第3話 簀巻きにされる系男子
「痛〜…っ」
太ももの鈍い痛みも大分取れて来たので立ち上がる。
痛すぎて転げ回ったので、体を軽く叩いてホコリやゴミを取り払いながら、改めて目の前に立っている電波女を恨み辛み混じりにジロリと睨みつけた。
「…?何よ、そんなに人の顔をジロジロと…って、もしかして…何か見えてる?」
「…逆、何も見えないからジロジロ見てんだよ」
そして、今更気づいたことがある。
電波女の顔が顔がよく見えない…というより認識できない。
なんと言うか……『見えてはいるが、勝手にモザイク処理されて理解ができない』、とそんな感じで、なんとも奇妙な感覚だ。
…改めなくとも露骨に怪しい。
さっき出てきた仮称赤紙青紙の事もあるし明らかに今現在、俺はパンピーが関わってはいけない事態に片足を突っ込んでる。
「そ、ならよかったわ」
「…その反応的に、この顔面モザイク現象の主体はお前か」
うん、はっきりした。
絶対間違いない、俺はさっさとこの場を去った方がいい。
まだドッキリって言われた方が信憑性がある、というか信・じ・ら・れ・る・。
でも、さっき感じた恐怖も未知のプレッシャーも本物だった、そう思えるだけの恐怖を実際にさっきまで感じていた。
(…こちとら、とっくのとうに中二病からは綺麗に足を洗ったんだよ)
昔だったらこんなゲームやラノベじみた状況を喜べていたかもしれないが、実際に味わってみると何というか…リアルすぎる、一切危機のない第三者だから娯楽として成立してるんだアレは。
…となると、
「え〜っと……さっきは助けてくれてありがとう、それじゃ!」
「ちょっ、ま、待ちなさい!」
「グエッ!?」
まこと は にげだした! しかし まわりこまれて しまった!
ごまかして手早く逃げようとしたところ、襟を強く掴まれてしまい潰れたカエルの断末魔の様な声が俺の口から出た。
「…アンタねえ、この状況でよく逃げようとなんてできたわね」
電波女が露骨にため息混じりの呆れた声で話しかけてくる、俺からしたらさっさと逃げるが吉だろこんな状況。
「うっせ、誰がこんな危ない所にいられるかよ。
俺はさっさと帰らせてもらうからな!」
「…へえ、別に構わないわよ、でも本当にいいのかしら?」
え、いいの?
と言い返そうとすると、電波女は間髪入れずに言葉を続ける。しかし、その言葉は意味深で表情はどこか嗜虐的…の様な気がした、見えないからね、雰囲気で理解するしかない。
…というか何だよ、早くその後の言葉を続けてくれよ。
「本当に…とは?」
「いえいえ、私としては目撃者に口・封・じ・…もといお約束をしてもらう手間が省けるから、ささ、早く荷物をまとめて帰り支度をしなさい。
まあ、十中八九目をつけられてるだろうし家に帰る前にアンタは惨殺死体となるのがオチだと思うけどね」
「……はあ!?」
思わず声を荒げて叫んでしまったが、電波女が2、3個ほど重ねて恐ろしいことを宣った、惨殺死体…?ってことは、まさか…
「…あのバケモノ、死んでないの?」
「ええ勿論、あんなんで倒せるほど妖怪変化は甘くないのよ」
「ま、マジですか…」
明らかにさっき断末魔みたいな声出してたと思ってたのに…あれで倒せてないのかよ。
恐怖混じりの驚愕で急に膝の力が抜けてしまいヘタリと座り込む。
危ねえ…さっき襟首引っ張って止めて貰えてなかったら今頃俺はあの世だったって事かよ…
「大マジよ、それにアンタには協力してもらわなきゃいけないしね」
「…ん?」
「”赤紙青紙”の調伏、アンタ、協力しなさい。
悪いけど拒否権は無いわよ」
「…ハハ、ハ」
変な笑い声が出た。
訂正させてください、こいつは電波女なんかじゃない。
多分鬼・か・悪・魔・か・、少なくともヒトデナシです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
全く収集がつかなかったので、一旦元いた教室に移動する事にした。
辛うじて山際から射す太陽光で真っ赤に染まった1年生の教室は、平時であればドラマのワンシーンの様にロマンチックなシチュエーション…
とはいえ、現在ここにいるのは顔面認識不可の巫女服の不審者であり、残念ながら胸が踊るわけがない。
(…こういうのは彼女と見たかった、いないけど、悲しいことに)
遠い目になりながら悲しいことを考えていると、滅茶苦茶不服であるというのがバレたのか電波女から不機嫌オーラが漂ってきた。
「露骨に不服って顔してるのやめてもらえるかしら、私だって初対面の醤油顔男子といい感じのシチュで話し合うのは嫌なんですけど」
「醤油顔で悪うござんしたね!?
