第2話:舌戦
「ルイーセ・エドムンド・ヴィルヘルム、悪魔と情を通じたという神託が下っているが、それに間違いはないな」
「いいえ、大間違いの大嘘です。
そもそもアストリッド・ザクセン・エドムンド・ヴィルヘルムは聖女ではありません、公爵家を乗っ取ろうとする強欲な悪人でしかありません」
「黙れ黙れ黙れ、聖女アストリッドは教会が認めた真の聖女だ。
恐れを知らぬ悪魔の情婦が民を惑わす嘘を吐きおって。
これ以上嘘を吐かせて民を惑わせるわけにはいかん。
もうこれ以上証言を聞く必要などない、悪魔の情婦として……」
「待っていただこうか、大司祭殿。
これ以上教会の噓に付き合う気はないぞ。
嘘つきのアストリッドの言葉を神託と言い張るのなら、エドムンド公爵家は教会との戦争も辞さぬ。
聖堂騎士団が相手であろうとエドムンド公爵家は断固として引かぬぞ」
父上、ありがとうございます。
私を助けようと強大な教会相手に戦う覚悟を決めてくださったのですね。
「本気かな、エドムンド公爵殿。
教会や聖女を敵に回して家臣領民がついてくると思っているのですかな。
まず何より姪の聖女アストリッドが告発しているのですぞ。
弟のザクセン伯爵ダニエル殿も同様に証言しているのですぞ。
聖女アストリッドをエドムンド公爵家の後継者に指名すれば、公爵家は教会と手を携えて強大な力を手に入れられるのですぞ。
一族一門衆や譜代家臣や領民がどちらに味方するかも分からないのですかな。
いったい何人がフレゼリク殿の味方をするのでしょうな」
おのれ、悪徳大司祭め。
一族一門衆や家臣領民を人質に取るだけでなく、謀叛まで唆しているのですね。
そんな手段で父上を脅かして屈服させようとするなんて卑劣過ぎます。
もうこれ以上自重などしていられません。
前世の知識で鍛錬して非常識なくらい強大になった魔力で皆殺しにしてあげます。
「待ってもらおうか、大司祭。
今の言葉は教会が主導して、聖女アストリッドとザクセン伯爵に公爵家を乗っ取らせて、王家に謀叛させると言っているのか。
もしそうなら王家としても黙っている訳にはいかなくなる。
教会がヴィルヘルム王家の主従関係に介入するというのなら、王家としてもエドムンド公爵に味方して教会と戦争することになる。
性根を据えて返事をしてもらおうか!」
オスカル王子が父上や私に味方してくださいます。
強大な教会と敵対するのは王家としても勇気のいる事なのに、有り難い事です。
それが例え私や父の為ではなく王家を護るためではあっても、有り難い話です。
何時かこの恩は返さなければいけませんね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます