないように、神が悪魔に負けた事にするなんて、不敬不遜にもほどがあります。
「ほう、それは、神が悪魔に屈した、負けたと言っているのか。
聖女だ神託だと口にしながら、神よりも悪魔が強いというのか。
語るに落ちたな偽聖女アストリッド。
神が悪魔に屈したと口にするお前に神託が下りるはずがない。
この場でこの悪魔の手先の首を刎ねろ」
オスカル王子がついに教会と戦争を始める言葉を言い放ちました。
「ひぃいいいい、護りなさい、私を護るのです」
アストリッドは恐怖のあまり腰が抜けてしまったようです。
「待て待て、もう少し落ち着くのだ、オスカル。
教会の不正悪事を摘発して大陸中に広めるにはまだまだ時間がかかる。
今直ぐ教会と戦争を始めては大陸中の国々が教会に味方するかもしれない。
それでは無辜の民が戦争に巻き込まれて被害が大きくなる。
聖堂騎士団よ、今の偽聖女の言葉を聞いても従うのか。
それで敬虔な神の戦士、聖堂騎士団員と言えるのか。
そんな行いをして、死した後に神の前に出られると思っているのか。
性根を入れて答えよ! 聖堂騎士団員」
今まで黙って聞いておられたグスタフ国王がついに言葉を挟まれました。
そして裂帛の気合で教会の聖堂騎士団員を麻痺させられました。
「聖堂騎士団員よ、悪魔に手先になった偽聖女や堕落した大司祭の手先になって、神の名を騙って敬虔な神の信徒を殺すつもりかな。
神から国を預かった王家に剣を向ける気かな。
お前らが本当の神の戦士ならそんな事はしたくないであろう。
我らと共に大司祭と聖女の取り調べに立ち会って真偽を確かめるがよい。
ただ教会や聖堂騎士団の顔も立てようではないか。
エステルとルイーセの婚約を解消する事はないが、ルイーセには一時的に王都を離れて領地で静養してもらおう。
これでどうかな、指導騎士団員達よ」
「……我らは教会の私兵ではなく神に仕える敬虔な戦士です。
確かに聖女アストリッドの今日の言葉にはおかしなところがあります。
大司祭様の言葉にも私利私欲が感じ取れました。
国王陛下が教会と聖堂騎士団に配慮してくださったことにも感謝しております。
国王陛下の言われる通りにいたしましょう」
「うむ、教会と聖堂騎士団とは話がついたな。
では今からは教会も聖堂騎士団も関係ない我が国の主従関係をただすとしよう。
王家に剣を向けたザクセン伯爵家を叩き潰せ。
ダニエル、ヴィクトリア、エステルは国外追放とするのだ」
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