…まあいいや、いや良くないけど、ここではっきり聞いておくけどさっきのバケモノ、一体何なんだよ」
「アンタも知ってるでしょ、ア・レ・がうちの七不思議が一”赤紙青紙”よ」
「マジ?」
マジか、マジか〜…
「残念ながらね」
電波女のダメ押しでため息が漏れた、ついでに語彙力が著しく落ちてるのを自覚する。
非現実的だと笑って否定したいけど七不思議の実在を、明らかに魔術師というか巫女…?みたいな感じのフ・ァ・ン・タ・ジ・ー・系の人に突きつけられると改めて…こう、衝撃的だ。
アニメに出てくる陰陽師みたいな、”魔法の様な電撃”を目の前で使われてるっていうのもデカい、それがなければちょっと正直信じられなかったかもしれない。
「……はあ〜、実際出会った以上否定する材料がないんだよな」
「別に否定してもいいわよ?
アンタがどう考えた所で、赤紙青紙が襲ってくることに変わりはないからね」
「…さいですか」
襲われるのか…さっき俺は目をつけられてるって言ってたしな。
現実から目を逸らそうと色々と別のことを考えてみるが、心の奥底に恐怖があって現実に引き戻される。
「赤紙青紙…ね」
敵を知り己を知れば何とやら、だ。
とりあえず赤紙青紙について知ってることを全部思い出してみるか。
『赤紙青紙』
うちの学校に伝わる七不思議1つという話は入学してすぐに聞いた、というかこの学校自体おかしな校舎のせいでそ・う・い・う・話・は尽きないらしいけど。
逢魔ヶ刻のトイレに入ると、個室の中から赤い紙か青い紙かの選択を迫られる。
赤を選ぶと”全身を切り刻まれて血塗れになって死ぬ”、青を選んでも”一滴残らず血を抜かれて全身蒼白になって死ぬ”。
そしてそれ以外を選ぶと、世にも恐ろしいことが起こる…らしい。
…この2つ以上に恐ろしいことなんて存在するのかと。
絶対ないだろうとつくづく思っていたが、まさか追っかけられて惨殺かつ斬殺されそうになるとは思わなかった。
けれども所詮、七不思議は七不思議のはずである。
全ての話は【だったらしい】で終わらないとまずいだろう。
それで終わらなかったら、そもそも噂・レ・ベ・ル・で・し・か・話・さ・れ・な・い・なんて事が起こるはずがない。
【夕暮れ時の高校で男子生徒殺害事件、凶器は刃物か】なんて見出しで全国紙に掲載されるレベルだ。
…でも何で俺なんだよ、というか、
「そもそも赤紙青紙ってなんだよ、意味わかんねえ…なんで俺が襲われねえといけないんだよ…」
目を閉じるたびに、さっきの嫌な光景が過ぎる。
振りかぶられた血濡れの鎌、転んで振り返った時、あいつと目が合って肝が底から冷え切る感覚。
自然に喉の奥に詰まっていた不満不平が漏れ出てしまう。
あんなよく分からないバケモンに追っかけられて剰えストーカーされるなんて正直泣きたいぐらいだ、というか情けないことに泣きそう。
「わからなくて当たり前だし、理解しなくていいわよ。
まずそもそもアレは元々赤い紙青い紙なんてモンじゃないんだもの」
「…んん?」
えっと、どういう事ですかね?
まるで、さっきのが赤紙青紙じゃ無いみたいな言い方だが、急に提示されていた前提を壊されて余計意味がわからなくなった。
噂で聞いた通りに2択で質問されたし…というか、そもそも赤紙青紙じゃないとしたら一体何なんだよ。
「あとさ、何というか…色々と話して大丈夫なんだよな?」
もう一点ずっと気になっていたことがあった、全体的に含みを持たせたニュアンスで尋ねる。
俺の安全について、もそうだが電波女自体が俺に情報を話すことについてもだ。
さっきから疑問だった。
こいつは顔を正体不明にして”人払いの結界”なんてものを張ってまで人目を避けて行動を起こしている。
俺にはそれが、明らかに極秘系組織のそれにしか思えない。
しかし、その割にこの電波女さんは俺みたいなパンピーに色々と話・過・ぎ・て・い・る・様に思える。
”…どうせ後で消すから問題ないわよ”、とか言わないよな…?ちょっと言いそうで怖い。
若干ビクビクしながら電波女の方にお伺いを立ててみと、その主語が抜け落ちた疑問文に、最初は少し眉を顰めていた電波女だったが、数秒の沈黙の後、ボソリと”あーなるほど” とぽつりと呟いた。
どうやらこちらの意図を組んでくれたようである。
返答は簡素で簡潔だった。
「協力しろって言ったでしょ?
今からアンタを縛り上げて赤紙青紙に対する釣り餌にするわ」
「…は?」
偉くご機嫌な声の跳ね具合から柔かな笑顔を浮かべている…ような気がする電波女は、スルリとどこからともなくよく見かける市販のロープを取り出し、こちらに向かって迫ってくる。
やっぱ悪魔かなんかだろお前!?
☆ ☆ ☆ ☆
「いろいろ省いて説明するけどあれは妖怪よ。」
ギュッ、ギュッ
「アレか、ろくろっ首とか唐傘おばけとかそういう?」
「だいたいそんなイメージであってるわ。
中身が随分と違うけどね。」
布が擦れる音、たまに痛みに喘ぐ様な声。
「ぐぅ、もう一つ質問いいか?」
「何よ?今少し取り込み中なんだけど?」
「なんで俺は簀巻きにされてるんでしょうかねえ!?」
ありのまま今起こったことを話すぜ!
俺があまりの戯言に耳を疑ってぼうっとしていた瞬間、いつの間にかロープでぐるぐる巻きのミノムシにされていた…!
ものの30秒足らず、トラ柄のミノムシの完成である。惜しむべくは俺がミノムシにされてるところだな、可愛い女の子だったら別だがこれは感心できない。
まあミノムシとまではいかないが胴体部はかなりキツくロープで巻かれ、正直身じろぎすると化学繊維特有のごわごわ感が凄く痛い、もうちょい手心を加えていただきたいんですけどねえ…!?
電波女は簀巻き作りが終わった後、乱雑に机を四方の端に押していく。
現在の俺は中心だけさっぱりとした教室で、あぐら状態で簀巻きにされている状態である。
この野郎、なんじゃいこれさっさと解放せい!と視線で訴えていると、それに気づいたのか返答が帰ってきた。
「いい?納得いかないって顔してるけどね、これはあなたの為でもあるのよ。」
電波女の声は先程までと打って変わって、真剣味を帯びていた。
「あの手の獣型の妖怪は、一度目をつけた獲物を絶対に逃がさないの。絶対にね。」
靄がかかってハッキリ見えない上からでも分かる、鋭い視線に息を呑む。
一呼吸開けた後、電波女は幼子を諭すような声色で話しを続ける。
「今は赤紙青紙に成っているからどうにかなるけど、力を蓄えたら校舎に縛られずあなたのことを殺しに向かうでしょう。
…だから倒すなら今しかないの。」
…ん?意味がわからない。
まるでさっきのバケモノが赤紙青紙と別物みたいなハナシじゃないか。
俺が知らない前提があるのか? とはいえ結局よく分からない。
そのよくわからない気味の悪さの正体を尋ねようとした瞬間、ゾクりと背を疾る悪寒。
背筋が凍りつく、全身に鳥肌が立って変な汗と共に浅くコヒュっと変な息が漏れた。
粘着質な何かが纏わりつくような、重い寒気を含んだ気色悪い感覚、あいつが来た。
蛇に睨まれたカエルのようにガチガチになった体でなんとか動かせる目を電波女に向けると、電波女は腰に巻いてある巫女服とは打って変わって洋風な革のポーチから2枚札を取り出し、その場で適当に宙に放る。
適当に放たれたように思えた札は直後、緑がかったスパークを放ち、その輝くが暗がりの教室を照らすように迸る。
放り投げれられた2枚の札は何故か空中で固まったように静止、一枚目は緑電が札を焼き尽くした後に俺らを覆うように薄く、ステンドグラスじみた雰囲気のスパークと同じ緑がかった透明の球状の膜を形成した。
二枚目は若干グリーンにスパークするとそのまま宙で空気に解けるかの様に消失する。
それと同時に急に悪寒が消えていきさっきまでの体のこわばりが嘘みたいに体が動くようになる。
手を握ったり開いたり肩を回したりしていると、少し馬鹿にしたような言い回しで電波女が話しかけてきた。
「鳩が豆鉄砲くらった様な顔になってるわよ。
簡易的な結界を貼ったわ。これであの妖怪はあなたにこれ以上干渉できない。」
口調は軽いが、声色は真剣そのもので、閉じた扉を凝視していた。
ペちりとおでこに衝撃、視界が狭くなる。
デコにどうやら札を貼られたようだ。てか若干ヒリヒリする、何か特殊な薬剤でも塗ったくってるのだろうか?
「それは一応、あんたの護身用よ。
さっき、廊下でアイツを追っ払ったのと同じ攻性術式符、危なくなったら使いなさい。」
「結界も含めて助かるわ、ありがと。
なるほどね、ありがたく頂戴させて……」
悪寒が消えたことも含めて感謝を述べる、そしてふと思った。思ってしまった。
…別の意味で冷や汗が滲み出できた。
いや、一応プロっぽいし、そんなミスするとは考えられないし〜…あれぇ…?でもなぁ…
まさかそんなことはないと思うが、確認のため尋ねる。
「あの…確認なんだけど、一応。一応ね?
ちなみに結界とか貼ったみたいだけどさ、俺が縛られてる意味、あったの?」
真剣な雰囲気を帯びていた電波女の肩が言葉に反応したようにビクリと跳ねた。
扉に向いていた視線が明らかに泳ぎまくっているように見える。
…さてはこいつ、やりやがったな…!?
…あれ、やばいじゃん?
「どうすんの!?札みてえなの渡されても使えないじゃん!?!?これ、鴨がネギと鍋と包丁背負って目の前でグースカ寝てるようなもんじゃん!??馬鹿かてめえ!??いや、馬鹿だお前!絶対!!」
「しょうがないじゃない!こっちだって初仕事なのに変なのが仕事場に残ってて焦ってるのよ!なんでこんな時間まで学校に残ってるのよ!このクソぼっち!!」
ズガッ!っと金属製の扉からありえない様な重い音が響く。
不毛な言い争いは中断され視線が金属扉に集まる。先ほどまでと明確に違うのは扉がなぜか陥没しているということ…!
初めの音に続き、2撃目、3撃目の重低音と共に扉がメシリ、メキリと歪んでいく嫌な音が響いた。
「まさか、金属扉を蹴破る気!?」
電波女が符を構え戦闘態勢に入った直後の5撃目、少し軽くなった音と共に金属製の扉が紙くずのように宙を舞い、机の上に乗せてあった椅子に勢いよくぶつかる。
ぶつかられた椅子も同じく巻き散らされ、扉は静止した。
「結界ハ…物理干渉デキる程度のものカ、久々の獲物ガヒよっ子とハ運がイいッッ!!」
入学してから毎日使っていた教室、その金属扉が宙を舞った、非日常が過ぎて全く何もわからなくなってきた。
赤紙青紙は入り口辺りをジロジロと睨みつけると手に持った鎌で軽く空を切りつける。すると突如うっすらとした緑色の膜が出現し切りつけられたからだろうか、特に何もなくバラバラに砕けると霧散した。
…全くもって理解できない状況だけども少なくとも今現在、かなり崖っぷちということだけはわかった。
ゆらりゆらりと体を揺らしながら、扉を蹴破った化け物が教室に侵入する。
「ワザワざ、贄ヲ縛りアゲテオイテクレルナンテ、ヨウイ周到じャナイカ。」
呂律が回っていないような口調で話しながら縛り上げられた俺を見つめると、嗜虐の権化は牙を見せびらかすように口を歪めクツクツと嗤う、その声はどちらかというと嘲笑のニュアンスを含んでいるように思えた。
てかやっぱり縛る意味ねえよなってこれマズいだろッ!?
「正面から堂々突破してくるなんて、私を随分舐めてくれた、わ、ねッ!!」
電波女は嗤う化け物を見るやいなや即座に行動し速攻、先程とは異なって紅いスパークが帯電する符を投擲。
教室の入口に立つ化け物を確実に捉えた軌道を描く符は、しかし化け物の剛腕にいつの間にか握られていた椅子によるフルスイングによって迎撃される。凄まじい剛力による椅子の一撃は空気を裂く轟音とともに正面から飛来する符を芯でとらえた。
直撃の軌道にあった符はそのコースに割り込んだ椅子によって薙ぎはたき落され、同時に椅子がバラバラに砕ける形で完全に相殺された。
「マジ…ッ!?」
「やはリ物理干渉は弱イノだナ!!潰レて死ね!!!」
その相殺によって電波女が目に見える焦燥を見せる。
瞬間、赤紙青紙が二足歩行から四足歩行へ体勢を変え、獣じみた驚異的な瞬発力によって間合いに強引に入ろうと距離を詰めてくる。
手に持った椅子の残骸を振り上げ圧倒的健力で電波女目掛け、ほぼ鉄パイプと化した椅子が豪っ!と振り下ろされる。
ヤバイヤバイヤバイヤバッ!!?
恐怖のあまり瞼を力強く閉じた直後–––
金属が硬いものと接触したような硬質な音が響き渡る。
目を恐る恐る開くと、緑の膜には少しヒビが入り、化け物は驚愕の表情を作りながら椅子を放り出し仰け反っていた。
「ナにっ!?」
「一枚目はアンタを油断させるため態と強度を落としておいたの。
そうすればこんな風に近づいてきてくれると思ってね、獣風情の浅知恵じゃ理解できなかったかしら?
でも…これで私の射程圏内」
フェイントかよ…!?心臓に悪すぎる…っ!!
その隙を逃す筈もなく電波女は素早く3枚の札をポーチから抜き取る、それに呼応するかのように輝きだした3枚の緋色が化け物に向かい放たれる。
「今度のは痛いじゃ済まないからッ!!」
化け物に接触、直後雷が目の前に落ちたかの様な閃光と劈く爆音。
「攻性術式符、紅種、迸れっ、『彼岸花』っ!くたばりなさいっッ!!!」
「あガッ、っっッガああアアァァッ!!!!」
絶叫と共に目が痛くなるような赤い大閃光、その光は化け物に張り付いた符から発せられたのは緋い雷の剣山、それが幾重にも奔り化け物の躰を満遍なく串刺しにする。
その様子は人が死んだ時にたどり着く彼岸、あの世の園で一面に咲き乱れているとされる彼岸花のように見えた。
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